第316話 魔境の森 その1
Dランクになった俺は当初の目標でもあった『魔境の森』への入場を許可を得た。
尤も11歳の俺が『魔境の森』へ入るのは自殺行為と一般的には思うだろうが、意外?と家のパパンは平然としてて、ただ一言、
「1人って事はイザって時に補填してくれる奴が居ないから、体力配分には機を付けろよ!」とアドバイスをくれたのだ。
体力配分・・・そう、前世では魔力配分を間違ったが故に死んで仕舞ったのでその言葉の重要性をヒシヒシと実感している。
「うん、ありがとう。まあ無茶はしないよ。『命大事に』がモットーだから。」と言って『魔境の森』へ出かけるのだった。
南門から出る時に門番の衛兵に胸から取り出した銅製のギルドカードを見せたら、非常に驚いてくれたのだった。
「坊主、もうDランクなのか? もしかして、魔境の森か?
気を付けろよ!」と声を掛けてくれたので、
「ええ、昨日ランクアップしたんで、ちょっと様子見に入る位なので。無茶しない予定です。」と言うと頷き、行って良いよと手を振ってくれたのだった。
と言うか初めての魔境の森だから、ゲートは使えないし、歩いて行くかまだ今世では試して居ないウィングスーツ飛んで行くか・・・。
どうせいつかは試さないと行けない訳だし余裕のある今がその時だろう。
地上で何度か無属性の魔装を使ってウィングスーツ形状にしてテストをした後、ゲートで上空へと飛び出して、降下と共に滑空を始める俺。
きっとこの瞬間の俺がこの世界で初めて空を飛んだ人族だろうな。とちょっと誇らしい気持ちになりつつ可久々に滑空時の風を感じで目を細めていたのだった。
着地の時の事を余り考えてなかったが、この調子でいけば、重力制御も出来る筈だしぶっつけ本番で上空で重力制御をおこなって無重力状態にしてみるのであった。
結果は大成功で、魔力は多少食うものの、無事に浮遊にせいこうし、この分ならホバー移動も出来るだろうとほくそ笑むのであった。
あっという間のフライトで、前方の方に大きな森が見えて来た。
パパン曰く歩きで40分~1時間で着くと言っていた魔境の森がウィングスーツの飛行なら本当に10分掛かるかどうかである。
こう言う面でかん考えてもやっぱり俺の場合人に言えない事が多いだけにソロの方が都合が良いな。
それに俺のゲームやラノベでの知識をベースにした世界ってナンシー様が言って居た事を謳ってた事を考慮に入れると、パーティーを組んだ場合は経験値の振り分けが行われる筈だから、レベルアップを一に考えるなら尚更ソロが都合良いだろう。
まあこの人生は始まったばかり・・・何かあればその時々で柔軟に考えれば良いだろう。
さあ、いよいよ魔境の森だ。森の縁に降り立ち、魔装を戦闘用に展開し、身体強化を平行発動しながら魔物の気配を探る。
ナンシー様曰くこの世界の魔物は前の世界よりも強いらしい。十分に警戒して掛かるとしよう。
一歩踏み入れた魔境の森、魔の森を思い出してちょっと懐かしい感じがする。何と言うか、魔素の密度が高いと言うか、呼吸する度に心身共に魔素が染み渡って行く感じがする。
この世界だと、こう言う魔素密度の高い所に多くの魔物が出現するのか居着くらしい。そして、十分な魔素を浴びてより強くなって行くと冒険者ギルドの2階の資料室の本に書いて在った。
俺はちょくっちょく、その資料室に足を運んで情報を収集して魔境の森についての予習をしていたのだが、俺より上も下もどのランクにしても、俺以外の人物がここを利用しているのを見た事が無い。
自分の命をベットして、魔境の森で稼ぐのだから最低限でも情報収集ぐらいは事前にすべきだと俺は思うのだがな・・・。
資料には魔物別の倒し方や弱点等や毒の有無や戦闘時の注意事項等まで細かく載っている。
例えば、今目の前に対峙している、この世界初のキラーソルジャー・アントだ。
此奴らは外骨格が硬いので剣による外骨格への攻撃は弾かれるし、弱点は各関節や外骨格の節目であるとか、素早く退治しないとな仲間を呼んだり、酸による攻撃を仕掛けて来るとかの情報が資料に載って居るのだ。
そして、ちゃんと予習済みの俺は高周波ブレードでサクっと頭部と胴体のつなぎ目の部分を切り離して始末して、次のが来る前に『時空間庫』の中に仕舞って戦闘スペースを広げたのであった。
それから5匹のキラーソルジャー・アントを始末した所でレベルアップを知らせるチャイムがピロンと頭の中で響いた。
名前:トージ
称号:(御使い)/(大賢者)
AGE:11
LEVEL:7
HP:8/18
MP:521/521
力:20
知能:23
器用:26
俊敏:21
スキル:剣術C/格闘C/投擲C/身体強化/魔装/鑑定EX(アーカイブコンタクト型)/隠密F/(隠匿)/(日本の英知)/魔力感知C/魔力操作C/錬金F(A)/並列処理E
魔法:無S/土A(S)/火A(S)/水A(S)/風A(S)/光A(S)/聖D(S)/時空C(S)/生活
※()内は魂に刻まれた才能値を表す一般には見えない
レベルは格上を6匹
これ位やった事の見返りが反映されるとモチベーションも上がるって物だ。流石は俺の頭の中で望んだ世界の仕様である。
この世界の人々はこの仕様を考えた俺とそれを実現したナンシー様に感謝すべきだと思うよ。
そしてそのまま気配を探りつ奥へと足を踏み入れて行くとお次は2匹のオークを発見し、魔弾で眉間をスパンと撃ち抜いて瞬殺し、首を刎ねてサクっと血抜きを行う。
無属性の触手を管にして、血管に接合すたら、水魔法で水を厚を掛けて流し込んでやれば、1匹1分程度も掛からずに終了する。前世で俺が編み出した最高の血抜き方法である。
この世界でもちゃんと出来たのは非常に良かった。これが出来るのと出来ないのとで、魔物が寄って来るリスクも取れ高にも大きく拘わって来るからな。
さて、これらのオークも『時空間庫』の中に回収したが、さてどうした物か・・・。
と言うのも、これからの冒険者ギルドでの活動を考えると最低限『時空間庫』を使える事を公表しないと活動し難いんじゃないかって思うんだよね。
軽くママンに聞いた限りだと、『時空間庫』に匹敵する魔法はこの世界に無さそうなのと、錬金術で作られた魔動具としてのマジックバッグは存在せず、ダンジョンからのドロップ品が希に出回る程度とか。
前世の様に両親が居ない孤児としてであれば『親の形見』作戦も使えるけど、両親共に健在で尚且つ有名人の場合この作戦は使えないんだよね。
まず最初に一度、両親に『時空間庫』についての公表をどうするか判断を仰いだ方が良いかな・・・。
考えを纏めてる間に、フォレスト・サーペントを1匹始末して、血抜きを終えて『時空間庫』の中に回収してから更なる狩りに精を出すのであった。
この日は10匹のフォレスト・ウルフを憎き『グレート・ウルフ』の代わりに
名前:トージ
称号:(御使い)/(大賢者)
AGE:11
LEVEL:8
HP:20/20
MP:523/523
力:25
知能:24
器用:28
俊敏:23
スキル:剣術C/格闘C/投擲C/身体強化/魔装/鑑定EX(アーカイブコンタクト型)/隠密F/(隠匿)/(日本の英知)/魔力感知C/魔力操作C/錬金F(A)/並列処理D
魔法:無S/土A(S)/火A(S)/水A(S)/風A(S)/光A(S)/聖D(S)/時空C(S)/生活
※()内は魂に刻まれた才能値を表す一般には見えない
なかなか良い感じである。体感として、知能と器用の数値の上がりの恩恵か、並列処理がDランクにアップしたお陰か併用する魔法の操作が実にスムーズで魔法発動のタイムラグがドンドン無くなっている。
これくらいで満足した俺は早めに切り上げてゲートでガガの街の南門の近くに戻るのであった。
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