第310話 初めての常設依頼と魔法訓練

翌日から街の外にでて、常設依頼の薬草取りをお父さんに習った後は只管薬草採取と魔法スキルの訓練を行った。


薬草はよく似た雑草等もあって高を括ってバカにしてると間違って雑草を混ぜてしまったりするので注意が必要だ。

一度雑草を混ぜてしまうと、全てが破棄されたりするので、結果としてその日の収入が飛ぶ事になる。とは言え俺には鑑定EX(アーカイブコンタクト型)と言うチートな情報源があるので間違いなんかは起こらない。

更に細かい事を言うと、根っこは地面に残して採取してはならない。地面から上の茎と葉っぱが採取対象となるのだ。

と言うのも、根っこをのこしておけば、また成長して採取が可能となるので枯渇することは無い。

そうやって、東の森の薬草は代々受け継がれて来たのである。


で、この薬草だが1房幾らでは無く、10房単位で銅貨5枚と言う微妙な報酬となるが、安全な森の浅瀬や森の近所で採取出来る為数少ない駆け出しのFランク冒険者の資金源となっている。


尤も街の中のお遣いクエスト的な物も存在するが、それよりも、この薬草の方が稼げるし、俺の場合は特に街の外で魔法の訓練も出来る一石二鳥クエストなのである。


薬草を10セット採取が完了したので心置き無く魔法の訓練に入る俺。


魔力を操作して掌に集めて炎をイメージすると、何の苦労も無くサクっと赤い炎が掌の上で蜷局を巻いている。


実際にファイヤーボールを撃ってみたいが森の方向だと火事になるので真上に向けて打ち上げると、ドッパーンと言う音と共に掌から5m位上空で炸裂して撃った本人の俺もビックリ。


森の中の小動物も驚いたらしく、小鳥が空へとにっげて行った。


ここでは目立ち過ぎるのでもう少し待ちから離れて標的になる岩を見つけて印しを付けて其処を的にして、ファイヤーボールを撃ってみる。

他に火属性の魔法と言うとファイヤー・アローが思い浮かぶのでそれも試すとシュバっとおとを立てて岩を溶かして刺さった。

「おーー!この世界のファイヤー・アローはあっちよりも威力高いな。」と予想以上の結果に頬を緩めて呟く俺。


その後、水属性、土属性を試し、特に土属性のストーン・ブリッドは火属性がそうであった様にかなり高威力を発揮して的にしていた岩に亀裂が入ってしまったのだった。


水属性のアイス・カッターでは更に岩の亀裂を抉り後少しで岩割が出来そうなくらいである。


ここまで来れば、魔弾も試したい所だが、まずはフォース・フィールドを作れる様にならないと話になら無い。


一応、魔装のスキルもあるが、結局は魔装も無属性のフォース・フィールドの鎧ってだけである。


と色々やりたい所ではあるが、貧弱なMPが残り5を切ったので魔力枯渇で動けなくなる前に街へと戻る事にしたのであった。


まあ、1日目としては常設依頼の薬草採取で銅貨5枚×10セットで銅貨50枚(5000ウニー)は10歳にしては誇って良い結果だと思う。


ガラコのオッサンに採取した薬草を提出したら、ちゃんと間違い無く全部が薬草だった事を褒められたのだった。


どうやら、父の名を穢さなく済んだ様だ。


ガラコのオッサン、顔は厳ついけど意外に面倒見の良い優しいオッサンなのかも知れないな・・・と失礼な事を考えつつマッシモのゲンダさん元気にしてるかな?と思い出す俺だった。



『初任給』で懐も温かくなったし、何か家族に買って帰ろうと街の通りで物色してやのだが、肉串ぐらいしか思い浮かばずに肉串4本を両手に持ってイソイソと家路を急ぐのであった。


しかし、初日の半日だけで、銅貨10枚とは幸先が良い。もし2倍採取出来れば銀貨1枚である。

尤も2倍の採取はそんなに簡単な物では無く他の競争相手も居る事でそう易々と達成出来る事じゃない事は付け加えて置こう。


あ!そうそう、ここの世界の通貨の単位はウニーと言う美味しそうな呼び名で、銅貨50枚だと5000ウニー


■ ウニー

通貨単位

円に換算した各硬貨の価値(円をウニーに呼び代えたのと同等の価値とみなす)


大黒曜貨・・・・百億円(百億ウニー)

黒曜貨・・・・一億円(一億ウニー)

白金貨・・・一千万円(千万ウニー)

大金貨・・・・百万円(百万ウニー)

金貨・・・・・十万円(十万ウニー)

銀貨・・・・・一万円(一万ウニー)

大銅貨・・・・一千円(一千ウニー)

銅貨・・・・・・百円(百ウニー)


と言う感じらしい。

円換算だと、本日半日で5000円はまあまあか?いや、悲しくなるので時給換算しないのがお約束だな。



両手に肉串を握り締めて帰ったら、お母さんにも身に覚えが在った様で微笑んで迎え入れてくれたのだった。


美味しく夕食と肉串を頂き早めに就寝して明日に備える。

2度目の人生での魔の森スタートと違い寝場所の心配をしなくて良いだけで、如何に天国かが判る。


魔の森のスタートは本当にキツかった・・・。と心の中で思いながら残った魔力を光魔法で放出して枯渇状態にまでしてから爆睡するのであった。



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