第309話2 ステータス報告会

イソイソと家に帰り、早速テーブルに着いてステータスの報告会をする事となった。


一瞬このまま全部教えるのは拙いのかとも思ったが其処は両親である。どうせ、マリーはまだ字が読めないので大丈夫だろうと腹を括ってステータス全容を両親に教える事にしたのだった。


「さて、どうだったんだ?」とワクテカ顔でテーブルに身を乗り出すお父さんとお母さん。


「えっと、口頭で言えば良いかな?それとも何かに書く方が良いのかな?」俺が尋ねると、どうやら表示して見せるつもりでステータスと念じると表に表示されるらしい。


なる程そう言う仕様なのか? てかそう言う大事な事はもっと最初に教えておいてくれないと!! 危うく『開花の儀』で人様に晒す所だったじゃないか!?と心の中で突っ込む俺。



そして品評会宜しく表示された俺のステータスを見て絶句する両親とその様子の意味が判らずに両親に「ね!にぃにのステータス凄いの?」と空気を読まずに聞いて来るマリー。


実際の所()中は非表示の状態なのでヤバイ称号もSの文字も見えて無い筈だからレベル0だし数値的には実にショボいままなんだけどね。


前世の死因の1つが魔力枯渇による戦闘力激減だった俺としてはMPを充填的に増やしたい訳だがやはりこの世界でも魔力枯渇を繰り返す事で総魔力量が増えて行くのだろうか?


「トージ、凄いな、前属性の適正が有るじゃ無いか!」と目を大きく見開いて俺の肩をパンパン叩くお父さん。


「お父さん、痛いって!! 全部のt属性に適正が在る人って少ないの?」と俺が聞くと今度は魔法の事なら私の番ねと言わんばかりにお母さんが口を開く。

「そうよ、大抵多くても3属性ぐらいよ。それに火属性を持つ場合その対極となる水属性を持つ事はまずないわね。風なら土属性かな。貴方の場合、その対極の属性すら含めて全部だなんて聞いた事が無いわ。これは逆に凄すぎて人には言わない方が良いわね。更に言うと時空属性とか聞いた事も無い物まで含まれているから、ある程度実力が身について人からの悪意に対処出来る様になるまでは、人に見られない様に訓練するのが良いわね。」とお母さんから忠告を受けた。


ここまでの話を聞いたマリーは俺のステータスが凄いって事に気付いた様で「にぃに凄い!!」と俺の事を褒めてくれたのだった。

「ありがとう。地道に訓練して頑張るよ!」と言って締め括ったのだった。


「トージ、お前冒険者ギルドに登録するんだろ? じゃあ、一応魔法剣士って感じで登録するか。明日にでも一緒に連れて行ってやるよ。」とお父さんが言うのでお願いしておいた。


魔法剣士かぁ~何かカッコ良いな・・・。ああ前世の『黒竜丸』どうなったかなぁ?子供達が受け継いでくれて居れば良いけど。あれをこっちに持って来られなかったのが心残りだな。


「そうか・・・こっちは10歳でも冒険者ギルドに登録出来るのか!?」と呟いて、ハッとした。


「こっち? まあ開花の儀を済ませた者は基本登録は出来るけど、最初のFランクはお遣い依頼程度だな。本格的な冒険者っぽい依頼になえるのは討伐依頼を受けられる様になるEランク以上だな。まあ焦らずにジックリやるのが一番だぞ。」とお父さんが忠告してくれた。


「うん、判ってるよ、徐々にステップアップする感じで功を焦ったりしないから。『命大事』に行くよ。」と答えたのだった。



翌朝小食を終えた後、お父さんに連れられて武器屋のキリーさんの店に行って10歳の俺に使えそうなサイズの小剣と剣帯や皮の胸当てと解体用のナイフ、それにリュック型の背嚢を買って貰い、冒険者ギルドに行った。


まさか最初からこんな装備を買いそろえてくれるとは思っても居らずに何度もお父さんにお礼を言うと照れ臭そうに頭を掻きながら、

「まあ、最初だけだ。次からは自分で貯めて購入やメンテナンスをして行くんだぞ。Fランクの間は大した依頼料貰えないから、大事に使ってメンテ費用を貯めるんだな。」と言われたのであった。


「うん、判ってるよ。当面は街の近辺で薬草採取をしながら魔法の訓練かな。ある程度の魔法の腕が身に付くまではヤバイ所には近寄らないからね。」と言うとちょっとホッとした様な顔になった。


何でも、毎年開花の儀の後にスキルを貰っただけで使えもしない状態で森に突っ込んで行って亡くなる新人が多いらしい。


毎年口を酸っぱくして忠告していても、2~3人は戻って来ないとか・・・。


所謂『新人のイキリダッシュ』と呼ばれているらしい。


尤もこれは普通の森の話であって、『魔境の森』の話では無い。

南門から半日ぐらいの距離にある『魔境の森』は凶悪に強い魔物の巣窟とされて居り、新人どころか中堅の冒険者でさえ運が悪いと帰らぬ人となってしまう。


この場合の帰らぬ人とは、実際に行ったっきりになって戻って来なかったので生きてるのか死んでるのかさえ判らないって意味の帰らぬ人である。


反して東門の近所にある森は比較的一般的な森で特別に凶悪な魔物の報告例は少ない初心者~中堅までが安心して使える森となっているのである。

この一般的な東の森ですら、舐めて掛かると帰らぬ人となる新人が出ると言う意味だ。


まあ、スキルや魔法の慣らしが終われば『魔の森』で長年1人で暮らしていた俺に取っては公園みたいな物かもしれないが、ここは謙虚に下手なフラグを立てない様に地道に行こう。


こうしてお父さんに連れられて冒険者ギルドの戸を潜るのであった。


俺の記憶に残っているマッシモの冒険者ギルドよりも厳つい感じの冒険者に溢れて居る冒険者ギルド内は革鎧と汗臭い感じが入り交じっていて決して良い環境とは言い難い所であった。


まあして言えば、此方の世界でも受付嬢はお母さん並の美女揃いで子供の俺でも『ほう!』と思う程であった。まあお子様なので全く論外なんだけどね。


さてどのお姉さんの所に行くのかとワクワクしていたらズイズイと奥の方へと行く御父様!!!


そして手招きされたカウンターにはこれまた厳ついオッサン・・・まさかのゲンダさん枠か!!? パパンそれは無いっすよ!と突っ込み入れたくなったけど、


「おう、ラージ、其奴がお前が前に言っていたお前の所のガキんちょか?」とオッサンがジロリと俺を値踏みしてきた。


「どうも。息子のトージです。冒険者登録にやって来ました宜しくお願い致します。」と言って、チョコンと頭を下げておいた。


余り謙りすぎると、周りからも舐められるのでこの位で丁度良いらしいのだ。加減が難しいらしい。実に面倒である。


「おう、俺はガラコって言って、ここのサブギルドギルドマスターやってる。まあ何か在れば声を掛けてくれや。」と言うガラコさん。


ってマジでゲンダさん枠だった。


結局、このガラコさんがおれの冒険者登録を最後までやってくれて、晴れてFランクの冒険者ギルドカードを手に入れたのであった。


冒険者ギルドのカードはそれぞれ、F~Sランクまでの7段階あって、依頼の達成実績と試験にうよってランクアップするようになる。D、C、B、A、Sのランクに上がるにはそれぞれ試験があってそれを合格する頃によってランクアップとなる。

まあよくある設定通りって奴だな!って俺の記憶が言っている・・・。


そんな訳で、パパンの同伴の下でそんなお約束イベント等が起きる訳も無く、誰に絡まれる事も無く平穏無事に家に帰宅しましたとさ。

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