第308話 開花の儀
家族全員で向かう初めての教会は以外に近く、こんなに近いなら、もっと前にお参りに来て置けば事前に夢の様にナンシー様に会えたかもと思ったが、そもそも昨夜知ったばかりなのでそれは無理だったと諦めたのだった。
それにお参りに行ったからと行って夢で見た様に本当に会えたかも怪しいし、夢の中の自分?がちょくちょくお参りしたり新しいメニューの食事を献上したりしていたのを思い出してここも同じシステムかその内確かめようと思うのであった。
跡少しで夢が本当の事だったのかが判る。嘘で無ければ相当に良いステータスやスキルを手にしている筈なのだから、思わずニヤけて頬が緩むも、変な奴と妹のマリーに思われない様にシャキッとスイッチを入れるのであった。
辿り着いた教会には既に今月が誕生月の子共達とその家族が十数組待って居て、今や遅しと待ち構えて居た。
「父ちゃん、まだなのか?なげーよ!」と辛抱の足りない子共が五月蠅くして居るが、「そんな事言ってると女神ナンシー様から良いステータスもらえねぇ~ぞ!」と脅されそれ以降ピタッと何も言わずに大人しく待つのであった。
事前に父さんに聞いた『開花の儀』では、永見ナンシー様の像の手に置かれて居る水晶にてを触れるとステータスが見られる様になる、つまりステータス・オープンが可能となる仕組みらしい。
ナンシー様の手の位置は実寸大との事で大人の人と変わらない高さの為、子供らは踏み台に上がって水晶に触れる必要があると言う、なんとも不便な仕様となっている。
もうちょっと捻りがあった方が良かったんじゃないでしょうかね?ナンシー様?とか軽口を叩いて居て、あの子のの父親が言う様にカスステータスにされると拙いので心に思った事を打ち消して置いたのだった。
「ああ、皆の者今日は目出度い11の月に10歳の誕生日を迎える者の開花の儀の日である。まず最初に言って置くが、どんなステータスやスキルであれ、努力する者にナンシー様は技法日として後天性の新しいスキルを授けて下さったり、既に授かっているスキルや魔法問うのランクが上がったりする。今日の時点で無くても諦めては駄目だ。努力を続ける事こそ尊いのである。さあ、では順に水晶に触れて行くが良い。」と司祭様が皆に言うと
誰が一番に行くかで、マゴマゴして居り誰も1番手を行こうとしないのである。
「誰も行かないなら、『俺』が1番で行くので良いかな?」と思わず一歩踏み出す俺。あれ?今まで『僕』って言ってたのに、今朝から自分の事を俺って言ってしまってるな・・・あの夢のトージとどうかした所為だろうか?
祭壇のナンシー様の像の前で頭を下げて一礼し、恐る恐る踏み台を上がって行って、目の前の掌に載っている水晶にソッと触れると、フワッと水晶が輝き、同時に俺は夢で見たあの白い部屋に居た。
「10年は意外に長い様で短いのう~。トージよ。久々じゃの?」と夢で見た通りに綺麗なナンシー様が其処に立っていた。
「あ!ナンシー様!! あの夢は本当だったのか?」と改めて自分が誰かの確信を得て驚く俺。
「夢で見た事がそのままトージの前世であり、更にその前の前世でもある。安心するが良い。女神マルーシャ様経由でその後のトージの家族の事も聞いておるし、あのスタンピードもお前さんの貢献で収まって最小限の被害で済んで居るぞ。
アリーシアは大層落ち込んでおったが、お主亡き後立派に子育てと商会の切り盛りをマッシュ達とやって居るぞ。女神マルーシャ様より、助けてやれずにすまなかったとの伝言も在ったぞ。」と教えてくれた。
「こ、子供達は?」と思わず咄嗟に聞き返す俺。
「ああ、子供達3人共に元気じゃぞ、それにお主が最後に命と引き換えに助けた少年もアリーシアが自分の子として3人と一緒に育てて居るぞ。そうじゃんぁ・・・最初サチちゃんの落ち込みが激しくてな。何であと5分早く駆けつけられ無かったかってのぉ~。」と教えてくれるナンシー様。
結局、救援隊が到着したのは、俺の死後30分以上後だったらしい。
みんな魔力ギリギリで回復が間に合わなかったと言う訳だ。これが1分や2分なら惜しくもあるが30分じゃあな。もうドンマイとしか言い様がない。
出来る事なら子供達に、「気にするな、俺のミスだ」って伝えて欲しい所だけどそんなシステムはなさそうだし、女神を伝言のパシリに出来ないからなぁ~。
そうかアリーシアがあの子を育ててくれてるのか、流石は俺の奥さんだった人だ。
「おっと、そろそろ時間じゃな。また会いに来なさい、以前と同じシステムになって居る故に。そうじゃ、なかなかお主頑張ったのじゃな。かなりステータスが馴染んどるぞ・・・。」と言ってる所で踏み台上に居る俺に意識が戻ったのだった。
「今の光は?」と少しザワつく教会の礼拝室。
「トージよ、なんともないか?ステータスは貰えたかの?」と心配気に尋ねる司祭様に、こころの中で「ステータス」と呟き確認して、
「はい、無事にステータスを頂きました。」とニッコリ笑って答えるのであった。
その後続いて14人の子供がステータスを無事に得たが水晶が輝いたのはどうやら俺だけだったが特に言及されることは無かったのは幸いであった。
名前:トージ
称号:(御使い)/(大賢者)
AGE:10
LEVEL:0
HP:5/5
MP:20/20
力:5
知能:10
器用:5
俊敏:10
スキル:剣術E/格闘E/投擲E/身体強化/魔装/鑑定EX(アーカイブコンタクト型)/隠密F/(隠匿)/(日本の英知)/魔力感知E/魔力操作E/錬金F(A)
魔法:無F(S)/土F(S)/火F(S)/水F(S)/風F(S)/光F(S)/聖F(S)/時空F(S)/生活
※()内は魂に刻まれた才能値を表す一般には見えない
これが現在の俺のステータスである。
夢で見た初期値よりもスキルは増えて数値も上がって居る。
近所の友達と訓練した投擲や父に訓練を付けてもらった剣術や格闘はEになって居る
どうやらこのスキルの後のFとかEがスキルのランクって事らしい。熟練度を上げて行けばSでカンストって事だろう。
そう考えると俺の魔法は書く属性が(S)となって居るのは?将来的に訓練すれば熟練度が上がって元々の魂に紐付いたSランクにまでなるよと言う予告だろうか?
MPこそ、20となっているが他の数値がショボ過ぎて泣けてくるな・・・。
結構、駆けっこや筋トレしてたんだけどまだまだ足り無いって事なんだろうな。
まあ千里の道も一歩から・・・気長にレベル上げに勤しむとしよう。なんたって前世の俺が望んだレベルの在る世界なのだから。
俺は家族の元に戻って、「トージどうだったか?」と心配そうに聞いて来るお父さんに、
「大丈夫だよ、帰って詳しくは帰ってからね。」とニコニコ笑いがら答えて帰宅を促すのであった。
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