第305話 不穏な地震 その7
咄嗟に俺は男の子の口を塞ごうと動いたが、時既に遅く同時に入り口の戸にドカンと体当たりする大きな音がした。
もう一刻の猶予も無い・・・魔力の回復が間に合って居ない状態ではあったがHP(生命力)と引き換えにしてでも一瞬だけは無理矢理ゲートをマッシモに繋いでみるしかない。
折角少し動けるまでに回復していた魔力がスッカラカンに枯渇するのを感じつつ歯を食いしばって無理矢理ゲートを祈る様な気持ちで発動させようと悪戦苦闘していたら、奇跡的に一瞬ゲートが繋がった!!
魔力枯渇による吐き気と目眩を抑えつつ、男の子をゲートに放り込むのと同時にドアの蝶番壊れてがドガンと破られてしまったのだった。
もう俺がこのゲートを通過するまで維持する魔力処か体力も気力も残って居無い。ゲートからマッシモにグレート・ウルフが入って行くのを防ぐ為にもゲートを閉じようとした時には全てがギリギリだったらしく勝手にゲートが閉じてしまって居たのだった・・・。
最後に手元に残った相棒(黒竜丸)を引き寄せ、気怠い身体と尽きかけた気力を必死に奮い起こしカチャリと相棒を抜く。
「すまない相棒・・・何時もの様にお前の凄さを見せつけてやる事が出来そうにない。」と座り込んだ状態のまま掠れた声で呟きながら、家に入って来た2匹のグレート・ウルフに相棒を横薙ぎに振りって威嚇する。
グルル・・・ワオーンと威嚇しつつ仲間を呼ぶグレート・ウルフ。
数秒でガウガウと数匹のグレート・ウルフが同時に部屋の中に入ろうとして入り口につっかえていたので思わずこんな状況にも拘わらずクスリと笑うのであった。
「来るなら来い!1匹でも多く道連れにしてヤル!!!」と残った気力を振り絞って怒鳴って自分に活を入れる。
振り回した相棒の刃先に当たった1匹がキャインと悲鳴を上げて、後退る。「ざまぁ~!」と減らず口を叩き、鞘を杖代わりにして立ち上がろうと重心を移動した所で2匹目が突っ込んで来る。
咄嗟に相棒を口の中に刺し入れてやると、キャ・・・と言う甲高い声にならない断末魔の悲鳴を上げて死んでしまった。
これで1キルである。残るは援軍の4匹と先の手負い1匹計5匹である。
少し、活路が見えて来たんじゃ無いか?と少しだけ強がってみるものの、それも騒動に惹き付けられたオーガがやって来るまでだった・・・。
オーガが俺に集ろうとしていたグレート・ウルフ5匹を横殴りに蹴散らかしたのでキャインキャインと鳴きながら這々の体で散って行った。
これはラッキーだと一瞬喜びかけたのだが、そうは問屋が卸してくれないらしく、今度は狭い家の入り口に癇癪を起こし、オーガが力任せにメキメキと家の入り口を破壊して拡大した後、そのゴツい角のある顔を家の中に入れて来て屋内に佇むボロボロ俺を見て嬉し気にニタリと笑ったのだった・・・。
------------------------------------------------------------------------------------------------読者の皆様どうもです。
何時もお読み頂き誠にありがとうございます。
ちょっと話を前後させた為この話だけ多少短くなってしまい申し訳ありません。
これにて『シーズン1』終了です。
初めて章の編集に手を出したのですがっと中からだと難しい事が判明し、頭に章を入れてシーズン1にしました。
他の作家の方は私の様な行き当たりばったりでなく、ちゃんと計画的にされているんでしょうね・・・。
細かい調節で数日のお休みを頂きますが、引き続き『シーズン2』をお楽しみ下さい。m(__)m
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