第300話 不穏な地震 その2
地震から2週間が過ぎた頃、エルフの里の エルダさんから緊急の連絡が入った。
エルフの里に近いダンジョン『ミーランの迷宮』と言うのがあって先日の地震の際に『ミーランの迷宮』がダンジョン・ブレイクを起こしてしまったのかも知れないとの切羽詰まった連絡であった。
話では偶々『ミーランの迷宮』の近所を通った行商の一行が魔物の集団に襲われ、命カラガラ帰還して報告したらしい。
エルフの里は『ソイの里』である俺に取っても食生活の根幹となるルーツとなのでエルフの里の安全確保は重要である。
彼処は特に城壁等で防御を固めておらず、家に鍵すら無いようなノンビリとした所である。
エルフは長寿で有る為ノンビリしており、動物に例えるなら『ナマケモノ』だろうか?
いや、決して彼らの動きが遅い訳でも勤勉で無い訳でも無いが、余り焦ってシャカリキになると言うイメージでは無いのだ。
そう言う感じなので代々オープンなままで防備も固めずにノンビリ暮らして居た人々である。
俺は直ぐに、マッシュに連絡を入れて20名位でエルフの里に城壁を作る為にゲートで移動した。
今のところエルフの里まで魔物は辿り着いては居らず、守りを固めるのも、一時避難をするのも、今の内である。
とは言え、代々守って来た醸造所も集落の中にあるので放棄して逃げると言う選択肢はちょっと宜しく無い。
故に人海戦術で城壁をグルッと作って万全の防備を!と言う訳である。
早速やって着たエルフの里でエルダさんと合流して、即座に城壁を築く為の打ち合わせを行い、
マッシュ達子供らと、広大な大豆やゴマの畑等まで含んだ地域を城壁で取り囲む事にして周囲に全員で散らばり、俺も持ち場から一気に城壁基準となる15mの城壁を築いたのであった。
建築に慣れた子を20名厳選してきたお陰で、俺1人でやると1日は掛かったで有ろう総延長を僅か5時間程で完成させて最後に俺が仕上げの硬化をかけて行き、監視用の物見の塔を東西南北の4佳代に作って書く門もガッチリとした物を取り付けたのであった。
これでエルフの里は取り敢えず一安心と思いたい。
事実マッシモの街の方も先日の地震の影響で余裕がある訳でも無く、何とも難しい所ではあるが、マッシモ様に連絡を入れて数名の衛兵を此方の監視要員として派遣して貰える様にお願いしたのであった。
そして子供達にお礼を言って先に返した後俺は一旦、まだ行った事の無い『ミーランの迷宮』へと偵察に出かける事にしたのであった。
マッシモ近郊ではダンジョンが2つあるのは知っていたが、メインは俺の踏破した『マッシモ東ダンジョン』で、一方今回の『ミーランの迷宮』は西側の街道からかなり離れた不便な場所と言う事で人気が無く過疎っていた。
正直俺も今回の連絡までスッカリ存在自体を忘れてしまっており、一瞬何の話なのか頭が追い付かなかった位であった。
そんあ訳で不人気ダンジョンが故に誰も長年間引いておらず、今回のダンジョン・ブレイクに繋がった物と思われる・・・。
てか、今更だが冒険者ギルドやマッシモ様はちゃんと管理しとけよな!!と言いたい。
せめて定期的に間引き以来なとだしておいてくれれば・・・。
そうそう、マッシモ東ダンジョンの様に先達の残した資料や地図も『ミーランの迷宮』には存在しないのだ。 恐らく、交通の便の悪い辺鄙な場所にプラス何の情報も無いのも不人気の理由の1つかも知れないな。
エルダさんから聞いた方向へとウィングスーツの滑空で移動を開始すると、40分ぐらいのフライトで、ダンジョンは見えないが、『ミーランの迷宮』が存在する広大な森から溢れる魔物の群を発見したしまった・・・。
エルフの里から距離にして、80km、マッシモの街から100kmと言った所だろうか?
一旦空中でフォース・フィールドの足場を出して観察したがとてもじゃないが数えられるレベルの量ではない。
ザッと見た限りでも、魔物の種類は様々でゴブリン~オークやオーガやゴーレム、トロール等、とても其処らの冒険者や兵士等では歯が立たない上位種が目白押しであった。
特に見た事の無い、サーベル・タイガーやキラー・キャット等まで混じってやがる。
空中を飛ぶ飛行系のヤバイのが混じって無いのが不幸中の幸いってところか・・・。
普段なら「これ位・・・」って大口を叩く所だが、この数は見栄を張りたくともはマジで無理がある。
どうしたら良いだろうか?
しかもマッシモは現在地震の余波でてんやわんやである。
と言うか、あの地震って、このダンジョン・ブレイクの所為だったんじゃないのか!?
孤児院出身の子も含め魔法を使える家の子達なら魔法である程度はイケるだろうけど、魔力量の問題もあるし、そうそう長々と戦い続ける事は出来ないし、何より危険を伴う。
最大の戦力は普段からダンジョンに籠もって居るガスリー君とサチちゃん、コータの3名と一期生、そして次点で魔法学校の生徒だろうか?
あ!王都から、王宮魔法師団も呼び寄せなきゃだな!
そんな戦力でイケるだろうか?
今は家の子達も仮設住宅の建設や瓦礫の除去で結構魔力を使い果たして居るので早々に魔力の補充に努めさせないと決戦するなら拙い。
暫し、溢れる魔物の大群に空中で呆然とする俺だった・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます