第299話 不穏な地震 その1

時期的にかなり引き延ばしてたのですが、内容に地震が含まれてしまう事をご容赦ください。


能登半島地震で被災された方の復興と安全を心より祈って居ります。

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以降平穏な日々を過ごす事5年が過ぎて行き、冒険者ギルドの最低年齢が10歳に緩和された事によっ13歳のガスリー君を筆頭に、10歳のコータまで子供達は全員正式な冒険者として登録し、アッと言う間にBランク冒険者にまでランクアップしたのであった。


中でも、俺のだしたミノタウロスの肉のクエストの効果が大きかった様だ。


まあこれくらいの援助はセーフだと思う。

9歳になったユーキちゃんは最近は余りお父さんに構ってくれなくなって、魔法学校にドップリだ。アリーシアには慰められるものの非常に寂しい今日この頃である。



異常気象は大分収まり、ここ2年は猛暑ではなく、折角作ったプールは賑わっていない。


そんな日々を過ごして居たのだが突如としてゴゴゴ地鳴りと共に地震がマッシモを襲った。


震度こそ3~4未満と言うところで本来日本なら大した事は無い範囲だが、地震に全く慣れて無いこの世界の人々故に日本人の様に冷静に対処が出来ずに彼方此方で悲鳴が上がって、逃げ惑い更には火災が起きてしまった・・・。


直ぐに魔法学校の生徒や魔法を使える家の子達を動員して家事の鎮火と倒壊した家屋の下敷きになった人々の救出や避難所の確保を率先してして行く。


幸いな事に家の藁半紙の地下工場と印刷製本工場の方は俺がガッチリ固めて頑丈に作っておいたお陰で被害も崩落も無く怪我人も皆無であった。


当面の避難所として、魔法学校の校庭を使う事がマッシモ様とラフティの方で決まって救助された人々や家を焼け出された人々や倒壊で家を失った人々が徐々に集まっていた。


幸いにも火事場泥棒に走る様な者が現れなかったのが不幸中の幸いだったと言えよう。

尤も、最初に進言してあるので、火事場泥棒は即座に死刑と決まっては居るのだが、被災で悲惨な状況の街をこれ以上、血で汚したくは無い物だ。



俺的には1度目の死亡原因が倒壊した上の火事と言う最悪な状態だったので、若干トラウマを刺激されてしまったのだけど、この世界の俺は無力では無い。そして1人でも無い。


家族の、そして商会の先頭に立ってテキパキと適切な指示を出して平静を保っていたのであった。


魔法使いの多いこの街では通常で在れば大火災ともなりかねない火災も間に合いさえすればボヤや1軒のみの全焼程度で抑える事が出来るのだ。謂わば人間ポンプ車と行ったところだろうか。



そのお陰で非常に軽微な被害で済んだと言っても過言では無いだろう。



又本来ならクレーン車等で持ち上げる必要のある倒壊した家屋からの救出も魔法使いなら1人で屋根を持ち上げて、もう1人がその間に様救助者を引っ張り出して回復魔法を掛けて救う個共可能となる。


直ぐに王都からも援軍や支援物資も到着し、食料の炊き出しや簡易的な住居の建設と提供等も始めた。


そしてこの時判った事であるが、王都では全く揺れが無かったらしく、地震はこのマッシモ周辺のみだった事が判ったのだった。


マッシモの隣の子爵領では微震を感じた程度で被害は0であったそうな。


さて、避難所の仮設住宅はドーム型の物を沢山用意したが、証明の魔動具が追い付かずにローソクの明かりを使う事になったが、夏なので寒さに凍える個共無いのは幸いであった。


多少不自由でも、プライバシーは確保されるし、冒険者や衛兵による巡回も強化して居るので犯罪が横行する事も無い。


日本で得た知識はここでも役に立った。 ただ未曾有の災害でパニックやヒステリーが広がらなかったのは幸運だったと言えるだろう。


あと、俺が建てた(建て直した)孤児院やいくつかの公的機関の建物等も倒壊を免れており、人々の拠点となる所が存在したのも心理的に大きかったかもしれない。


耐震基準や耐震設備等の概念の無いせかいだから、他の民間の家屋が素君クナイ被害を受けたのもしょうがないだろう。


あのラルゴさんの商会ですら、少なくない被害が出ていたし。

今度、この一件が収束したら、商会の建物の修復を手伝ってやらねばな。


こんな災害時に言うのもなんだけど、せんだての、マ・クバーヌ砦から奪取した備蓄庫の食料が今回非常に役に立ってくれた。


正にマルローデリアン王国様様である。


あれから静からしいのでもう貰いにはいけないけれどね。





そうそう、不思議な事に全く余震も何も無く・・・まあ揺れないのは良い事だけど普通断層のズレとかだと余震って結構続いたりするんじゃなかったっけ?


何で1回こっきりなのか、ちょっと不気味だけど、まあダラダラ揺れられても困るので良しとしとくしかない。



瓦礫の片付け、や燃えかすの除去等も徐々に始まり、漸く人々の顔に安堵の笑みも見え始める。


そんな感じにマッシモの街は徐々にではあるが少しずつ人々の平穏を取り戻せている状況であった・・・。

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