第292話 雉も鳴かずば打たれまい その2
翌日再度ヘイルウッド公国の王城に訪れ、飛行船に乗って万里の長城を築くべき国境線を偵察する事にした。
国境線まで2時間程のフライトで優雅なヘイルウッド公国の田園風景を楽しんだ。
どうや国境付近に行くに従って鉱山都市等が増えるらしい。
例のミスリル鉱床もこの鉱山都市の1つにあるそうな。
「そうか、そうなると益々防衛が重要になるな。そうか、ミスリル鉱山か・・・。」と重要な順に鉱山都市を入念に上空から偵察して行く。
尤もその問題の隣国は国内の土地が荒れて居り農作物が美味く育たない、開拓が進んで無いと言う状況で自国で開拓するより、隣の肥沃な農地を頂け!って言う安直な芦有でちょっかい掛けて来て居るらしい。
隣の芝生が青く見えるなら、自分の家芝生をもっと面倒見て青くしてやれば良いのにその発想が無いらしい。
そう言う発想の隣国だけに会話云々で何とか穏便にって事はあり得ないとか。
なので、万里の長城に通用門を付けるか?との問いに要らん未来永劫に封鎖で良いと言う事だった。
つまり、少々の事では乗り越えられない城壁を築けって事なんだろうけど、それを200km以上もと考えるだけで記が遠くなる。
倒壊しない高さと考えると、高くても王都の城壁と同じ20~25mぐらいだろうか?
兎に角飛行船を操縦して案内してくれている官僚には早急に国境を明確に示す杭を打ち込んで置く様にお願いし、その杭に沿って超万里の長城を築く事を通達したのだった。
それからのヘイルウッド公国の王宮は俺の言った杭を早急に打つ為1ヵ月以上バタバタし、連日引っ切りなしに飛行船が国境と公都を往復したりしていたらしいい。
とは言え、1ヵ月も手を付けずに完了するのを待ってられないので、確定しているスタート地点から、大凡の方向を上空から目視で確かめつつ城壁を建築し始めるのであった。
ホバー移動しながら100m単位で高さ20mの城壁を築いて行くのは手慣れた物で、もう身体が覚えて締まった自転車の運転みたいな物である。
最初の数日はトラブルも邪魔も無く城壁を建築出来て居たのだが、1週間もすると俺の城壁に気付いた隣国のマルローデリアン王国の奴らが数十名の竜騎兵が隊列を組んでやって来た。
「もう来たのかよ。」と吐き捨てる様に呟いて、奴らの動向を確認しようと思うより前に弓矢による攻撃を受けてしまった。
幸い只の弓矢の攻撃なんか俺の魔装で跳ね返して事無きを得たが、これは誰に対して弓を引いたか知らしめる必要がある様だ。
「おまえらに告ぐ、こちらの工事の邪魔をするなら10倍返しするので命の保証はしない。繰り返す、10倍返しだ。根刮ぎだ!」と風魔法の拡声を使って宣言すると、
隊長だかリーダー格の奴が「撃てーー!」とか叫んで居たので、ますはしょうがなく、その隊長だかを魔弾でパスンとヘッドショットで沈めると騎竜が転倒して後続がそれに巻き込まれ
ドヤドヤと大騒ぎになって、隊長が
まだ長城は距離僅か1km程度、スタート地点の反対側はまだ未着手である。
これは少々急いで対処した方が良さそうである。どうしよう?城壁の無い部分を迂回されたら無意味だし、増員して嘘でも城壁を立てさせて後で仕上げをすべきか?いや、そもそもだが、こう言うヤバイ紛争地帯に子供らを動員すべきじゃないな。と思い止まり、兎に角マッシュに連絡して公都まで我が家の飛行船を保って来て貰う様にお願いしたのであった。
勿論、子供らには血生臭い現場を見せる気は無いのでマッシュは飛行船を運んで駐機したらゲートで帰還して貰って、公国の者に家の飛行船で上空から、奴らの来襲を監視して貰う目的である。
兎に角今の内に出来るだけ城壁を伸ばしまくるしかない・・・。
そうしておれはふと帝国戦を思い出してニヤリとした。まだ先程のは10倍返しにもなってないのだし有言実行で少し潜行するか。
マッシュの飛行船が公都についてバトンタッチしてこっちに来るまで約3時間はゆうに掛かるだろう。よしその3時間で先程の奴らの去った方向に追いかけて基地だか砦だかを隠密裏に奇襲か妨害工作をしてやろう。
ヘイルウッド公王陛下も
俺は直ぐに隠密フルセットで身を隠して上空に飛び上がりウィングスーツで滑空を始め奴らの逃亡先を追ったのだった。
ものの15分もせずに奴らの上空に辿り着いたが、このまま部隊まで戻して情報を渡すもの宜しく無いと思って、上空からストーン・ブリッドで、騎竜と竜騎兵のどちらも撃ち抜いて地面に穴を掘って埋めて置いた。
そしてまた上空に戻って先に進むと、1つの大きな砦 が見えて来た。なかなかの規模で、駐在する兵も多く500人ぐらいは駐屯しているようである。
これ位の規模になると、食料が無くなると致命的で身動きも取れないので見物である。
俺は隠密のまま、また城壁や建物の石壁をスカスカの物に材質を替えてしまいコッソリ、食料の備蓄庫に忍び込んでスッカラカンにしてしまって、更に兵器庫や指揮官室に入り込んで地図や軍事的資料等を根刮ぎかっぱらった。
これで、3週間ぐらいの時間稼ぎは出来ただろう。後1時間程で監視用の我が家の飛行船が到着する頃合いなので、急いで工事現場へと戻って何食わぬ顔で城壁を作り続けるのであった。
スタート地点の反対側方向も今の内にある程度伸ばして置いた方が良いな。山間部は進軍し難い事から後回しでも大丈夫だろう。
まずは平野部を仕切ってしまおう。
俺はやって来た家の飛行船に乗船して居た者に事の顛末を知らせて状況の共有化をした後今後連日上空から敵の進行を監視し、直ぐに俺に連絡する様に伝えたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます