第291話 雉も鳴かずば打たれまい その1
漸く飛行船の納品も終わり、終日自由を満喫してホッとする休日。
アリーシアやユーキちせんゃんと共にマッタリ過ごすのも久々である。
ユーキちゃんは最近ではヨタヨタと足って歩ける様になっている。
「トート。」と俺の方を向いて呼ぶので、お父さんと言って居るつもりなのだろう。
5日程はその平穏を楽しんでいたのだが、その平穏は一本の電話で終了を告げる。
「トージ殿!儂じゃ。」と儂を語るこの人物番号からしてヘイルウッド公王らしい。
「」これはヘイルウッド公王陛下であらせられますか?」と違う事を祈りつつ子返すと、
「そうじゃ!そのヘイルウッドじゃぞ!」と元気に返すヘイルウッド公王陛下。
「飛行船かゲートにに何かありましたか?」とちょっとドキドキしつつ問うてみると、
「ああ、そっちは全く問題無いぞ!好調じゃ。」と事故や故障等でないと判ってホッとする俺。
「はい、それは何よりで。安心しました。ではご報告ありがとうございました。」と電話を切ろうとすると、焦って「待て待て!」と遮られてしまった。
どうやらこの電話の本命はこれからだったらしい・・・。
「えー?嫌な予感しかしないのですが・・・何でございましょうか?」と一応お窺いをしてみると、一言。
「先日提案して貰った『万里の長城』の件じゃ!GOが出たぞ!!」と嬉し気に応えるヘイルウッド公王陛下。
「えー? 私は提案も何もして無いんですが、只の世間話だけで・・・。」と弁解するももうヤル気満々で無理であった。
あちゃーー・・・これマジで作らされるパターンなのか?
国境線だよな?一体何キロだよ? 流石に1人では作る前に最前線のいざこざに巻き込まれるのは目に見えてるし。
かと言って家の子供達をそのいざこざの在りそうな所に連れて行くのは拙かろう。
「うーん、電話で話しても埒が明かないな。陛下、一旦そちらにお伺いしても宜しいでしょうか? 先日のマッシュを同行致しますので。」と言って一旦電話を切って、
まずはマッシュを呼んだ後、ジョニー殿下に状況の確認の電話を入れたのであった。
ジョニー殿下曰く、俺の作った王都の城壁を国王陛下がいたく自慢し、100年以上保つ事は請け合いじゃ!と豪語していたらしい。
ちつまり高くとも、100年分の戦費に換算すれば安い物だとなった・・・と言う道筋の様である。
そんな国境何キロあるか判らない物と王都の城壁を同じに考えられてもなぁ~。と心の中で嘆きつつ溜息一つ。
そもそもだが、『万里の長城』を築いても警備の兵が丸っきり不要になる訳じゃないのだ。比較的少人数で監視出来る様には成っても全自動&オートマタで迎撃とか出来る訳じゃないので侵入者が現れた場合、都度各個撃破する必要がある。監視塔作ってカメラとモニターで遠隔監視も可能だけど、電話とゲートを駆使して駆けつけて撃破または取り押さえる感じかな。
そんな話をマッシュと軽く済ませた後、マッシュのゲートで公国の王城へとゲートで向かったのだった。
王城の正門前に出ると、門番がギョッとしてマッシュと俺を睨み付ける。
「あ、初めまして、『オオサワ商会』のトージと申します、ヘイルウッド公王陛下に呼ばれて赴きました。」と言うと、
「ちょっと待つ様に。」と言われ、10分程その場で待たされたのだった。
最近は王国も、帝国も自分の家の様に出入りしていたのでこう言う普通の対応は実に新鮮である。
暫くすると内側から通用口が開き、豪華な竜車が待機して居た。
それまでの対応と違い恭しい感じにその竜車に招かれ乗り込むと、王城の中を移動する。
なかなかに王国の王宮とは違う雰囲気だがこれはこれでなかなかに豪華な城である。
そして竜車が停まると後は徒歩でテクテクとクネクネ歩いてやっと豪華な応接室へと通されたのだった。
暫くすると先日振りのヘイルウッド公王陛下が嬉し気な感じに部屋へと入って来た。
一通りの挨拶を済ませた後に、地図を見せて貰って封鎖すべき国境線を教えて貰うと、ザックリ200kmはありそうだが、途中に輪間などがあって、その部分地形を利用素感じで上手くやって欲しいとの事だった。
「そもそもですが『万里の長城』作ったとしても越境が0になるとは限らないし、警備の兵が必要ですからね? しかも200km?とても単独で建てるのは厳しいんじゃないかな? 建ててる最中に敵が来たらどうします?」と切実名不可避の戦闘に付いてを聞いてみると、好きに
まあ手痛い目に遭わせる位は出来なくは無いけどな・・・。
「しかし、『魔王』様ぐらいになれば殺さずともあしらう位は雑作もなかろう?」と言ってニヤリと笑うヘイルウッド公王陛下・・・グッ痛い弱みを突いてくる。
一応ダメ元でカメラとモニターによる監視強化プランを提示してみるも、逆に万里の長城+監視強化プランをお願いされて余計な工数が増えるだけであった。
そして、マリアーヌ王女が嫁いだ後、まだ幼い第一王子殿下の御代の為に・・・と言う親ならではの言葉にグッと心が揺れてしまい、
「良いでしょう。私が腕によりを掛けて万里の長城とディフェンス・ラインを築きましょう!」と思わず断言してしまうのであった。
その後、マッシュが横で『アチャー』って顔を一瞬してたが言っちゃった物はしょうがない。
そんな訳でその後は驚く程にスムーズに契約が成立してしまったのであった。
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