第286話 世代交代の準備? その2

それから2ヵ月も過ぎた頃にジョニー殿下の結婚の儀が正式に発表された。


お相手の婚約者は帝国と反対側の隣国であるヘイルウッド公国のマリアーヌ王女との事であった。


と言うか、反対側にヘイルウッド公国なんて国が在ったのを全く知らなかったよ・・・。


ヘイルウッド公国とは特に諍いは無く過去から今まで極めて良好な関係が続いているらしい。


平和な事は良い事だ!



俺が「へぇ~、ヘイルウッド公国なんて国もあったんだね?」ってウッカリ口を滑らせたら、アリーシアから


「トージさんももう少し国外の事を知った方が良いですね!」と私的されてしまったのだった。


確かに子を持つ親としてもう少しこの世界の地理を勉強すべきだよなとそこら辺について詳しそうな商人ギルドでそう言う一般常識的な本の有無を尋ねて見るのであった。




結婚の儀の発表から2ヵ月が過ぎる頃、ジョニー殿下自らが飛行船を操縦して婚約者を隣国まで迎えに行ったと言う報告をジョニー殿下からの電話で知った。


驚く事に、今回のお迎えに行くまでに外交の席で1度会ったっきりで婚約となり、更には今回の結婚の儀と言う恐ろしいスピード婚となるらしいのだが、


てっきり俺と同じで人見知りを発動してるんじゃないかって心配してたら、全くそんんな事は無くて、デレデレに惚気ていたのは意外だった。


どうやらジョニー殿下の話しっぷりでは美人さんで優しく清楚系らしい・・・。


まあぶっちゃけ政略結婚な訳でこれが今更気に入らないって言っても両国の威信が掛かって居るので破談には出来ないのだろうけどね。


そう言う訳で、ジョニー殿下本人が惚気る程に乗り気なら良かったと言うところである。


今回の結婚の儀に際して、ジョニー殿下は正式に『王太子』となり、マリアーヌ王女は『王太子妃』となられるのである。


何か本当に王族や貴族って大変そうで息苦しそうである。


とかちょくちょく掛かって来る電話の際に思っていたんだが、軽いノリで「トージ、明日は何か用があったりするのか?」と尋ねられてウッカリ「特に何も用事は無いですよ。」と答えてしまい。あ!?ってちょっと嫌な予感がしたのだけど、その翌日には飛行船で嬉しげなジョニー殿下がマリアーヌ王女とやって来たのだった。


おいおい・・・ちょっとぉ~我が家を王族のデートコースにするのはガラスのハートが保たないので勘弁しよ!と心の中で叫びつつニッコリ笑って商会を請けるのであった。



「マリアーヌ王女、こちらは先日から話しておった我が友のオオサワ商会のトージ殿だ。ほら、『あの』メダルを王国と帝国より貰っている人物じゃ。これからも懇意にして行きたい人物故にマリアーヌ王女も仲良くして貰えると助かるのじゃ。」とマリアーヌ王女に話し掛ける。


俺はここは一先ず頭を垂れるべきだろうと解釈して、頭を下げて「お初にお目にかかります。トージと申します。ジョニー殿下には何時もお世話になって降りまして。今後お見知り置きを。」と言うと。


「ほう。トージとやらはお主か。頭を上げる事を許すぞ。妾はヘイルウッド公国の第一王女、マリアーヌ・フォン・ヘイルウッド。時期王太子妃である。」とご丁寧な自己紹介を頂いた。


マリアーヌ王女は見事な金髪の縦巻きドリルのジェシカと真逆の『ザ!お姫様』と言う感じである。結構礼儀に五月蠅そうなイメージが強いが、こんな接し方で大丈夫なのだろうか?


「折角起こし頂いたのに、こんな場所では申し訳ございませんので、お茶と茶菓子等応接室で如何でしょうか?」と言ってゲートを起動して我が家の応接室へと繋ぐと、


「まぁ!!貴方・・・ト、トージとやら、魔法が!?これはゲート!?」とメッチャ食い付いて来て先程までのちょっとキツイ様な格式張った上から目線の雰囲気がガクンと一段下がった感じである。


「そうなのじゃぞ! トージはな、王国一の魔法使いでな。フフフ、『魔王』とも呼ばれておるのじゃぞ?のう?」と俺に振ってきやがった。


「ジョニー殿下!!それは言わないお約束ですよ!!」と焦って抗議していると、

「あー!トージ殿があの『魔王』!?」とハッとしたご様子。


その後、紅茶とスィーツで持てなしつつ結局あの『魔王』の一件の全容を告白する羽目に遭ってしまったのだった。


なんと!驚く事にヘイルウッド公国にまで帝国をひっくり返した『魔王』のニュースが入って居り戦々恐々としていたらしい。


「こう申してはなんですが、私の周囲の人間に害が及ぶ様なら例え何が相手でも・・・と言う事です。害を及ぼしたり強制されたりするのは許容できませんので。」とキッパリと宣言しておいたのだった。


何かこのマリアーヌ王女、ジェシカと同じで魔法が大好きだけど母国に居た際に学ぼうとしたが、ヘイルウッド公国でも王国の古い考え方と同じで、魔法の才は血筋で決まると神事こませられていたらしい。


なので非常に残念に思っていたらしい。



今回ジョニー殿下に嫁ぐに当たって魔法先進国となったローデル王国に行けば『魔法が使える様になるかも!?』って下心が合った様な事をぶっちゃけていたよ・・・。


それジョニー殿下の前で言っちゃ駄目な奴じゃん!!って思ったが時既に遅しだったのだが・・・。恋は盲目とはよく言った物で、第三者的には衝撃の告白だったにも拘わらずジョニー殿下の耳には『我が国の魅力』に惹かれたと言う風に翻訳された様であった。


大丈夫か? とちょっとジョニー殿下の事が心配になるのであった。


「まあ人によって個人差在りますが、普通に訓練を積めば魔法使える様にはなりますよ。まあ魔力量によって出来る事の幅は変わりますけどね。王宮魔法師団にでも習えば大丈夫じゃないかと。」と助言しておいた。



そんな感じで後半は終始魔法の話や『魔王』エピソードになってしまったものの、両者共にご機嫌の内に帰って行った。


俺に取って最大の羞恥プレイは、話の流れで噂の『魔王』コスに着替えさせられご披露する羽目にんなった事だろうか?


本当に無事に終わって良かったよ。一時はどうなるかと・・・。


まあ、俺もまさか縦巻きドリルの実物を目にするとは思いもしなかったが、そのレアイベントを無事に熟したのでホッとしたのだった。

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