第285話 世代交代の準備? その1

人使いの荒い某王宮の誰かさんの為にまた『ホーラント輝石』を探しに行かなきゃならないのだが、非常に面倒臭い。ここだけの話、『自分用』の予備は3個発見済みで大事に保管してある。


1人魔の森に籠もって穴掘りとかつまらないので子供らに声を掛けてみたのだが、ダンジョンが良い感じの波に乗っているらしく、丁重に断られてしまったのだ・・・。


これにガックリ来た俺はヤケになって1人で連日魔の森の採掘場の断層に足を運んで『ホーラント輝石』を探す事にしたのだった。


まあ、こうなったら意地でも見つけてやるって気構えだが気構えや気合だけで見つかる程易しい物じゃないのだけれどね。



今日で連続3週間スカの日が続いている訳だ。


少し気分を変える為に休みの日を作ってみたが、休み明けに再開しても結果は同じだった。


そこで運任せで闇雲に掘るのを一旦止めて、『ホーラント輝石』の現物ををジックリ観察しつつ魔力検知で測ってみると、驚く程に凝縮された冷たい氷を連想させる魔力を持って居る事が判った。


冷静に考えて見ればあれだけの物体を浮かせる事が出来る『物』である。莫大な魔力を持って無い筈が無いのだ。


そこで、この現物と同じ魔力を検知すべく瞑想をしながら地層の奥深くを探って行くと、少し離れた地層の奥にに『幾つか』の反応がある事に気付いたのであった。


何でも急がば回れで冷静になってみるものである。ホクホク顔で掘り起こして一番手前側にあった『ホーラント輝石』5つを回収したのであった。



今回の5個と持っていた3個・・・合計で8個もポッポに持つ事になってホクホクである。尤も内2つは国王陛下に取られてしまうけどな。


実際の所この2個セットでどれ位稼働し続けるのかの限界が不明なのが問題なのである。

幾ら爆だな魔力量と言っても無尽蔵ではないので、何時かは尽きる時が来る筈だが、それが俺が寿命で死んだ後か3年後かは不明なのである。


まあ、今回のこの『ホーラント輝石』の予備の依頼もそう言う懸念からジョニー殿下の御代でも稼働させられる様にと言う親心なのかな?



そう考えると俺は子供らに何を残せるだろうか? 今のままで十分だろうか? 俺だけの知識で終わらない様に様々な文献を出来る限り残すべきなのではないだろうか?と珍しく真面目に考え込むのであった。




漸く3週間以上に渡る採掘土遊びも終わって、ジョニー殿下に意気揚々と電話を入れて『ホーラント輝石』が揃った事を伝えたのであった。



ジョニー殿下は橋渡しをしたものの、見つかるとは思って無かった様で非常に喜んでくれた。


そして翌日には嬉し気に飛行船に乗って我が家に受け取りに来たのであった。


一国の第一王子殿下なのにフットワークが滅茶苦茶軽いのは何時もの事だが、こんなに気軽に一般庶民の家に来て良いのだろうか?と思わず心配になって聞いてみたのだが、


陛下父上は何故かトージ殿の所に行く分には全く咎める事が無い上、そればかりか何かと理由を付けては自分も行きたがるぐらいなので、宰相も困って居ってな。こちらに押し掛けては迷惑になるじゃろうから我だけで隙を見て先行して来て居るのだ。」と説明されたのだった。



何故に来たがるのかの理由は怖いので聞きたく無いが、きっと碌な事じゃないだろう。


毎回クル際にはバカ食いして帰るし、食い気か、俺に取っては良からぬ何かのお強請りか・・・。


そう言う訳でやっと『ホーラント輝石』2個をの納品してスッキリサッパリ。


金額は前回同様の金額だそうで・・・。


とは言え、前回のオークションからまだ10年経って居らず、目下減価償却中?の筈なのに更にこの先10年分の国家予算って、大丈夫なのかよ?って住んでる国の事だけに心配してジョニー殿下に聞いてみると、


「『オオサワ商会』のお陰で経済発展が目覚ましくての。宰相の弁じゃと、税収が過去見ぬ程の勢いで増えて居っての。先のオークション時の10年分はもう直ぐ国庫がトントンになるって話しじゃったぞ。」との事だった。


「それに、予備の『ホーラント輝石』は早めに手を付けておいた方が良かろう? 我の世代に切れてしまうと困るからのぉ。」と付け加えていた。


つまり、俺の商会の影響もあって経済が回って税収アップでウマァ~って事らしい。過去最高で10年分を一気に挽回も凄いけど、これからも同じ水準で税収アップが維持されれば問題無しって判断なのだろう。


そうそう上手く行くのだろうか? 確かに、今王国に戦争を仕掛けて来る様な国も居らず平和が続いて居るし、唯一あったのは前回の災害ぐらいだからある意味大丈夫なのかな?



「そうそう、言うの忘れてたのじゃが、今度我は予てより我の婚約者と婚姻を執り行う事となった。是非とも友人と言う事で参加をお願いしたいのじゃ。 改めて招待状を送る故に宜しくな!」と最後に爆弾発言を残して帰って行ってしまったのだった・・・。



何も言う間を与えずに颯爽と帰るとはやるじゃないか。これは目出度いのは良いのだが華やかで胃が痛たくなる様な舞台に行きたく無いのだが、『友人』としてと言われると断れ事は出来ないな。


てか、知らなかったけど、婚約者居たんだ!? そりゃそうか、王族で王太子に婚約者が居ない訳が無いか。


そうか、それは目出度いな!!


お祝いは何が良いだろうか? 王族の結婚の儀だけに変な物は持って行けないし困ったな・・・。と出席以前にその前準備の事で頭を悩ませるのであった。



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