第281話 子供らの魔物狩り@マッシモ東ダンジョン その4
あれから約1ヵ月が過ぎ、日々コツコツと階層を熟した結果誰も怪我を負う事なく無事に第20階層のボス部屋まで辿り着ける事が出来た。
勿論引率の俺が同行しているとは言っても、ガスリー君7歳、サチちゃん5歳、コータ4歳と言うメンバーを考えればもはや大快挙と言っても差し支え無いだろう。
幾ら魔法を教え鍛えたとは言っても子供ら合計してしても16歳平均5.3歳。よくここまで漕ぎ着けたと感心してしまう。
さて、ここ第20階層のボス部屋だが日は少々嫌らしいのがゴロゴロ居る厄介な所でバジリスクの尻尾から状態異常系のデバフ等、諸々の攻撃を仕掛けて来る魔物と厳つい複数百足の毒攻撃が連携とってやって来るので厄介なのだ
俺の見立てでは単体では無理でも3人パティーなら行けると踏んで居るのだが拭いきれない不安が多いのだ。
何れも装甲が硬いので魔弾だけで倒す事は不可能だし、繰り出される無数の毒攻撃を防御しつつの攻撃は俺でも当時手子摺った。
「ここは1人では確実に死ぬだろう。お前達3人一緒に突っ込んだとしても少々・・・いやかなりヤバイくらいだ。ここは俺も同伴で行くとしようか。」と俺が言うと、
「折角ここまで鍛えて貰って俺達だけで続けてるのでなんとか俺達3人に任せて貰えないでしょうか?」とガスリー君に真剣な眼差しで懇願されてしまい、気持ちが判るだけに躊躇する俺。
そこで、「ヤバイと思ったら、直ぐにゲートで魔の森の小屋の前に脱出する事。守れるか?特に硬い上に何匹も居るキラー・センチピードの毒攻撃と、ウカウカしてるとデバフを仕掛けて来るバジリシク・・・本当にどれもヤバイからな。絶対に無理をするな!まずはバジリスクの尻尾と首をサクっと刎ねて魔装と気密シールドマシマシで『高周波ブレード』で斬りまくれ。素材の値段なんか気にして綺麗に殺(ヤ)ろうとか欲を出すなよ!この先もっと金になるのが居るから。」と何度も口を酸っぱくさせる様にクドクドと忠告してしまう俺。
そうだな、受験会場で受験会場入りする子供に「良い?名前を先に忘れずに書くのよ!?」と送り出す教育ママの様だなと自分で自分自身に笑いが漏れてしまう。
ボス部屋の向こうに消えて行く3人を見送りつつ、一足先にボス部屋の向こう側のポータルの間(ま)へと移動する事にしたが10分位たって念の為、魔の森の小屋の前ににも顔を出して逃げ出して来て無いのを確認し、5分位待ったが再度ポータルの間に移動したのであった。
更に5分位経った頃、漸くボス部屋の出口が開き誇らし気ではあるものの、何処かうへぇ~って叫びた気な顔をした子供達3人の無事菜姿を見た時には思わず腰砕けになってヘナヘナと座り込みそうになったのだった。
「怪我は無いか?みんな無事か?」と試験の出来栄えを気にして声を掛ける教育ママの様に、全の身体をペタペタと触りまくる俺。
「ヒャヒャヒャ、大丈夫だよ、お父さん、ね?」と擽ったそうに身を捩って同意を求めるコータとサチちゃん。
「ガスリーも大丈夫か?クルっと回ってみせてみろ?」と念には念を入れるて指示すると、手を広げて嬉し気にユックリ回って見せるガスリー君。
その後、どんな感じで何が厄介だったかを熱っぽく語る3人の話を聞きつつホッと一息付く俺達だった。
どうやら話の通りなら、俺のアドバイス通りに結構スンナリとバジリスクを討伐した後に、キラー・センチピードの毒攻撃を避けつつ『高周波ブレード』とストーン・ブリッド改ストーン・ショットガンを撃ちまくって削って行ったらしい。
まあ、その所為で回収する亡骸がどれもこれもうへぇ~って状態になってしまったとか・・・。
「まあそれは仕方無いよな。ここは。命一番だしな。いや本当にここをお前達だけで熟すとは正直凄い快挙だぞ。 後5分遅かったら中に乱入しようか考えてた所だったし。」と俺が言うと、その俺に似合わない過保護振り?がおかしかったのか全員がクスクスと笑っていたのだった。
そりゃあ、ギリギリの戦いになってないとは限らないからな。神経質にもなるって物だよ!!
実は18階層辺りぐらいからこの20階層のボス部屋をヤラせるか、凄く迷っていたのだ・・・。まあ今日の今日のガスリー君の懇願もあって決断した訳だが本当に無事に終わって良かったよ。
本日は20階層のポータルに登録して早上がりして、冒険者ギルドに溜まった魔物を放出した後お料理教室をする事にしたている。前回のクルージング・フィッシュの煮付けが好評だったそうで他の煮魚をとのガスリー君の要望もあって今回は鰤大根である。
まあ、正確には『鰤っぽい大根』?鰤っぽい魚(魔物)と大根の煮付けだし。ちょっとネーミングが面白いけど・・・。
■■■
久々の冒険者ギルドである。俺が連れ回している事もあって、3人は冒険者ギルド内でも有望株として密かに有名みたいだ。
「あいらっしゃ~い。」と早くも媚びを売ろうとする目敏い受付嬢がガスリー君に声を掛ける・・・おいおい、まだ7歳だからな?と突っ込みを入れたくなるがそのまま3人はゲンダさんのカウンターへとやって来てマジックバッグゲンダさんに渡す。
「おう、久々だな。何処まで潜った?」とゲンダさんが挨拶代わりに聞いて来る。
「20階層のボス部屋クリアだよ・・・。」と俺が答えると、
「マジかーー!?快挙と言うか、驚きだな!!スゲーな坊主達、良いか?無茶や無理だけは絶対にするなよ!!絶対に生きて帰れよ!!頼むぞ!」とゲンダさんも熱っぽく忠告したのだった。
今回の20階層のボスは結構ズタズタなのでやや低かったが、これまでのロック・リザード等の魔物が良い値で売れたので、一人頭約金貨12枚(120万ギリー)と端数になったのだった。
まあ確かにこの歳でこれだけ稼いでいたら、受付嬢も粉掛けたくなるだろうな・・・気を付けろよ、ガスリー君!と心の中で叫ぶ俺だった。
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