第279話 子供らの魔物狩り@マッシモ東ダンジョン その2
翌日も同じ様に第10階層のボス部屋に至るまで子供らにダンジョンアタックを仕込んで行く。
「良いか、次の第10階層のボス部屋のボスは前に話した様にブラック・オーガだ。硬いから、ストーン・ブリッドでヘッドショットだ。」と適切にアドバイスをして、
俺も付き添って4人でクリアする事も考えたのだが、ここは亜種とは言っても所詮オーガである。過剰過ぎると経験にならないだろうと思って、1人ずつクリアさせる事にしたのであった。
どうやら子供らで話し合いの結果、ガスリー君、サチちゃん、コータの順で行く事にしたらしい。
俺の時はここの討伐報酬の宝箱から『ホーラント輝石』が出て来たのは今となっては良い思いでである。
まあトラブルの種ではあるが、お陰で『天空の城』は空を飛んで居るからね。
さあ、子供らの宝箱からは何が出て来るか楽しみである。
どうやら子供達のテンションの高さはボス部屋の
「宝箱に目が眩んで戦いで気を抜かない様に気を付けろよ!!」と諫めてガスリー君を送り出した。
石の扉が閉まって5分もせずに直ぐに次の冒険者が入られる様になった。
どうやら中の戦いが終わったのであろう。
続いてサチちゃんが、「行って来ます。コータ向こう側で待ってるね!」と言って石の扉の向こうへと消えて行った。
今回も5分位で再入場可能となった。
「さあ、コータの番だ。気負わずに行ってこい!」と送り出し、やはり5分位で入場可能になったので、ゲートでボス部屋の向こうへ行くのは癪なので俺もボス部屋に入って久々のボオス戦を『黒竜丸』の一薙ぎで瞬殺し終わらせて、強制血抜きで時短して回収し、久々の宝箱・・・木箱を開いてショボいポーショソンを回収してふてくされつつボス部屋を出たのであった。
ボス部屋を出ると、嬉し気に手に入ったお宝を見せ合う子供達が『ちゃんと』3人待っていてちょっとホッとしたのであった。
子供らは全員デザインの異なるミスリル製の短剣をゲットしていて、自分の短剣と他の短剣の違いを見比べてキャッキャと喜び合っている。
まあおれだけポーションだったのは納得いかないけど、俺だけ初回じゃなかったからかな?
「トージ兄ちゃんの短剣はどんなのだったんですか?」とガスリー君に言われ何となくみんなの喜びに水を刺す様な気がしてしまい、嘗てここのダンジョンでゲットしたミスリル製の短剣を思い出して『時空間庫』から取り出して見せたのであった・・・。
「あ、お父さんの短剣もカッコ良いね!」と可愛く微笑むサチちゃんの優しさが胸に浸みるのであった。
全員に10階層のポータルに登録させてこれで完全に10階層覇者としての登録が完了したのである。
この瞬間、この子ら3人はこのマッシモの冒険者を完全に抜いた事となる。
ここに来た者は史上俺を含めて先駆者の先達のパーティー込みで6人である。
何気に凄い偉業なのだけど、『黙認』中で大っぴらに自慢出来ないのが口惜しい。親馬鹿と言う事無かれ。親なんてみんなそんな物だろ?
「さあ、ここからが本番だ。気を引き締めろよ!」と檄を飛ばし第11階層へと進むのであった。
久々の11階層の砂漠エリアに大喜びの子供達に比べ、砂漠にゲッソリして居る俺。
確かにこれだけの砂にお目に掛かった事が無ければ最初は感動するか・・・。
まあ歩いて移動し始めればそのエグさが判るだろうけど、しかし、ここの気温は本当に暑い。まるでサウナである。
「良いか前に教えた様に、魔力の流れを察知して下層への階段の方向を掴み取るんだ。闇雲に歩いていたら死ぬぞ。 あ、あと魔装もだけど風の気密シールドで気温のコントロールしないとい熱中症でやはり死ぬから気を付けろ!」と注意を促す。
折角なので、良い機会だからウィングスーツでの移動を教えたい所だが、砂の上に墜落しても危険なので止めてホバー移動でやや高度を高めに取る事にした。
今度子供らの身体に合わせたウィングスーツの布版作って教え込むとしよう。
俺達がホバー移動で浮くと直ぐに地上にサンド・ワームが顔を出して食い損ねた俺達をムキになって探していたのだった。
「お父さん、あれは何?」とコータがいきり立つサンド・ワームを指差すので、
「ああ、あれはサンド・ワームと言う砂の中に潜んで居る魔物だ。砂漠の上を歩いている足音を聞いたらああやって砂の中から襲い掛かって来るんだよ。普通に歩いて居たら、幾ら魔力があっても足り無いかも知れないな。」と説明したのであった。
1時間ほどホバー移動を続けた結果、漸く懐かしののマヤ文明のピラミッド風建築物が見えて来た。
「あれだ!あの建物の中に下層への階段がある。 面白い形だろう? あんなのをピラミッドって呼ぶんだよ。」と観光ガイド宜しく説明してやると面白そうにピラミッドを魅入っていた。
そして、グランドキャニオンの様なステージの第12階層まで降りて来た。なかなかに良いペースである。
初めて見る絶景に声を上げて喜ぶ子供達。もう既に気分は観光となっている。
「おいおい、絶景ではしゃぐ気持ちは判るがここにはロック・リザードと美味しいクルージング・フィッシュが居るから気を抜くなよ!」とピシッと注意しておいた。
この人数で来たのだから以前よりも沢山のクルージング・フィッシュを獲って帰りたい物だ。
昼飯時になって弁当を広げ、昼食後ロック・リザードを30匹程倒した所で時間切れとなってしまった。
子供らとの行動なので、時間厳守はマストなのである。 しょうがない。
渓谷の河でのクルージング・フィッシュ捕獲は明日へ持ち越しとなってしまったのであった・・・。
子供らもクルージング・フィッシュに期待していた様で非常に残念そうにして居たが、「どうせ1日延びただけの事。気に病むことは無いさ!明日その分沢山捕ろうな!」と慰めながら帰るのであった。
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