第278話 子供らの魔物狩り@マッシモ東ダンジョン その1
結果として「冒険者ギルドとしてはやはり原則としてルールを曲げる訳にはいかない。」と言う正式な回答が2日後に届いたのだが『但し』が付いた。
ぶっちゃけると許可はしないが・・・・『黙認する』と。つまり他の冒険者に見られない様に上手くやれよ!と言う事らしい。
まあ、そうだろうな。特例を認めてしまうと、我も我もと湧いて出て来る実力の無い輩が増えそうだしな。
逆によく黙認してくれる気になった物だ・・・。
そんな訳で今日から黙認下のダンジョンアタックの引率となる。
ある意味サチちゃんの当初の望みが叶った訳だ。
隠密モードでこっそり入場して辺りに誰も居ないのを確認した上で隠密フルセットを解除する。
「良いか?ダンジョンはある意味『魔の森』よりも理不尽な事が起こり易い。油断はしない様に。魔装は常に纏っておく事!!」と皆に言い聞かせて久々の第1階層からサクサク小走りに勧めて行く。
これが10階層を超えてしまえば他の冒険者達に出会う心配も無くなるので暫しの我慢である。
俺のダンジョン話を聞いて夢を膨らませて居た子供らに取ってある意味この世界での『夢の国』かもしれないがここの夢の国は命懸けなので幾ら楽しかろうが油断は大敵である。
薄暗い明るさにも目が慣れて来たらしく、俺が指摘するより早くスライムを討伐してサクサク進む小さい戦闘マシーンの様な子供達。
当然だがアッという間に1階層を終えて第2階層へと足を踏み入れ、サクサク地図に従って踏破して行く。
一応、付き添っては居る物の完全に公園まで散歩に出かけている親子連れ同然である。
そんなハイペースのお陰で、午前中の内に第5階層へと辿り着いてしまったのだった。
所処で何かそれっぽく注意をしたいところだが全く減点ポイントが無く、あのポンコツコンビがここで遭難仕掛けた事を考えると、滅茶滅茶優秀である。
「ここは美味しいオーク肉とダッシュ・バッファロー肉が取れる肉階層なので気を引き締めて良い肉を回収する様にな!」と一応アドバイスを入れておいたのだった。
久々のこの階層と言う事もあって、俺も参加して4名で豊富な肉三昧で狩り倒して肉の備蓄を増やしておいた。
ワイズ・オウル、バトル・コッコを狩るのも久々である。
1時間以上狩り廻った後、久々の第6階層に入った。
「良いか?この階層からダンジョンの罠が在るからきを付けろ! 食らったら助かるかは判らん。」と先に注意を促しておいた。
俺がこの子らにダンジョンアタックさせたかった大きな理由はこの『罠』である。ダンジョンの罠の検知はここダンジョンでしか訓練出来ないからだ。
子供らに魔力検知を使った罠の検知方法と解除方法を進みながら教え込んで行く。
ある意味砂浜で埋まった小石を探す様な地道な作業であるが、これが結構子供達には『宝探し』や『間違い探し』の様に楽しかったらしく、凄い集中力で没頭しアッと言う間に物にしてしまったのだった。
正に『好きこそものの上手なれ』である。
残念な事に前回俺の時には発見した宝箱は今回は出て来なかった。
「前に来た時にはここに宝箱が在ったんだけど、毎回在る訳じゃ無いみたいだな。残念だ。」と俺が説明すると、少ししょんぼりしる子供達だった。
一度あの宝箱を発見した時のワクワク感を子供らにも味合わせてやりたい物である。
まあここ第6階層以降にも何度かチャンスは在るが、早めに出て来る事を祈るのであった。
第7階層への階段まで来た所で本日はタイムアップ。
俺の時もここから先の階層はすっ飛ばしてサクサクと進んだ記憶があるが、美味しい肉が在る訳で無く大して面白く無い階層である。
どうせ、駆け足で行くにしても1日1~2階層が良い所だし、本日はここまでが丁度良いだろう。
続きは明日のお楽しみとしてゲートで自宅に戻るのであった。
ガスリー君も一旦我が家に寄って反省会を軽く済ませて興奮醒めやらぬ感じにカレンさんの待つ自宅に戻るのであった。
まあ一応反省会と言う名目にしているが、実際には現地でバラバラに帰って一人だけ家に辿り着かなかった等と言うトラブル防止が最大の理由である。
転移系の罠や転移防止のエリアとかあると怖いからね。
家に帰り着くと、サチちゃんとコータは大興奮で今日のご報告をアリーシアの部屋に突撃して矢継ぎ早に報告していて流石のアリーシアも苦笑いしながら対応していたのだった。
ちなみに、アリーシアが居る場所でユーキちゃんを抱いても全くグズる様子が無い。
別に俺が嫌われている訳でも匂いが生理的に駄目とかで拒否されている訳じゃ無さそうなのでちょっと胸を撫で下ろしたのであった・・・。
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