第275話 子供らの魔物狩り@魔の森 その2

翌朝になると元気な3人が集まって一緒に魔の森の小屋の前に移動した。


本当は数日間ついて廻る予定であったのだが、昨日の危なげ無い役割分担と対応力応用力を見て居ると、完全に過保護過ぎる様に感じて来たのだ。


「今日は昼にここに戻って来るまで自由に廻って良い。俺は昨日の様に付いて行かないからピンチになっても助ける事は出来ないと思ってくれ。まあ、昨日の調子なら大丈夫だと思うけど慢心して油断だけはしない様にな!?慣れて来た頃が危険だったりするからな!

あ、昨日のゴブリンで判ったと思うけど、匂いに気を付けろ!血の臭いや焼いた匂いに群がる魔物は多い。自分自身にこびり付く匂いだけじゃ無く戦った後の匂いにも気を配る事。ヤバくなったら即撤退。『命大事に!!』以上だ。気を付けて頑張れ!」と言って3人を送り出した。


3人は「はい! 行って来ます!」と元気に応えてゲートを発動して消えて行ったのだった。



3人が去った後俺は上空に場所を移して森算対を俯瞰して子供らの加配を探り見つけた気配の場所上空へと移動した。


今朝は初っ端から昆虫系の獲物を見つけて対戦する事に決めたらしい。


しかし、キラー・アンツか!! 大丈夫か彼奴ら?結構な堅さだぞ? とちょっと心配になってかなり付近まで高度を下げて何時でも間に割って手助けに入られる様に心の準備を始めた。


アンツ系の嫌らしい所は1匹目が負けそうになる前に援軍を呼び集める事にある。


娜ので全滅させて涸れるのを待つか撤退するかの何方かとなる。


だがちびっ子ハンター達は『高周波ブレード』を匠に使って胴体と頭の関節部分を口から吐き出される酸性の液を掻い潜りつつ1匹1匹と危なげ無く倒して行く。



さあ、ここからが問題である。周囲の地面には酸っぱい酸性の液でやや泥濘更には倒したキラー・アンツの身体が横たわっていてあしの踏み場が減少して居る。


「さあ、いそいで、できるだけ亡骸を回収して次の一団が来る前に撤収しよう!」と見事な指示を出すガスリー君。


全員でてわけして16匹の亡骸を『時空間庫』に回収して留まらずにサッサとゲートで移動してしまった。


実に見事な采配である。


しかし、彼奴らすげーな!よくあの歳で自分よりデカくてグロテスクな昆虫と戦う気になれるな・・・。


まあ確かにアンツ系は外骨格が武具の材料として高く売れる事は教えてたけどさ。


いやぁ~参った参った。と思わず笑い画漏れてしまった。


もしかして彼奴らだったら、俺と同じく、マッシモ東ダンジョン最下層まで行けるんじゃないか?とちょっと期待してしまうのであった。



さて上空で子供らを探すと岩場の辺りに反応があった。


ほう、彼処ら辺って事はリザード狙いか?


リザードの肉も美味いけど皮が良い値段で買い取って貰える。


あれ? 彼奴ら金を稼ぎに行ってる?


まあ普段の小遣いは十分に与えて居ると思うけど、其処は年相応の金額なので高が知れてる。


もしかして何か欲しい物でもあるのかな?


お! 始まった。俺はコーヒーの入ったマグカップを片手に完全に観戦モードでフォース・フィールドの足場の上で寛いで観ている。


戦いは終始安心して観てられる物で全く非の打ち所が無い物だった。


まあ特にリザードの場合他のリザードとの共闘等の連携はないので非常にヤリ易い相手ではあるのだが、毒液を飛ばして来るので注意が必要なのである。



それからも次々にサーペントやスネーク等ジャンル問わずに借り続ける小さい猛者達。


流石に若いだけあって体力が在るなと感心していたら、ここらで一旦小屋の前にも度って休憩に入るらしい。


いやぁ~小憎らしい程に玄人顔負けだな。


本当に今回のを観ている限りは非の打ち所が無い。


これはもう完全に信頼して任せても問題が無いだろう・・・。



この子らはダンジョンに入っても閉鎖空間そのものに抵抗がなければ上手くやって行けそうだな。


今の状態のまま育っていけば金に目が眩んで見誤るなんて事もなさそうだし大丈夫だろう。


それから2時間が経った昼飯時に全員が小屋の前に集合し、昼飯を取る事にした。


勿論子供らも無事でニコニコ顔で帰って来て満足のいく狩りが出来た様で在る。


そして、昼食を取りながら会話して居ると、


「トージ兄ちゃん、昨日今日で狩った魔物を冒険者ギルドに買い取りに出したいんだけど良いですか?」とガスリー君が聞いて来た。


どうやら、ガスリー君のお母さんのかれんさんのお誕生日がもう直ぐだそうで誕生日プレゼントが買いたいとの事だった。


もう、良い話じゃないか!!思わずウルッとしてしまうだろ!!と心の中でさけびつつ奥歯を食いしばって涙を沮止した。


「良いぞ、そうかカレンさんの誕生日か。それだったら、プレゼントも良いけど、それとは別に自分で作った料理で祝うのも親に取っては嬉しい物だぞ!?」とおれがそれとなくアドバイス。


「あ~、料理か・・・トージ兄ちゃん、教えてくれる?」と頼まれたので、ドンと胸を叩いて引き受けたのであった。


「じゃあ、明日から数日は魔物討伐はお休みで家で料理の練習って事で良いか?」と3人に問うと全員一致で「「「はい!」」」と声が揃ったのであった。


「料理って言っても、難しい物でなくて十分なんだよ。そうだな。出汁巻き卵焼きと味噌汁にご飯と焼き魚だけでも十分に嬉しい物さ。間違い無いよ!!保証する。」と俺が言って今日は早めに上がって冒険者ギルドに買い取りに持って行く事にしたのであった。

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