第274話 子供らの魔物狩り@魔の森 その1
真新しいオーガの皮鎧一式を身に纏った小さく初々しいハンター達と一緒に『魔の森』に行く訳だがまずは一旦俺の小屋の前にゲートで移動して注意事項の復唱や魔物別の注意点や
皮鎧が出来上がるまでの1週間座学でミッチリ『魔の森』の魔物の講義を行って居るので、面と向かった状態でビビらなければオーガクラスまでは楽勝で行ける筈である。
最初の2~3日は帯同するがそれ以降最低でも1週間ぐらいはは隠密状態でコッソリ見守るつもりである。
幾ら防具で身を固めたと言っても所詮は人族の非力な子供だからな・・・。
本当に安心して良い物かをちゃんと見極めないと。
落ち着いて居る様に見えるが頬が上気していて楽しみにしていたのが判る3人。
「よし、じゃあ今から俺は余程の事が無い限り指示を出さないからな。只陰のの様に付いて行くだけだ。」と言って隠密セットで姿気配を消すとハッとした様にスイッチが入って最年長のガスリーがリーダー役を始めた。
「じゃあ、まずは上空から周囲全体の地形や魔物の状態の確認からだな。」と言って教えた通りに上空にゲートを繋げてフォース・フィールドの足場を出して下を確認して居た。
俺?俺は別口のゲートで子供らの傍にフォース・フィールドの足場を出してソッと息を潜めて居るよ。
3人でゴソゴソ相談した後、最初の獲物を見つけた様でそちらにゲートで移動して行った。
あ、彼奴ら、初っ端からエグい所に行ったなぁ~。と慌ててキラー・ベアーと言うこの森でも比較的強力な熊の魔物の気配の所へとゲートで後を追った。
俺が現地に着いたのはグガー!と一際大きな唸り声で吠えるキラー・ベアーの前に出て3人が一斉にストーン・ブリッドの礫を発射し、ガスリー君がジャンプして『高周波ブレード』でその首を墜とすタイミングであった。
しかもガスリー君がしくじった場合に備えてサチちゃんが二の矢の発動準備もしていて、コータは背後と周囲を油断無く警戒している。
もうこれは控え目に言ってもパーフェクトである!!その後血抜きを済ませると、血抜き用の穴を埋めて『時空間庫』にキラー・ベアーの亡骸を回収して何事も無かったかの様に次の獲物を求めて移動を開始したのであった。
本当にこの子らは凄いな。ちゃんとに教えた事を本番で迷いも怯えも無く実行出来ているし油断も無い。
次の獲物は単体のハグレオークにした様でコータの魔弾が眉間にヒットして即終了していた。
そして同様に血抜きを行ってから回収して、次へと移動を開始する。
次はフォレスト・ディアーをサチちゃんが仕留め~~・・・。
午前中の2時間だけで大小結構な数の魔物を危なげ無く仕留めている小さなハンター達。
12時になる前に約束通り安全地帯である魔の森の小屋の前に一旦集まって昼食を取る事になる。
「ちゃんと見て居たぞ!なかなかに良かったぞ!! 油断せずにちゃんと周囲の警戒を怠らなかった所とか其処らの駆け出し冒険者以上に良い出来映えだったぞ! これで満点だったからと言って気を抜くなよ?この森はこんなレベルの魔物が居る場所だが、お前達なら余程のヘマをしない限り大丈夫だろう。 さあ、昼飯にしよう。」と言ってクリーンを掛けた後にお弁当を広げるのであった。
子供らは子供らで俺が隠密セットで着いて行って居るのに全く気が付かなかった様で逆に驚いて居たが、思う存分力を奮う事が出来た様で満足気に思い返しながら討伐時の話を咲かせていた。
昼食後は午後1時間だけ狩りを続け、初日と言う事も考慮して早めに上がる事にするのであった。
とは言え、午後にはこの魔の森特有の強力なゴブリンの群に遭遇し、3名協力の元魔弾を乱射して強化型後鰤たちを惨殺し、穴を掘って燃やして埋めていたのだった。
子供らにゴブリンの魔石を取る様に教えて無かったのは臭いからである。
それでもサチちゃんもコータも顔を盛大に顰めて容赦なく燃やして更に辺りに広まるその独特の臭い肉の焼ける匂いに怒っておいでだった・・・。
こうして、魔の森の魔物狩り初日は無事に完了したものの、お土産とばかりにゴブリンの焼ける臭い匂いを染み込ませての帰宅となったのであった。
どうやら、風魔法の気密シールドを張り忘れて居たらしい。
まあ、可愛いオチではあるが、毒ガスが発生している場合もあるので帰宅後に指摘して注意したのであった。
本人達は最後にケチが付いたのが非常に悔しかった様だったが、それくらいのオチがあった方がこの先失敗しない為に良かったと考えたい。
特にダンジョンの様な閉鎖空間だと、罠から毒や麻痺ガス等が噴出される場合もあるので気密シールドは重要である。
だが、3人共に相当に充実した1日となった様でガスリー君はホクホクしながら帰って行ったが、サチちゃんとコータは夕食後、早めに就寝してしまったのだった。
目に見えない精神的な気疲れの結果だろう・・・。
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