第261話 新年と子供らの門出

そんな感じに清く正しい『地上げ』方向に舵を切ったのだが正攻法ではなかなか上手く行かずに頭を悩めて居たのだが、『神は居た!』ってシャレじゃなくて居るのも食いしん坊なのも知ってるけどさ。


ある日ヒョッコリジョニー殿下から久々に電話が掛かって来た。


「なんか小耳に挟んだんだけど、トージの所で国民の為の事業に敷地が要るのに必要な土地が上手く取得出来ないんだって?

王宮の方から各領主に善処する様に指示しといたから~。」と軽く恩に着せることも無くサラッと連絡があったのだ。


何が不思議って俺のしようとしていた保育所事業の事をしっていたのもビックリだけど、地上げ出来なくて困ってる事まで判ってる事にビックリしたよ!


そう言えば王家の飼ってる『影』部隊居たな・・・あれが調べて報告したのか?


何はともあれそれ以降、あれだけ難航していた交渉が嘘の様に決まりトントン拍子に進んで行った。

元々破格の代替え地の提供や金銭面の提示もしてたのに、揃いも揃って首を縦に振らなかった奴らがさ、急に打って変わって、手揉み状態でニコニコしてるとちょっと怖くもあるが・・・。


それも1つの領都のは無しだけで無くて、手を出している全ての領都である。


やはり、腐っても鯛? 王宮の一声恐るべしである。


そんな訳で年末にかけて急速に事態が動いたが年末で今年中の仕事は終了である。


普段から頑張って真面目に働いてくれて居るみんなには年末年始で10日間の年末休暇をちゃんと取って貰っているのだ。


じゃないと時々超忙しくなってブラックになり過ぎるからね。全社的に休む時はドカッと休む。


この世界ではこう言う風習が無いらしいので、家以外は常に年中無休でブラック気質である。


ただ家が休みを取る事によって、家の取引先は開店してても売る物が無くて休まざるを得ない店や商会もあるようで、釣られる様にそう言う所もお休みなると言う感じ。


我が家では恒例の餅つき大会やって、お雑煮食べて、ミカンの皮の香りのする黒光りする黒豆や子供達大好き栗きんとんなんかでお正月を満喫している。


子供達だけでなく、年末のボーナスを兼ねて従業員全員にお年玉と言うボーナスを渡すのも我が家の年末年始の恒例行事である。


そうそう、年始の挨拶をした後、マッシュとリンダに改まって話があると言われて聞いてみたら、18歳になった事だしそろそろ結婚したいとの事で、思わず涙が出る程俺も嬉しくなってマッシュとリンダを纏めてギュッと抱きしめて「おめでとう!!良かった!!全面的に援助するし、立派な結婚の儀と披露宴にしようぜ!!」と思わず力が入ってしまったのだった。


すると、「ありがとうございます。で、俺達だけでなくて、一期生の残りも同時に結婚をしたいと言ってまして。」と驚きの追加があった。

組み合わせは次の通りらしい。

マッシュとリンダ。

クリスとアーニー。


サリーとヨハン(二期生)。


ジャン(二期生)とロジェ。



確かにな・・・一期生も5名で男女同数じゃないから二期生の男の子とペアになったのか。なる程。


「判った。まずは休み明けに衣装を作ろう!! これから楽しくなるな!!」と満面の笑みで応えたのであった。



 ◇◇◇◇


半月で衣装の新調と結婚の準備も全てが終わり、俺とアリーシアの結婚の儀の時と同様レベルの結婚の儀を5組6人でやって、新年早々街を挙げての結婚披露パーティーとなった。


俺と、孤児院の司祭様とで親代わりに全員の前で挨拶をして、不覚にも嬉しくて思わず涙が零れてしまった俺だ。


「君らは俺達の家族だ、結婚仕様とも家族の一員である事は血の繋がりの有無関係無く変わらない。何か困った事や悩みがあれば1人や各夫婦で悩まずに、俺やアリーシアにも相談して欲しい。そして、願いは一つ、幸せになってくれ!」と締め括ったのだった。


俺も割と号泣したけど、参加した他の子らも貰い泣きして居た様だった。妙な号泣披露パーティーであるが、その後、ラルゴさんのお祝いの挨拶のターンで、「多くの結婚のパーティーに呼ばれましたけど、ここまでみんな嬉し泣きで号泣して居る回ははじめてですよ!?」と言われ全員が大爆笑するのであった。



一瞬で空気を変えるとは流石はラルゴさんである・・・。



まあ、その後飲めや食えやと大騒ぎした後、6名5組の新郎新婦からのお礼の言葉のスピーチで、

「本当に、トージ兄ちゃん、アリーシア姉さん、そして孤児院の司祭様、皆さんのお陰で飢え死にする事無く、寒い思いもせず、寂しくも無く生きてこられました。本当に本当にありがとうございます。

そしてこれからも、俺達家族を宜しくお願い致します。」と言って全員が頭を下げた時、またもや号泣する俺だった・・・。



さて、彼らの新居だが、既に新邸宅の敷地内に家族向けの4LDKの棟を4棟程建ててあるのでそっちに移る様に言ってある。


あの飛行船を作って居た横で立ててた宿舎である。 まああの頃には既にマッシュとリンダは婚約状態だったしゴールインも秒読みだと思ってたからね。


俺が多忙で振り回した所為で意外に時間が空いただけだよな・・・きっと。 すまんんな2人!


こうして泣くだけ泣いた子供らの結婚の儀は終了したのであった。


翌朝、目が若干腫れていたのでソッと回復を掛けておいたのは内緒だ。



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