第259話 マッシモの町を挙げての歴史的大宴会
翌日、久々ぶ朝から冒険者ギルドに顔を出して奥に陣取るゲンダさんの所へと向かってニヤリと笑いるつ前回提出分から最終の100階層までのレポートをドンとカウンターに置いて、
「完全踏破したよ、第100階層で最後だった。」と告げると、「うぉーーー!」と突然雄叫びを上げるゲンダさん。
そして「と、トージがダンジョン踏破したーーー!!うぉーー!踏破したぞーー!」と補足するかの様に叫んだのだった。
すると最初こそポカンとしていた依頼掲示板前の冒険者や受付嬢までもがウォーー!キャーー♪と大騒ぎ。
その騒ぎを聞き付けて「なんだ?」と初めて2階から姿を現す謎のおっさん1名。
「ゲンダーー!一体何の騒ぎだ?」とそのおっさんが尋ねると、「ウェンガー!おっと、ギルドマスター!! トージがトージがついにやったんだよ! マッシモ東ダンジョン最下層まで踏破したんですよ!」と告げると、
そのおっさん(ギルドマスター)までもが「ウォーー!」と叫び始めたのだった。
一頻り騒いで収まった後、改めて自己紹介されたのだが、このおっさん(ギルド・マスター)はウェンガーさんと言う元Aランクの冒険者で、冒険者時代のゲンダさんのパーティーメンバーだったらしい。
なので、気を抜くとついつい呼び捨てにしてしまうそうだ・・・。
そんな訳で大盛り上がりになった冒険者ギルド内、このままじゃ収拾が付かないって事で、俺が「もし出来るなら、せっかくだし中央広場で宴会しませんか? 費用おれが全額持つので。」と提案してみたら、更に盛り上がる冒険ギルドの全員。
そんな訳で早速ゲンダさんが冒険者ギルド代表してマッシモ様の所に打診しに行ってくれる事となり、序でに俺の方から商人ギルドの2人に連絡しておいたのだった。
準備期間も必要と言う事で開催日を5日後として、その間に食事の準備等や会場となる中央広場の準備を行う事となった。
俺は先日腕慣らしの為に狩った肉共の解体を冒険者ギルドにお願いして、マッシュ達に5日後に大宴会を行う事をお知らせすると、「もっと早めに打診してくださいよぉ~。」と若干の泣きが入ったが食事の準備等に関しては「任せてください。」との心強いお言葉を頂いたのだった。
会場のテーブルや椅子の準備を一足早く済ませた俺は、各地に宴会に必要な食材や酒の買い付けに出向いて、大いに散財して廻った。
買い付けた食材等の殆どはマッシュ達にマジックバッグで託しておいて、俺は肌寒い季節と言う事でおでんの屋台の作成に入ったのだった。
あのよくコンビニとかに置いてあるおでん用の仕切りの付いた深鍋を銅板で鍛冶屋に数セット作って貰って、ヒーター部分を付けて魔動具化したのだ。
コンニャクや厚揚げなどは既に作ってあるが、練り物までは流石に作って無かったのでガンもやはんぺんチクアブは今回は無しである。
練り物かぁ~流石に其処まで気が回って無かったなぁ~。実際ちょっと気になって調べたらこっちのお魚ベースで練り物出来そうなんだよな。
流石に今回の宴会には日が無いので間に合わないけど、美味しいおでんの為にちょっと具材の充実を謀ろうと思う。
一応、餅入りの巾着ぐらいは今からでも間に合うので、1人コツコツと油揚げに餅を入れて口を縛ってを繰り返す。
大根やコンニャクに隠し包丁を入れたり、米のとぎ汁で大根を下茹でしたり、ゆで卵を大量に作って殻を剥いたり、水で戻した昆布を結んで結び昆布を作ったり具の種類が寂しいので牛スジやジャガイモの皮を剥いたりと地道な作業をコツコツと頑張ったのだった。
そして大量のおでんのだし汁を作って、前々日から煮込み始めた。
本当は大根やなんかは圧力鍋とか使うとサクっと味が浸みるんだけど無い物は時間で解決するしか無い。
斯くして、我が家の総力を投入した万全の下準備の下、マッシモの街を挙げての大宴会の当日になったのであった。
■■■
最初に街を代表してマッシモ様からの祝福の挨拶と乾杯の音頭を頂いた後、俺の挨拶の番となり、若干頬を引き攣らせながら壇上に上がって、
「えー、どうもトージです。この度はお陰様で無事にマッシモ東ダンジョン最下層まで踏破する事が出来ました。少しでも後続となる冒険者諸君の役に立つ情報も持ち帰れたと思います。
出来れば多くの冒険者諸君に魔法を学んで貰いダンジョンに挑んで欲しい。無事に帰るまでが冒険だ。絶対に途中で命を落とす事なんて無い様に万全の準備と日々の鍛錬を!
今回は本当にありがとう。今日は俺の奢りだ!十分に飲み食いして行ってくれ!」と挨拶を締めると会場を割れんばかりの拍手と歓声が埋め尽くした。
そして開催から20分程経った頃、何故か2機の飛行船がマッシモ上空に飛来して、俺の邸宅の方へと着陸して行った・・・。
おいおい・・・家に無断で駐機するんかよ!? とちょっとムッとしたのだが、よくよく考えると、今のマッシモで一番問題無く駐機出来るのは我が家の敷地しか無い事を思い出ししょうがないなと思ったのだった。
とは言っても、放置も拙そうなので、マッシモ様の方をチラリと見ると、何とも言えない顔で目配せして「すまん」とでも言う様に両手を合わして居たのでなんとなくではあるが、情報漏洩ルートが判明してしまった。
しょうがないので、俺がゲートで自宅の駐機場所まで確認しに出向くと、
やはり予想通りのメンバーが正に飛行船から下りて来る所だった。
ジョニー殿下、それに続く様にジェシカ夫婦とちゃっかり国王陛下と宰相閣下と数名の従者までやって来てしまい、もう何も言えない状況。
「やあ、この度はおめでとう!流石は御使い様、いや、トージ殿だな。」と言う国王陛下と横でちょっと申し訳無さそうな表情のジョニー殿下。
「どうも、もしかして、この宴会にお祝いの為に駆けつけてくてたのですか?」と判りきった事を一応聞いて確認を取る俺。
大方お祝い半分、退屈凌ぎ半分だよな。
「おう、勿論じゃぞ!のう、ジョニー!」と言う国王陛下。
「トージ、本当におめでとう。」とジョニー殿下が笑顔で俺にお祝いの言葉をくれた。
「師匠、おめでとうございます。折角のお祝いらしいので、可愛い弟子のジェシカも夫と共に駆けつけましたよ! さあ、食べ物のある会場に移動しましょう!」と急かす結婚しても相変わらずのジェシカ。
まったくぅ~、ここでも食い物かよ。身も蓋もないなぁ~。
しょうがないので全員を連れてゲートで会場の中央広場へと戻り、王族専用のテーブルを何処かに作ろうと考えて会場を見廻していると、サッと横にマッシュがヤって来て、マッシモ様の真横に増設されたテーブルと椅子をそれとなく指差して、
「こんな事もあろうかと彼方のマッシモ様の真横にに専用の席をご用意して置きました。」とソッと告げるやり手のマッシュ君。
一方その隣のマッシモ様はと言うと、何とも言えない微妙に引き攣った顔で先程までの美味しい物を食べて幸せそうな様子の欠片さえ無くなっていたのだった。
その後、王族全員の軽いお祝いの挨拶と、差し入れのお酒の樽もつかされ、民衆は大いに沸いた。
正直、民衆にとっては、お祝いの言葉とかどうでも良くて、追加のお酒が増えた事のみがウケたらしい。
実際の話、確かにダンジョン踏破自体は歴史的快挙ではあるが、後世に語り継がれたのはこの大宴会の規模と様子であったと言う・・・。
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