第253話 不穏な気候の余波 その2

翌日も続く復旧工事である。


何か子供達に申し訳無い感じなんだが、それもあるがもっとヤバイ事もある。


現状、家の主力の70%をこちらの復旧工事に注ぎ込んでいる為、店の方の運営に支障が出ており、目下張り紙に事情を書いて店を休業中なのである。


そりゃあ残りの人材で一部の店を無理矢理開けられない事もないが、それを初期訓練さえ住んで無い孤児院上リたてのヒヨっ子にさせるのは酷と言う物だ。


なのでここは潔く休業をチョイスした訳だ。



早朝から昨日の続きを始める。


ゲートの使えるリーダー達は一気に班員を連れて昨日のポイントへと去って行くが流石に全リーダーがゲートを使える訳じゃ無いのでそう言う者達の班は昨日同様に飛行船での送迎である。


まあ彼らの名誉の為に補足すると、別に彼らが『出来んちゃん(能力不足)』な訳でなく、上から順に習得して逝っており、一期生から指導を受けて二期生が習得し、そして二期生が三期生を指導~~と言う様に順に伝言ゲームの様に指導が廻っていたんだけど、単にタイミング的に間に合わなかった者達と言う事だ。



だからこそ、その習得が間に合わなかった事を一番悔しく思って居るのは当の本人である彼らであろう。



■■■


俺も昨日とは違う新しいポイントへと配置されて上空で落として貰った。


今回も昨日同様難易度の高いに山間の林道の復旧である。


「えんやこらさ」っと掛け声と共に崖崩れで塞がった林道の土砂の前に着地した。


すると、なにやら微かにウーン、ウーン・・・と唸る様なか細い呻き声が確かに何処からか聞こえて来る。


俺は焦って直ぐに気配察知でどのその呻き声の主を探し始めた。


パッと見良く判らなかったんだが、どうやら、土砂の中に岩の隙間がある様で、そこに微かではあるが、人の気配がある。


どうやら、完全に土砂で塞がって居らず、幸運にも何処からか空気の通り道が在るみたいで、其処から内部の声が漏れていたらしい。


「おーい、土砂に埋まってる人!! 安心しろ!今直ぐに外に出してやるから諦めずにあと少しだけ我慢しろよ!!」と風魔法の拡声で声を張り上げて内部の要救助者に語り掛けたのであった。


まずは、覆い被さっている土砂を崩して空気穴を塞がない様に取り除く事から始める。


土砂の上3mぐらいにフォース・フィールドの足場を出して上から土砂を見下ろしてみて漸く空気穴を発見した。2枚の平たい岩が手を合わした様に先端で合わさって居て、土砂からと美出して居る。


その隙間から新鮮な空気が少量ずつ入り込んでいたお陰で呼吸が出来て居た様である。不幸中の幸いとしか言い様がない。


土砂を前面的に取り払うと、2枚の岩の支えが無くなり、逆に要救助者がヤバそうである。


なので、ここは貝を無理矢理こじ開ける様にフォース・フィールドで2枚の岩を力技で開き、中の要救助者を引っ張り出す事にした。


まずは状態を聞いておかないと。 もし岩の下に身体の一部でも挟まっていたら一大事だし。


「おーい、聞こえるか?2名居るんだろ? 身体岩や土砂に挟まってないか?」と空気穴から直接声を届けると、中から幼い声がして、


「いうらは大丈夫だけど、とーちゃんが、怪我してて、動けないんだ! 挟まったりはして無いけど、オイラを庇って背中と頭を岩で打ったんだよ。早くとーちゃんを助けて!! さっきまで意識あったんだけど、今は意識が無くなったんだよ!」と焦った声で答えてきた。


俺は空気穴から、風魔法で新鮮な空気を十分に送り込み、光魔法の小さいライトを入れて、内部をてらしてやった。


「いいか?今から、この大きな2枚の岩を押し開く。」と声を掛けてから、フォース・フィールドでパンタグラフジャッキーの様に岩の隙間をグイグイとこじ開けながら、内部に土砂や岩が落ちてこない様に、フォース・フィールドの足場を出して頭部を守ってやったのだった。


大漁の土砂の所為で2枚の岩のこじ開け作業は思った以上に抵抗が大きく難航したものの、5分ぐらいでなんとかパッカリと貝の口が開く様に岩が反発する様に、反対側に倒れたのであった。


中に居たのは、

5歳ぐらいの男の子と大漁に出血して居るそのこの父であった。


俺は直ぐに2人を無属性の触手で掴んで引っ張り出して、土砂の無い林道の地面に横たえた。

男の子は無事そうだが、父親の方はかなりヤバそうであれる。


「とーちゃん!! とーちゃん!!」と身体を揺すって起こそうとする少年を直ぐに強く制止して、クリーンを2にイン掛けた後、まずは父親の頭に決戦や脳が腫れていたらそれを押さえるイメージで回復を掛けて、更に背骨や延髄の神経等も含め全てが回復する様に回復魔法を掛けたのであった。


そしてついでに、狼狽えて「とーちゃん!」と叫んで居る少年も念の為に回復しておいたのだった。


「よし、もう大丈夫だ。喉渇いただろ? 腹も減ってるか?」と言いながら飲み水の入った水筒とサンドイッチの包みを渡してやると、本当に乾ききって居た様で、ゴクゴクと水をのみながら、

「あ!おじさん、オイラととーちゃんを助けてくれてありがとうございます。」と言って深々と頭を下げたのであった。


「ああ、オジサンじゃなくて、お兄さんな! 俺はトージって言う名前だ。トージ兄ちゃんで良いぞ。良く頑張ったなお前、名前は?」tお少年に尋ねると、


「トージ兄ちゃん?? ありがとうございます。オイラ、リロイって言います。とーちゃんはベスターって言うんだ。」と言いながら未だに目を覚まさない父親を心配層に見るリロイ。


「安心しろ!怪我は完全に治ってる。ただ出血した血は戻らないから。飯でも食って待ってろ。」と言って2人を覆う様にドームを作ってやった。


これで2次災害に遭う事も無いだろう。


「トージ兄ちゃん!!! 凄い!! これって魔法?」と目を輝かせるリロイに頷きつつ、跪いて、きを失っている、ベスターの上体を起こして水筒の水を少しずつ口に含ませてやると、ゴホゴホと軽く咽せた後にゴクリと水を飲んで、更に飲ませるとゴクゴク殿戸を馴らせて飲み干して瞼を開いたのだった。



その後、意識を取り戻し、怪我も全て治って救われたのを漸く理解した後、俺の両手をガシッと捕まれて、何度もお礼を言われたのであった。


話によると、ベスター親子は用事で隣村まで出かけた帰りに大雨に遭って急いで村に帰る途中に被災したらしい・・・。

だが一命を取り留め怪我も普通に治って非常に幸運だったと言う事だろう。 まあ最大の幸運は俺とここで出会った事だろうな。


じゃなかったら、良くて背骨骨折で下半身不随。悪ければ、脳挫傷や脳が腫れてまたはくも膜下出血とかで、結局死んで居たかも知れないのだから・・・。

ラッキーだったな。


2人に更に飲み水と食い物を分けてやり、大丈夫と言うので村へ戻る彼ら親子を見送ったのであった。



結局、この日のハプニングは俺の所だけで無く、他のチームのポイントで暴風の影響で獲物の居なくなった魔物が街道に出て来て作業を開始して居る家の子達と鉢合わせ。


即座にその出て来たゴブリン一五匹は家の子らが嬉々として討伐してしまったらしいのだけど・・・。


その他でも同様に、フォレスト・ウルフの群と遭遇し仮家にした班も居た様だ。



つまり、今回の暴風雨は少なからず生態系に影響を及ぼしたと言う事らしい・・・。


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