第254話 不穏な気候の余波 その3

俺の所だけならまだしも、子供らや戦闘に不慣れな魔法学校の生のチームに俊敏なウルフ系やパワーのあるオークが出ると非常に厄介で負傷者が出る可能性が在る。


基本的に家の子らは強いのがが、それは狩る者として先制した場合に限る。乱戦などや守備戦をした経験はないのだ。特に今回の様に復旧工事に集中している時には尚更危険である。



俺は直ぐにジョニー殿下に電話して状況を報告し、見張りの兵士を1チーム毎に2人配備して貰える様にと交渉したのであった。


もし仮に襲撃を受けたとしても、、見張りに徹した兵士がいち早く発見警報を出した直後であればきっと余裕で対処出来る筈である。直ぐにマッシモ経由で必要な兵士の人数を派遣して貰って飛行船でピックアッえっプしてそれぞれに配置して貰う事にしたのであった。


さて、俺の担当する工事現場だがその後は特に問題も起こらず崖崩れは先程の親子の埋まって居た1箇所のみで残りは泥濘んでグチャグチャデコボコになった路面を整備して、道路脇の斜面等を補強するだけで終わりである。


こんなのは俺にとってはお手の物。城壁や場内の道路舗装で培った経験でエイヤーとサクサクと済ませてしまって、取り敢えず受け持ったノルマを早々に達成したのであった。


さて、早く終わったな・・・。一旦マッシモに戻って飛行船に乗って次の現場に送って貰うか?


「もしもし、マッシュ?今何処?俺の持ち場終わったんで、兵士をピックアップする序でに俺も乗せてくれるかな?」とマッシュに連絡を入れると、丁度良いタイミングで一足先にマッシモにもどって駐機中らしい。


ゲートでマッシモの自宅敷地に戻って飛行船に合流したのであった。



まあ状況が状況だから文句は言えないけど、そもそも俺って例のメダルで『フリー』を保証された立場だった様な・・・と最近の出来事を冷静に振り返るのであった。


確かに面倒な責任ある立場や地位には無い物の何か拒否権はあったとしても何か余計な事をやらされ過ぎじゃないか?と疑問に思ってしまうのであった。


お陰でここ数日はコータに構ってやってないし。ちょっと色々心配である。



先日だって、帰宅後コータが『僕1人置いて行って・・・怒ってるんだからね!!』って感じで非常にご機嫌斜めだったんだよね・・・。


いっその事、復興工事に連れて行くか?


破壊系の攻撃魔法じゃない物を見せる分には問題無いだろうし。


結局心配もあって、兵士がここに合流するまでにコータを連れて来てしまった、俺だった。



一方コータは連日置いてきぼりを食らってたのが急に外出で超ご機嫌でキャッキャと笑いながら、「とーたん、とーたん!」と連呼して居る。


若干ナビゲーター役のゲルトさんの視線が呆れ気味の様にも感じるがすまん・・・見逃してくれ!と心の中で軽く手を合わせるのだった。


まあ、本来義務や職務や責務を全うして居る訳じゃ無いので誰憚る事は無いのだがな。



そして、丁度、ジョニー殿下の飛行船が合流の為に俺達の隣に着陸した頃に兵士の一団がここに到着したのであった・・・。



■■■


見張り役の兵士を同行させたのは大正解で、魔物の襲撃だけで無く、主に子共達を標的にした人攫いや盗賊共を撃退するのに非常に役に立った様だ。


尤も子供らも俺も盗賊だからと言って直接殺した事は・・・いや、俺はあったか。例の王都のテロ犯は心置き無く滅したな・・・。


子供らは魔物のみしか殺した事は無いのでそう言う意味では非常に兵士同伴はナイスなアイデアだったと思う。


お陰で本日もその後何回か魔物や盗賊と

遭遇した組はあったものの、全員無事に無傷で戻ってきたのだから。



一方俺の方はコータを肩車しながら新しいポイントの工事を行って居ると、肩の上でコータが大規模な魔法を見て興奮してキャッキャと歓喜の奇声を上げながら、「とーたん、しゅごー!」と褒め称えてくれていたのだった。


特に俺のホバー移動に非常に興味を持って居り、ジックリ観察と言うか魔力の流れを感じ取られて居る様な感覚があった。


もしかして、ホバー移動までやっちゃう気じゃ?と一瞬思うも、幾ら天才的と言っても流石にそれはないな・・・と心の中で否定するのであった。



 ◇◇◇◇


さて、4週間の復旧工事の日々が過ぎ、そろそろ、我が家の『オオサワ商会』的にシャレにならない期間の営業停止となっていて、動員人数を半数に減らし、大部分を魔法学生で賄い、リーダー派遣に近い体系に変更する事になった。


と言うのも各店舗の休業期間が長過ぎる為『オオサワ商会』倒産説まで巷に流れ出して居り、家の製品を扱う店や商会からの催促がヤバイ状況だったのだ。


工事の遣り方や、すべき事は今回の前半部分で魔法学校生にもちゃんと伝わって居り、その前半でシッカリと家の子らの実力を見せつけているので、魔法学校卒ではないからと言って、既に家の子らを、いや家の子らの実力を見くびる魔法学校生は皆無である。


そもそも講師としての家も子らの実力を知っているから、一部の貴族の子弟以外は見くびって来ないのだがな。



俺も、連日コータを肩に乗せて参戦してるのでコータも連日ご機嫌である。


これで、全体の被災箇所の80%が完了したってところだろうか? 我々が真にすべき箇所と言うのはドヤ災害や崖崩れ等で人力での復旧がこんなんな箇所に絞られるので、たんじゅんな泥濘程度は放置でも良いと言われている。


つまり適材適所と言う事だろう。


1箇所を早く終われば次のポイントに移れるし、全体が早く終わるからな。


流石に暴風雨から3週間以上も経つと、生態系も元通り? になったのか魔物の襲撃は通常ぐらいの頻度に減った。同様に盗賊共の襲撃も口コミで広がったのか、餌に釣られる様に襲撃して来るバカな盗賊共はほぼ無くなった。




そして、更に10日程が経過して、漸く今回の復旧工事のお役目から全員が解放されたのであった。




■■■


で、だ・・・コータだが連日俺に乗っかって工事に着いて来た恩恵か、なんと!!重力制御が不完全ではあるものの『ホバー移動』っぽい事が出来る様になった!?


もう開いた口が塞がらない。


これだから天才児は・・・油断も隙も無い。


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