第245話 初めての実戦 その3
翌日の早朝またもやガスリー君と魔法訓練場で落ち合って、今日の訓練内容を2人に話す。
「『気配察知』はそう難しい物じゃないが、微弱な魔力しか持たない微少な魔物は判別し難い。特に慣れるまでは難しい。だから1度で上手く行かなくて当然だから焦る必要も落ち込む必要も無いからな。
で、今日は森の上空の安全な所から『気配察知』の訓練を行う事にする。」とせつめいすると、2人共にキラキラとヤル気に満ちためで俺を見上げながら頷いていた。
まあ、何の事はない。地上だと1人で2人を完全護衛するのが厳しいし、『気配察知』を訓練するのなら取り敢えず上空でも問題無かろう!?って事だ。
流石に連日マッシュ達の世話になる訳にもいかんしな・・・。
そんな訳で3人で先日よりもっと奥深い森の上空ににゲートで移動して俺の出したフォース・フィールドの足場の上に出て胡座を掻いて座ると、再度『気配察知』の遣り方についてを細かく説明する。
「良いか? 無属性魔法の膜を薄く引き延ばして広げるイメージで、それに引っかかる物の魔力を感知するんだ。 魔物や人の場合、それなりに魔力を持って居るのでどれ位の強さか?とか方向や数が判ったりする様になる。焦らずにやってごらん。」と言うと「判った!」と行って真剣な表情で『気配察知』を手探りで始める2人であった。
一応少しでも判り易い相手が居る場所を連でやろうと、近くにオークの集落がある場所の上空で訓練しているのだが、30分ぐらい顔を顰めながら頑張っていたがまだこれといって上手く魔力の膜を広げられていないみたいだ。
「薄い布の様な膜で良いんだ。」と時々アドバイスするがこう言うのは自分なりの方法を見つけるのが一番良かったりするので基本放置である。
しかし、こんなに街に近い所にオークの集落があったなんて驚きである。
昨夜下調べをした際に発見したのだが、丁度良い教材だったので取り敢えず一晩放置した。
本来ならゴブリンにしろオークにしろ、集落を見つけたら被害が出る前に殲滅が基本である。
だから、今夜か明日の早朝にでも殲滅しといた方が良いだろうな。
冒険者ギルドへ報告したとしても現在のマッシモ支部に所属する冒険者でこの規模のオークの集落を被害無く潰せる冒険者パーティーと言う微妙である。
マッシモの夜明けもそこそこ強いとされてるが、リーダーのケネスさん以外はそれ程腕が立つわけじゃないし。
そうなると、確実に俺の所に回って来るだろう?
この場合、どっちにしても俺がヤル事になるので結果は変わらないのである。
と言う訳で明日以降はまた別の教材箇所を用意しないといけなくなるので出来れば今日中にそのさわりの部分程度でも異変を感知して貰えると非常に助かるのだけどな。
そんな事を考えてボーッとしていると、下のオーク共に動きがあり、どうやら狩りに出かけるらしい。
すると「あっ!これか!? 動き出した?」と小さく叫ぶガスリー君。
それに追従する様に、サチちゃんも「もしかして、7匹の割と大きなのが隊列組んで出かけた?」と俺に聞いて来た。
「うん、確かに7匹だね。その向こうに10匹ぐらい残って居るよ。」と補足するガスリー君。
「よし!2人共正解だ。ここはオークの集落の上だ。これだけ大きな魔力あると判り易いだろ? これから徐々に微細な物も感じ取れる様に沢山使って訓練すれば良い。」と回答を言って褒めたのであった。
「折角7匹って正解も出したし、序でにその7匹を狩って帰るか? オークは美味しいぞ!」と俺が提案すると、『気配察知』のさわり程度が上手く行った事で気を良くした2人が
「じゃあ、臭いや音に敏感だし、姿も見せない様に、魔装、防音防臭シールドに光学迷彩 この3つを動じ展開して
7匹が進んでる方向に先回りして、地上に陣取ったのであった。
「基本俺は手を出さずに後方のやや離れた場所に居るから、2人で
オーク7匹は順調にこっちを目指して進んで来て、俺がおびき出す為に置いておいた魔物の内臓を見つけて「ピギー!」と嬉し気に鳴いて仲間とブヒブピグと会話してさらに2m全身した所にサチちゃんとガスリー君の初弾が同時に2匹のオークの眉間に着弾し、ピギーー!と言う断末魔の鳴き声さえ出す前に倒れた。ブヒブヒと慌てる残った5匹のオークどうやら先の2匹がリーダー格だったらしいが、
その残った5匹の内の1匹が「ギャピギーー!」と言う一際デカイ鳴き声で助けを呼んだみたいだ。
おっと、これは不味いな。増援が来る前に残りをヤラないとこっちが不利になるぞ? さあ、どうする2人?とちょっと展開にワクワクしながら、授業参観に行った父兄気分でいると、
2人は慌てる事無く、2人でパスンパスンと魔弾を連射して、5匹のオークを殲滅して行く。
それはもう鮮やかな手筈であった。
幾ら姿が相手に見えていないとは言っても、自分の何倍もの背丈の魔物が身近に迫って居ると精神的にキツイ筈なんだけど、2人は驚く程に冷静沈着に眉間を狙ってスパンスパンと連続で倒していた。
「よし、お疲れさん、増援が来る前に、オークを回収して、一旦退避するぞ!」と言って、時間的にこの場で血抜きは出来なさそうなので俺の『時空間庫』に7匹の亡骸を押し込んで上空のフォース・フィールドの足場に退避したのであった。
それから3分もせずに救援のオーク7匹がやって来て、同胞の血の跡を発見し「ピギーー!」と言う怒気の籠もった遠吠えを響かせて居たのだった・・・。
「どうする? オークとゴブリンは見つけたら討伐がセオリーなんだが、あの7匹も
「
と言う若い子のヤル気を尊重しつつ、今度は地上では無く地上3mの高さにフォース・フィールドの足場を作って、2人に
もう魔弾による狙い撃ちはスナイパーかよ!?って突っ込みを入れたくなる程に堂に入っていて、安心感がある。
欲を言えばもう少し射程距離を伸ばせると更に有利になるだろうな。
ものの1分もせずにこの7匹も先の7匹同様に『時空間庫』の解体待ちの一員となったのであった。
「良くやった! そうだな・・・あとあの集落には3匹か。1匹は上位種っぽいな。どうせだし序でに
即座にオークの集落上空へと移動して、3m上空で2人には待機して貰って俺は、防音防臭シールドに光学迷彩を解いて地上に降り立った。
「おーい、出て来いよ!」と大声で呼び掛けると2匹の通常オークを引き連れた一際体格の良いオーク・ジェネラルが掘っ立て小屋から「ピギーー!!」と怒りを滲ませた怒声?と共に飛び出して来た。
俺は『黒竜丸』を片手に構え、前に突き出した左手の指をクイクイっとやって煽ってやると、「ピギーッ!」と部下の通常種に命じて俺の方へ攻撃を仕掛けさせ様とした。その瞬間絶妙なタイミングで2人放った魔弾がその通常種2匹の眉間に着弾して名きっごえすら上げずに前のめりに倒れたのであった。
俺は、身体強化の加速力を使ってオーク・ジェネラルに急接近して飛び上がって魔力を纏わせた『黒竜丸』で、首筋をスパンと横薙ぎに振り抜き、飛び上がったその前足で、オーク・ジェネラルの胸板を蹴って、後ろに飛び退きその後に続く血飛沫のシャーを回避したのであった。
「お疲れさん!!言いタイミングだったぞ!」と2人に褒めてやると嬉しそうではあったものの、初めて見る血飛沫の勢いに驚きつつその臭いに顔を顰めていた。
ちょっと2人には刺激が強すぎたかな・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます