第244話 初めての実戦 その2

予告通り昼飯はBBQにするらしく、マッシュ達主体であれよあれよという間に準備が整いマジックバッグの中から、朝からサチちゃんとガスリー君が狩ったホーンラビットの肉のブロックを取り出して適当なサイズに切り分けた後、みんなで手分けして手際よく串に刺して行く。


「うーん、やっぱっり、狩ったホーンラビットだけだとちょっと物足りないか? オークもいっとくか!?」と言ってオークのブロックも取り出してそれも適度な厚みで手早く切り分ける。

どうやらこっちは網焼きの焼肉にするらしい。

サチちゃんとガスリー君は言われてお手伝いはするものの、まだ自分で調理をした事が無いので戸惑いながら辿々しい手つきでなんとか熟している状態だ。


そうだな・・・これが終わったら、2人にも調理とかを学ばせた方が良いな? まあ色々詰め込むのも問題だし、徐々にが良いか?ともし何かがあっても暮らしていける最低限度の事を身に付けさせてやることを目標に決めるのであった。


マッシュ達の用意してくれた俺流のBBQは非常にに美味しく出来ており、焼き鳥のネギマ風のタレ焼きにしたホーンラビットの串もとても美味しかった。


やっぱ我が子らが狩った肉で作ってくれるBBQやネギマは絶品でなんとも言えない至福の味である。



2人も自分らの仕留めたホーンラビットの串に齧り付いて口の周りをタレだらけにしてリンダや女の子達に吹いて貰って照れて居る。


俺はそろそろ、コータの事が気掛かりになっていてどうした物かと悩んで居るのだが・・・そう、まだ2人に『気配察知』を教えてやらねばならないのである。


「食事中申し訳無いが、マッシュ、ちょっと良いか? 俺さ、置いて来たコータが気になっててな。で、2人に『気配察知』を午後にでも教えなきゃって思ってたんだけど、時間が厳しくて。申し訳無い後、午後から2人の事頼んでも良いか? 出来れば『気配察知』も教えてやって欲しいのだけど・・・。」と俺が手を合わせてお願いすると、


「ああ、構わないっすよ。この2人だったら、他の孤児院から来た後輩連れて実戦体験させるよりも手が掛からないっすからね。そっちはお任せ下さい。でも『気配察知』ですか、教えるのは良いんですが、今日の午後だけじゃあ厳しく無いですか? 一応トライしてみましょうかね・・・。」と言ってくれたのであった。


こうして、マッシュ達に2人の事をお願いして、2人に「午後からはお兄ちゃんお姉ちゃん達が補助してくれるから、言う事を良く聞く様に!」と声を掛け、コータが暴れて無い事を祈りつつ一足先に自宅へと戻るのであった。



自宅に帰り着くと、コータが寂しかったらしく、「あー!とーたん!!」嬉し気な顔で叫びながら俺の元へと、テテテと若干不安定さのある駆け足でやって来た。


「おー!コータ、良い子にしてたかぁ~? 午後から一緒に遊ぼうかね?」と言って抱き上げると「あい!」と言いながら俺の首に短い腕を巻き付けて肩車の体勢に入ろうとしていた。


この子もフォース・フィールドの足場をもう使い熟していて、サチちゃんの時同様に上手に俺の肩にパイルダーオンしていた。


本当に応用も上手いもんだな。と我が子の天才っぷりに笑みを浮かべる俺。


俺の肩に乗ったコータは「あうー!あうー!いきゅ!」と何処かに行きたがっている様子。


もしかして魔法訓練場に移行と言っているのかな?


サリエーナさんに尋ねたら、コータは既に昼食も終えてるそうなので、後は昼寝ぐらいだそうで。

俺もサチちゃんも居ないのでご機嫌が悪く昼寝してくれなかったらしい。


そうか、じゃあ魔法訓練場で魔力を使わせれば昼寝に入りそうだな・・・。


サリエーナさんの話を聞いてちょっとホッとしたのは、どんなに不機嫌でも全く魔法を使ったりしようとしなかった事だ。


癇癪を起こす度に魔法を打っ放されたら命も家も幾つあっても足り無いからな。


幸か不幸か、そう言う癇癪の起こし方をしないのは非常にありがたい。


それから、お望み通りに魔法訓練場に行ってみると、やはり『ここ』で正解だった様で、

「キャッキャ♪」と声を上げて喜びながら、先日使っていた防護壁の的に「あーうー?」と俺にお窺いを立てて来たので「良いよ。」と言うと喜びながら魔弾を的にポンポンと何発も楽し気に当てて居る。


尤も魔弾って事もあるけど威力の方は然程大きく無く、サチちゃんとガスリー君の物よりはやや劣る威力となっている。

ただ、感心するのは連続でテンポ良くパンパンと0.5秒間隔ぐらいで撃っていて、もうちょっと大きくなればマシンガン宜しく一斉掃射とかも出来そう名感じである。


本当ならもっと色々教えたいが、あと2~3年はお預けである。


魔法の撃ちっぱなしで魔力欠乏で昼寝に入る事を期待していたのだが、本人嬉しくて興奮しているらしく全く寝そうな気配も魔力切れの気配すら無い。


「キャウキャウ♪」と可愛い奇声を上げて撃ちに撃っている。 まあ魔弾だから魔力消費量が少ないからなぁ~。



結局、そんなコータが若干疲れと眠そうにし始めたのは撃ちッぱなしをやり始めて1時間半程経過した頃であった。


魔力量もさる事ながら、本当に恐るべき幼児である。


やっと、寝落ち気味にコテってなったのを俺が支えて抱っこして、自宅のコータの部屋に連れ帰り、ベッドで昼寝させるのであった。


ベッドの中の満足そうな笑顔のコータが可愛かった・・・。


■■■


トージが離脱した後、昼食を終えた7名はまずはと言う事で『気配察知』の使い方を5人掛かりで2人に説明し始める。


「そう、薄く伸ばして広げた魔力の膜を感じ撮る様に・・・~」等とコツを伝授するものの、そう簡単に習得出来る訳も無く、今度は場所を移動して、討伐を挟みながら魔物気配を察知出来る様にと試みてみるのであった。



元々トージが選んだこの場所自体強い魔物が居らず比較的初心者向けのエリアだった事もあって、大きな魔力を持つ魔物も居らず、天才肌とは言えまだ駆け出しの魔法使いにはその微弱な魔力の魔物の魔力までは関知出来ないで居たのだった。


結局、4時半ぐらいまで討伐を挟みつつ『気配察知』の訓練を行ったものの、結果は芳しい物ではないままにこの日は終了してしまったのであった。


ちょっと気落ちしたサチちゃんとガスリー君がマッシュ達5名に「お兄ちゃんお姉ちゃん、今日は私達の為に時間使って頂きありがとうございました。 今度までにもっと『気配察知』の訓練しておくので!また何時の日かお願い致します。」とペコリと頭話下げる2人に、

「まあ、そんなにしょげるなよ!普通1日で『気配察知』なんか習得出来る訳が無いんだから。そうだなぁ、自主練するなら、対象は別に魔物じゃなくても人でも良いんだよ。気長にコツコツ遣れば良いって。俺なんか数ヶ月かかったかもしれないし。まあトージ兄ちゃんにも聞いてみて、頑張ってくれ。俺達に出来る事なら、何でもいってくれよな!」と行って2人を元気付けるマッシュ達であった。



マッシュ達から『気配察知』が上手く取得出来なかった事を聞いた俺は、「そりゃあそうだよな。ありがとう。そう甘くは無いよな。貴重な時間を割いて貰って悪かったなぁ~。」とお礼を言ったのであった。



さて、微弱な魔物の気配から始めるのは少々ハードルが高過ぎたか・・・。何か他の方法をまた考えるとしよう。


今までが順調に行き過ぎて逆に異常だっただけである。一般的にはこんな躓きが事が何度もあって乗り越えて行くのが普通なのだ。頑張れ!! と心ノンかでエールを送るのであった。

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