第241話 サチちゃん超進化する その6

さて翌日である。どうしたものか・・・と思案したものの結局範囲魔法は止めてストーン・ウォールを取り敢えず極めさせる事にした。


いや、城壁や道路等の建築時の助っ人とか考えてないよ! 幾ら何でも、未成年の幼児や小学生くらいの庫にあんなキツく面倒で退屈な作業はさせないから。


1つは、これで魔力量の少ないコータの魔力切れにしてしまえば、ちょっと離れて家で休ませてその間にサチちゃんとガスリー君の2人に範囲魔法を教えられるんじゃないかって思ってね。


土魔法での城壁作りとかって、砂場で砂山作ったりトンネル掘ったりするのと同じ感覚で『遊び』としては結構愉しめると思うんだ。『遊び』としてはね。


『仕事』だと苦痛なんだけどねぇ~。


そんな訳で只管硬い高圧縮な城壁作りをさせていたら、案の定コータは直ぐに飽きてグズリ始めてウツラウツラし始めたので空かさず自宅に連れ帰って部屋で寝かせて来たのだった。


そして2人が待つ訓練場に戻って範囲魔法の訓練を始めた。


ファイヤー・ストーム、サンド・ストーム、アイス・ストーム、風と水属性の合成魔法のテンペスト等を順に見せて発動時のイメージや威力を上げる為の原理等を図や実験を行って教え込んで行く。


特に2人はファイヤー・ストームを使う際に煙突効果を使った方法とその効果に驚いていた。


「これで判る様に、魔力だけでゴリ押しするんじゃなくて、ちょっとした自然法則を用いた方法で低魔力コストでより高い効果を得られる事が出来る訳だ。だから一見魔法とは関係なさそうな事も学んで置く事が需要なんだぞ。」と締め括ったのであった。



まあ説明したからと言って直ぐにそれが実現出来るかと言うと、幾ら天才児2人でもそうは問屋が卸さないのが現実の厳しさである。


あと他に範囲魔法と言えば気化爆発ミストバーン等もあるのだが、これは更に危険なので今回はパスである。


我が家の敷地は隣家から離れた隔絶されたエリアにあるのを良い事に気兼ね無く爆発的な火柱や暴風等好き放題に練習させているが、クレームではないものの、後日もう少し塀を高くするなりして魔法の練習が人目に付かないようにして欲しいという『苦言』?『忠告』?を巡回中の衛兵から頂いたのであった。


直ぐに敷地を囲む塀を4m追加し5mの高さにリニューアルしたのでこれで大丈夫であろう。


やはりご近所付き合いは大事からな・・・。



これ以上の魔法となると我が家の敷地内では難しくなるな。


定番のメテオとかあるんだけど、流石に今ここでは教える事は出来ない。


前に魔の森でプチメテオで実験したことがあったんだけど、『プチ』なのに予想以上の地響きや揺れ、それに伴う崩落等と大事になってしまい、魔紋共が騒然となってしまい熱りが冷めるまで良い気を潜めて暮らした日々を思い出す。


揺れで思い出したが、この国ではこれまで地震を体験した事が無い。アリーシア達に聞いても『地震』?何それって言う風でキョトンとされて、地面が揺れる事だと説明する必要があった。


日本人なら地震に対する耐性があるが、この世界の人は地面がグラグラと揺れる事なんて体験した事が無いので魔法で揺らす事で魔物にしろ人間相手にしろ、怯ませでばなを挫く事が出来るかも知れないな・・・。


尤もそれを試したり練習する場所は無いけどな。


どう言う風に地震を作るかって考えてみたけど、断層を作利、地中内部で爆発させるとか、件のメテオの様な質量体を上空から落とす感じだろうか?


地上から遠く離れた上空に隕石となる大岩を作るとなると、非常にコントロールが難しく、しかも狙った所に落とすなんて至難の業である。



おっと、話が逸れたが、範囲魔法とは若干主旨が異なるのだが、最近俺が考えた局地的殲滅魔法がある。


その名も『極光剣レーザー・セーバー』である。内容は至って簡単で極光レーザーを放ちつつ剣の様に横薙ぎに振るだけと言う物だ。


2人にまずは見本の実験として、凸レンズを使って太陽光を集光して光を集める事で木材が燃える事を教え、極光レーザーを単発で撃てる様に訓練させる。


極光はちょっとヤバイので、防護壁を4重に強化しておいた。


折角職人さんに立てて貰った宿舎や俺の新居が斬れたり穴開いたりしたら、シャレにならないからね。


極光レーザーの見本を見せたが、あのフォースを使うSF映画やロボットアニメの様な具体的なイメージが湧かない様で『極光剣レーザー・セーバー』にまでは至る事が出来なかった。



まあその他の範囲魔法は何とか訓練出来たので本日はここまでだろう・・・。


俺自身もちょっと局地的な『地揺れアース・クイック』(アース・クイック)を簡単に起こせる魔法を考えてみるとしよう。


そして、本日の訓練を終えて自宅に帰ると、お怒りグズってるのコータが俺とサチちゃんを待ち受けているのであった。

どうやら、昼食後そのまま魔力切れも相まって寝落ちした隙に置いてきぼりを食らったのが許せなかった様だ。


しょうがないので、自宅で出来る簡単な魔法と言う事で、フォース・フィールドの足場を教えてやると、今まで手の届かなかった高さの所にまで手が届く様になって、「キャッキャ♪」と喜んでいた。

そして、これ(無属性)を利用する事で次回は魔装を習得させたいと思っている訳だ。

「コータ、早く言葉を喋れる様になろうな!お父さん、お前に沢山魔法や色々な知識を教えてやりたいんだぞ!? 早く俺の言ってる言葉を理解出来るようにしような!」とコータに語り掛けるのであった・・・。


尤も当の本人はそんな俺の言葉にキョトンとしてニコニコ笑いながら「とーたん。」や「ねーたん。」と繰り返して居た。


因みに余談だが、生まれたものの全く話題に出ないユーキちゃんの事を俺がほったらかしにしてるんじゃ無いかって誤解をされそうなので弁解すると、勿論毎日毎晩ユーキちゃんの顔も見てるし、抱っこしてオムツ替えもしたりしているだよ?

え?それ位で面倒を見ている気になるなって? うん、その通りだと思うけどね。

ただ、粉ミルクなんて無いこの世界。母乳だけは俺にはどうしよもないので分業制っって感じで、俺に出来る事でアリーシアをちゃんと毎日補助してるんだよ!?

育メンを気取ったりはしないけど、生まれたての赤ちゃんは本当に色々難しくて出来る事が意外に少ないのだよ・・・。


だからと言う訳では無いけどその分、コータの面倒は俺がかなりの比重で見る様にしてる訳だ。


サチちゃんがお姉ちゃんとしてシッカリサポートしてくれるから、本当に助かっているよ。


これでコータがもう少し言葉を理解してくれる様になれば本当に色々やり易くなるだろうな・・・。

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