第225話 やっぱりそうなるわなぁ~

あれから上機嫌で飛行船に群がる生徒を前に演説をぶって、疲れ果てたラフティに見送られ午後4時ぐらいに魔法学校を飛び立った国王陛下御一行。


しょうがないので最後まで付き合った俺って偉いよな?


でもさ、こうして飛び去る飛行船を見てしまうとちょっとカッコ良くて悔しい気持ちになってしまう。


そりゃあ作ろうと思えばもう1機飛行船型を作れない事もないけど資材が勿体無いよね・・・特にミスリル!インゴット3個分は確実にに使うし。



結局あの飛行船だってミスリル支給してくれなかったから俺の採掘した分から出したままだし、少しストックを補充しておかないと嫌な予感もするし。


前もこの流れで帝国の城壁工事ヤルは目になったんだよな。


犬猿の仲だった二国間が仲良くなったのは皆にとって非常に喜ばしい筈なんだが、その反動?皺寄せがモロに俺の所に来て居る気がするのは気の所為だろうか?



あれだけ大喜びしている国王陛下が、帝国のヘンリー君とジェシカに自慢しない訳が無いだろう?


そうすると次のステップでは確実に家にも飛行船を!ってあの夫婦が言わない訳が無い。

しかも、前に報酬を貰う為に宝物庫探してた時に見つけちゃったんだよね『ホーラント輝石』を・・・3つも。



最大のネックである『ホーラント輝石』もあるし、うろ覚えだがミスリルの在庫だけで言うと恐らく王国よりも在庫を持っていたと記憶するから、値段的な折り合いとケープ・スパイダー・シルクを揃えてくれれば実際におーだーされても作れちゃうんだよなぁ~。


俺が『うん』とさえ言えばな。



さて漸く全て山場も過ぎて多少ノンビリ出来る様になった訳だが、ここのところで豪勢に使ってしまったダンジョン産の樹木を少し補給しに第64階層に行ってそのまま魔の森でミスリル鉱石の補充でもするとしようかな。


少し飛行船に後ろ髪を引かれる思いはあるのだが、俺の『天空の城』だって、サチちゃんにも第一期生から始まる我が家の子共達には非常に好評であった。


何しろ、『天空の城』は無駄にスペースが広いから、子供ら200人ぐらい一気に乗っても全然大丈夫なのである。


サルーンバスかスポーツカーかの違いの様な物だ。確かに飛行船の方が軽くて取り回し良さそうだけど、羨ましくなんて無いんだからね!!




そんな訳で無くなったストックを増やすべく、ダンジョンと魔の森に出かけては地道にストックを増やす日々をマッタリと過ごしていたのだが、結婚して落ち着かないと行けない筈のジェシカがあろう事か我が家にヘンリー君を従えて突入して来やがった・・・。



「トージ師匠!ご無沙汰です!可愛い弟子がダーリンと共に遙々やって来ましたよ!!」と我が家直通のプライベートゲートを使って現れたのだ。


旧王都邸に備え付けてある『プライベート用のゲート』だが、何故か此奴がホイホイと使っているんだよな。


勿論、マッシュ達も使ってたりするので取り外す事も出来ないのだが此奴は全く遠慮と言う言葉を知らんな。



「お前さ、何我が家のプライベートゲートを使い熟しちゃってるの? ちゃんと鍵も掛けてある筈なんだけど!?」と俺が言うと、

「へへぇ~、優秀な弟子のジェシカはトージ師匠の様に無属性の触手を使い熟せる様になって、隙間から触手入れて内側からロックを外せる様になったのですよ!! 優秀な弟子で鼻が高いでしょ?」とドヤ顔をキメるジェシカの横で少し申し訳無さそうな表情のヘンリー君。

何かヘンリー君、完全に尻に敷かれてるっぽいけど大丈夫なのかよ?と少し心配になってしまうが、当人同士の問題だから其処に突っ込みは入れない大人な俺。


「なる程、それで、不法侵入して我が物顔で使っていると・・・。まあジェシカじゃしょうがないか。」と諦めモードで呟く俺。


「で、態々遙々マッシモまでやって来てどうしたんだ?」としらばっくれると、


「またまたぁ~、師匠も判ってる癖に!!! 師匠って本当にそう言うところありますよね!? 決まってるじゃないですか! 御父様に新しい玩具作ってあげたんでしょう? もうね、散々自慢されちゃってダーリンが気落ちしちゃって大変なんですよぉ?」とちょっとヘンリー君を労る様に態とらしく三文芝居モードで背中を擦るジェシカ。


「まあ、一応材料とお金は頂くけどな。あれ飛行船は相当にお金かかるぞ! まず、『ホーラント輝石』が2つ、それに高純度のミスリルのインゴットを3~4本、それに相当量のケープ・スパイダー・シルクとそれをコーティングするための白銀をやはり相当量必要だ。

フレームに使うダンジョン産の高品質な木材は俺の方で伐採した物があるのでそれ相応の金額で必要量を買い取って貰う感じだな。 しかしアレだぞ?絶対に軍事利用を許さないしもしそれが発覚したら、帝国滅ぼしちゃうぞ!? 国王陛下とも同じ約束をしてあるからな。これは絶対だ。」と言って価格に用途が見合わないだろう?とヤンワリと説得に入るのだが、


この新婚夫婦・・・いやどちらかと言うとジェシカはそんな事では退く気がな様だった。


よくよく考えると、あの父皇帝陛下の血を引く子だったな・・。


そう言う意味だと良く知らないけど第一王子殿下は非常に良く出来た人柄に思えるから不思議である。



そして、散々粘られ、吹っ掛けたにも拘わらず強引に押し切られ結局帝国用の飛行船も作る事になってしまったのだった。


ただ、王国機と全く同じ物を作っても面白く無いと思っていたら、帝国の国を象徴するカラーである赤色で胴体部分に帝国の紋章をつけて欲しいと言う無茶なお願いをされてしまい、ちょっと面白いって思ってしまって条件付きで了承したのであった。


条件とは簡単で、紋章は自分らで刺繍でもしろと言う事で赤色に染色しても色褪せや色落ちが起こるかの製があるが、免責事項とする様にと言う事だ。


まあ一応、王国機と同じに防水を兼ねているので、生地の裏側に白銀の蒸着を施して置こうと思っているのだが、果たしてそれで効果があるのかは実験してみないと良く判らないのである。



と言う訳で、多少カスタム代金が発生して王国機よりも高くなると言う訳だ。決してぼったくっている訳じゃない。


それに今回の帝国機の代金の一部をミスリル鉱石等で払って貰えるかも知れないので全く旨味が無い訳じゃないのだ。


そうそう、帝国にはミスリル鉱山があるらしく、細々とではあるが現在でも採掘はされているらしい。


そんな訳で何かマンマとジェシカに乗せられてしまった感はあるものの、俺が商談の矢面に立った割には王国の時より実入りもそれ相応になそうでホッと一息である。



「先に一応釘刺して置くけど、完成までに相当に時間掛かるからな? 急かすなよ!!」と言ったらジェシカにニヤリとされてしまったのだった。


どちらにしても真っ赤に染色し、帝国のエンブレムを刺繍させるとなるとサイズがサイズだけに半年ぐらい平気で掛かりそうなきはするが、それもケープ・スパイダー・シルクが必要量入手してからの作業となるだろうから、下手すると年単位掛かるかも知れないな。


まあいまのところ俺が慌てる事も当分なさそうだな?と安心するのであった。


------------------------------------------------------------------------------------------------

読者の皆様どうもです。

何時もお読み頂き誠にありがとうございます。

また、御声援だけで無く、ギフトをお贈り頂き、本当にありがとうございます。

また風邪で寝込まない様にミカンでも食べながら頑張りたいと思いますm(__)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る