第219話 今日は貰いに行きます!!

今朝は朝からイソイソとアリーシアとコータ、サチちゃん、それに『』のガスリー君、そしてそのお母さんであるカレンさん、そして師匠を呼んで王都邸に行くのである。


本当は第一期生の子共達も連れて行きたかったんだけど、半分以上俺の所為で忙しくヤル事イッパイの為次の定休日でお願いしますと断られてしまったんだよね。


最近は人手も増えて来た事もあって一斉に休む定休日の他に、シフト制でローテーションで取れる休日って事で観戦週休2日制を導入したんだよね。


とは言え、子供らもだがみんな休みを取ろうとしないので導入当時は『休みを取らせる』事に非常に苦労した。みんなワーカーホリックかよ!?


だから、第一期生、二期生には率先して休みを取って貰って後輩達の良いお手本になって貰ったんだけど、マッシュ曰く

「みんな働いてないと不安になるんですよ! 休んだ次の日に自分の仕事が無くなってるんじゃないかって・・・。この世の中じゃよくある事なんで。」と説明してくれたが、なんか聞いて居て胸が苦しく

鳴ってしまった。


なので、大々的に「俺を信用してくれ!そんな事さえ信用されてないと思うと逆に悲しい。」と言う少し情に訴える様な姑息な方法まで取らせて貰って漸くこの変則的な週休2日制が定着したのだった。



まあ、そんなこんなでマッシュとリンダにも今回はフラれてしまって、本当に我が家のメンバーに『』のガスリー君一家を交えた団扇で行う事にしたのだ。


王都邸に移動して巨大な格納用の塀の中へ全員を案内しようとしていると、早朝?朝の8時台と言うのに正門の方が騒々しい。


一応工事の職人達が出入りするので彼らに管理を任せているのだが、何か見覚えある様な物々しく豪華な竜車と騎竜にのった近衛騎士達がズイズイと敷地内に入って来やがった・・・。


あ!王宮の方からきました系か!?と思わず察して苦い顔をすると、やはり同じく状況を察したアリーシアと師匠も苦い顔をしている。


「トージよ、ちょっと尋ねるがお主、昨日もしかした何かヤラかしたのか? 何か撒き餌に釣られてホイホイと寄って来ている様に見えるのじゃが・・・。」と師匠が聞いて来るので、小声で昨日のテストフライトの件を話すと、


「それじゃよ!大方あの国王陛下が辛抱堪らず朝一で自ら来てみました!ってところだろうさ。」と本当にありそうな予言をして来たのだった。


門の方では遠巻きに職人達が持ち場に直行せずにこっちの方をチラチラ窺っていて、ワクワクしてそうなのが見て取れる。


面倒になる前に出発したい所だが、そうすると余計に面倒な感じになりそうなので、ここに到着するまでジッと待ち惚けして居る訳だ。



荘厳な装飾の竜車が俺達の目の前に停まると通常なら侍従がドアわ開けるまで中から開く事はないのだが、そのエスコートの一瞬さえ惜しむ様に内側からドアが弾ける様に開いて国王陛下とその暴走を止めようとする第一王子殿下が引き摺られる様に竜車から出て来たのだった。


そして開口一番、

「御使いど・・・トージ殿!! 聞いとらんぞ!!!聞いとらんぞ!!!あの様な面白い物をお持ちになっておるとは! 儂にも乗せて欲しいのじゃ!」と捲し立てる国王陛下。


「おはようございます。陛下、まずは声のトーンをお控えください!!家の子達が怯えます故。家の子達が怯えたら永劫に乗れなく鳴ってしまいますよ?」と軽く諭すと、素直にトーンを落とし

「すまんかったのじゃ!、トージ殿のお子さん達や、儂は御父様のお友達なのじゃ、怖く無いのじゃぞ?」と急に柔らかい口調でサチちゃんやガスリー君、そしてアリーシアに抱かれたコータに話し掛けたのだった。


「おそらく国王陛下が騒いでおられるのは昨日完成してテストフライトした私の趣味で作った『天空の城』の事でしょうね。いまから『家族で』初の家族フライトの予定だったのですが、お乗りになりたいのでしょうか?」と尋ねると、遠慮するどころか、即答で

「勿論、儂ものりたいのじゃぞ! 儂と御使い・・・トージ殿との仲ではないか、家族の様な物じゃろ?」と非常に無理筋な事を言って来た。


「いや、家族では無いですな・・・、サチちゃん、どうしよっか、このおじちゃんもどうしても仲間に入れて欲しいって言うんだけど?」とサチちゃんとガスリー君に話しを振ると、ガスリー君は流石にそのおじちゃんが国王陛下と言う事を察した様で顔色が悪い。


すると国王陛下がなんたるかを知らない天真爛漫な我が家のエンジェルは

「お父さん、こんなにお願いしているから、このおじちゃん国王陛下もサチ達の仲間に入れてあげたら?」と光輝く様な笑顔で言ったのであった。


「そうか・・・、我が家のエンジェルの許可が出たので『大声で怒鳴ったり脅したりしない』事を条件に搭乗を許可する事に致します。」と俺が言うと、


「そうか、恩に着るぞ!トージ殿、そして可愛いお嬢ちゃん!!」と満面の笑みの国王陛下。



結局この件で30分程ロスしてしまったが、『天空の城』を取り囲む塀の内部に入って駐機してある『天空の城』を前に両手を広げ、紹介する。


「さあ、皆さんようこそ! これは昨日完成した長年の夢であった我が『天空の城』と言う、空飛ぶ島であり、移動手段の1つでもある。 これは俺の故郷の国のある物語アニメに出て来た物を俺なりに再現した物だ。」と言って搭乗口から内部へと案内する。


さて、お邪魔虫は国王陛下だけかと思ったら、そんな甘い事は無く国王陛下に第一王子殿下、宰相閣下と近衛騎士数名も搭乗するとの事で実に物々しい大人数になってしまった。



コントロールルームに行ってコントロールユニットに『ホーラント輝石』とコントロールレバーをセットすると、セットされた『ホーラント輝石』を見て驚きの声を上げる国王陛下。


「とトージ殿!!!そ、それ!『ホーラント輝石』!! まだ持っておったのか!?つまり、『ホーラント輝石』の価値はこれを作れる事にあるのじゃな!?」と初めて利用価値を知って、まだ1mmも飛んでいないのに非常に興奮して居る国王陛下。


「さあ、興奮を落ち着けて・・・。これから、デモ・フライトを始めるよ。ちょっと揺れるけど大丈夫だから安心してね。」と言って

昨日同様の手順を踏んでコントロールレバーをユックリと上昇に向けると、縦Gを感じた後浮遊感を感じる。


前後左右上下んの巨大ディスプレイモニターに映し出される映像にその場の全員が興奮の声を上げて居る。


「お父さん、これお空浮いてるの?わぁ、ドンドン地面が・・・人も家も小さくなって行くよ!!!」と興奮するサチちゃんとガスリー君。



2人共に良い子なので人も家も『ゴミ』とか言わないので関心なのだが・・・


「これお父さんが作ったの? お父さん、!!!」とやっと念願のを頂けたのだった。

正に今までのダンジョンアタックの苦労も、これの作成の手間(実はこれ自体は結構楽しんだ)も全部吹き飛ぶ父親冥利に尽きる一言である。

俺は今後もこの今日の日を忘れ無いぞ!心の中でおもいつつ、ガッツポーズをキメるのであった。



「こうして見るとなんじゃな? 地上の人も儂も城もゴミ屑や虫の様に見えるのぉ~。」と一番言ってはいけない人物がお約束のセリフを言ってしまって


「おじちゃん! 人の事や人の家をゴミとか虫とか言っちゃ駄目なんだよ! みんな一生懸命に働いているんだから! 私達は、そう言うみんなのお陰でパンを買って食べたり難くし食べたり出来るんだよ!」と国王塀かがサチちゃんに叱られていた。


「これは、すまぬ、儂の失言じゃった。そう言うバカにした意味の言葉じゃないのじゃ。小さい争い事などむいみじゃなって思った。そう言う意味じゃったのじゃ。許しておくれ。」と謝罪する国王陛下なのであった。



俺的にはこのシーンを見られただけでも、国王陛下一行をとうじょうさせてやった甲斐があると言う物だ。




上空にホバリングしつつ、朝日に輝くのお花畑を見せると、誰しもが「美しい」と言う言葉口にしてウットリと眺める。


「あんまり縁の方まで行くと滑落しちゃうので注意して下さいね!」と一応注意し、最後は船底の強化ガラスの間にご案内した。


流石に幾ら強化ガラスだと言っても怖いらしく、アリーシアも師匠もビビっていた。

国王陛下も宰相も男性陣は股間がヒュンとなるらしく頻りとモジモジしていた。

俺? 俺は散々飛んでるから今更だよ。


みんなで一頻りワーキャー言って楽しんだ後、約2時間のデモ・フライトを終えて駐機エリアに着地したのであった・・・。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る