第217話 戻って来た平穏な日常 とちょっとした工作物
『ムービー・ディスプレイ』と『ムービー・カム』の初期バックオーダー分をなんとか2ヵ月掛かりで熟し出荷。つい先日漸くストック分の製産開始にまで漕ぎ着けた。
ここまで来れば、もうマッシュ指揮下の工房のスタッフ達に一任しても大丈夫だろう。
つまり、俺はフリーになると言う事だ。
尤もチョイチョイ王都邸の進捗確認と援軍で視察には行く予定だが、所詮その程度で、請け負った城壁や道路建築工事の様に本腰を入れる気は無い。
折角世間にお金を廻す意図で盛大に発注した工事に茶々入れてしまっては本末転倒だしな・・・。
それにダンジョンアタックもだがそれとは別にやりたい事もあるんだよね。
以前第64階層の毛虫の金箱からゲットしたアイテムでとある物を作る為の必要な原材料が全部揃ったと言ったかと思うけど、覚えてるかな?
全部の滅多に揃わない『レア』なピースを意図せずに全部揃えてしまったとしたら、貴方ならどうする?『シェンロン』を呼び出しますか?と言う話。
尤も別に願いを叶えてくれる神龍とかが呼び出せる訳じゃないんだけどね。
特に毛虫金箱からゲットしたアイテムは既にリバース・エンジニアリング済みで、手持ちの素材と魔法による力技の加工技術を駆使した結果、見事にコピー品を
作成する事に成功したんだよね! 流石俺!!
本来一連のジェシカの婚礼の儀のドタバタさえ無ければ、『ムービー・ディスプレイ』や『ムービー・カム』より先に既に製作に入って居た筈なので在る。
過ぎた事を言っても意味が無いが、『何故山に登るのか? 其処に山が在るからだ!』と似た話だが、『何故それを作るのか? 材料があり、作れるだけの知識と技術があるからである。』が今回の最適な答だろう。
先日の第64階層で伐採しまくった真っ直ぐに生え育ったダンジョン産の樹木を乾燥させて材木へと加工し、
船底と言っても海に浮かべる船を作っている訳じゃないから、どうしようか?出来れば強化ガラス的な物で船底すると面白いが強化と言っても硬くすると言うより割れなくする方法が難しいからな。
元の世界の合わせガラスのようにフィルムを挟めれば良いけど、フィルムなんて便利な物は無いし、在るとしたら、スパイダー系の糸を荒く編んだ網だよな。
そんな訳で物は試しと思い付いたケープ・スパイダーの極細糸を粗い目で編んだネットを作って平面ガラスの間に入れて圧着してやった。
どうやって?って言われても『魔法万歳』としか言い様がない。
フォース・フィールドの平面の場を用意し其処に魔法っで溶かしたガラスを重力制御を使って均一に伸ばして先のケープ・スパイダーのネットを敷いてその上から再度溶かしたガラスを均一に伸ばすと言うだけの、魔法による力押しの方法である。
要は元の世界にあった金網入りガラスのケープ・スパイダーの糸製ネット版と思って貰えれば間違い無い。
この強化ガラス、結構いい加減な思いつきで作ったにしては思いの外頑丈でケープ・スパイダーネットを45度回転させて2重にしたバージョンでは従来のガラスの30倍位の強度としなやかさをもっていた。
と言う事で、このガラスを『強化ガラス』と言う商品名で序でに商人ギルドに登録した。
流石にこの強化ガラスは今の所俺しか製産出来ないし、サイズ自体、完全オーダーメイドとなるので、完全受注生産となる・・・本心は受注したくないでござる! だ。
横道に逸れたが、船底のフレームに強化ガラスを填め込んで逆温室の様な物を作り、フレームの中層にいくつかの板に囲まれた窓付きの部屋を何部屋か作り、いよいよ、甲板をダンジョン木材の板を張って作って行く。
ここには多少拘りがあって、縁の部分には高さ2mの塀の様な物でグルリと取り囲む様に作って置く。甲板部分とその塀の部分には厳重に防水や防腐用の塗料を塗り込んでおく。
甲板の中央には強化ガラスで作った大きめの温室っぽい物とコントロールルームを建設し、甲板の上に余所から持って来た土を薄らと敷いて芝生や例の秘密の花園から拝借してきた花の蕪を幾つも地道に植えて行く。
船体の中央に毛虫金箱からゲットしたアイテムのコピー品を設置し、フレームに這わせた魔力伝導線をその
そして最後にそのコントローラーユニットのソケット部分にホーラント輝石(ダンジョンからのドロップ品)をセットすれば一応完成である・・・。
城とまでは言えないが、自家製の『天空の城』である。
そう、これこそ『ホーラント輝石』の正しい使い道らしいのだ。
コントローラーユニットの作り方は『女神の英知』で多少知って居たが素材集めが結構大変なのと、一部不明な点もあって完全に0から自作は難しいと諦めていたんだが、完成品のコントローラーユニットを偶然ダンジョンの宝箱からゲットして風向きがガラッと変わった。
以前はそんな兵器利用可能なヤバイ物作るのは諍いの元って思ったけど、魔王役をやった今、
それに、私的に家族と一緒に天空の城ゴッコしてみたいって言う下らない事を思ってしまったのが作った原因。 だって全部のピースが揃っちゃったし。
完成したとは言え、テストフライトに自分以外の他人を巻き込むのも不味いので、どうしようかと思案中の現在。
だって空きスペースの多い所って絶賛工事中の王都邸の敷地しか思い浮かばなかったんだもん。
作ってしまったものの、もしここでフライト失敗して墜落したら、大惨事って事に気付いたのはついさっきの出来事だ。
こんな事なら魔の森の小屋の前とかで作れば良かった・・・って思ったりしたけど、この『天空の城』あの小屋の前の空き地よりも大きいんだよね。
最悪、今の俺の魔力量と魔法制御力なら、ギリこのサイズの物体に重力制御を発動する事も可能だろう。
ギリで1分。最高でも2分が限度だろうけど・・・。最悪墜落しそうになったら時前で重力制御でカバーするかな。
腹を括って、甲板の温室に作った
複数の『ムービー・ディスプレイ』にその映像が表示される。
コントロール・レバーをグッと動かして上昇させようとすると、ググっと縦方向のGを感じて浮遊感を味わう。浮いた!!!
もっと船体全体がミシミシ言うかと思ったが、コントロールユニットに接続された魔力伝導線経由で形状強化されて居る為合成が上がって居るので軋み音一つしないのは驚嘆の一言に尽きる。
残念な事に高度計が無いので判らないが、既に高度100mぐらいには到達しているだろう。
水銀柱では無いが、何か高度を測る計器を作るべきだろう!
まずは、今回のこのテストフライトの成功を素直に祝いたい!!
そしてサチちゃんに「お父さん、凄いよ!!」と言われる状況を想像して1人で浮かれまくる俺であった。
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読者の皆様どうもです。
ここに来て漸くやっと作り集った物を完成させる事が出来たトージでした。
\(^O^)/ いやぁ~、ここまで長かった長かった・・・。
しかし、幾ら異世界とは言え、日本で言えば皇居の真横でこんなの浮いてたら・・・。日本だとドローンや気球でさえ大問題になるんですけどね。
法律で皇居上空は飛行禁止エリアになってますし。
どうなんでしょうね?
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