第216話 ジェシカの置き土産
現在某弟子の置き土産の所為で世界各国の商人ギルド経由で鬼の様な催促とバックオーダーが入って居り、我が工房はドンヨリとした空気の中皆一丸となって製作活動に勤しんで居るところだ。
一応、正式名称も決めて無かったので『ムービー・ディスプレイ』と動画撮影カメラの方が『ムービー・カム』に決まったところだ。
で、いつもの様に・・・いや今回はいつも以上の勢いで商人ギルドの
何しろ、唯一のプロトタイプの完成したのが婚礼の儀の本番直前で、とても商人ギルドの2人に相談も報告も出来る様な余裕すら無かったのが原因なんだけど、そんな事はあの2人にしてみればは言い訳にもならないのかも知れない。
確かに毎回色々ヤラかして居るのは認めるよ・・・。
「トージ様いい加減学習して下さい!名前も値段も決まって無い物のオーダーを大量に受けるこっちの身にもなってください!」とご尤もなお叱り内容だけにグーの音も出ない。
「そこは本当に申し訳ないと思っているから。」と両手を合わせて何度も拝み込んでどうにか怒りを静めて貰い、実際に現物を見て貰ってロバートさんとルミーナさんに良い感じの値段を決めて貰った。
ジェシカの置き土産は確かに相当の儲けにはなるが、実際の作業をする俺や子共達は程良い忙しさを希望しているのだけどな!
こういう、0か1かの様な中間の無い忙しさは本当にキツイ。
そしてまたもや調整役兼こっちサイドのトップと言う事でマッシュとリンダには頑張って貰う事になるんだけど、先日のジェシカの婚礼の儀を見て以降なんか2人の様子もそっち方向に大きく家事を切った様に見受けられる気がする。
「マッシュ、俺は、お前達の兄貴でもあり、親だと思ってるし、それは、アリーシアも同じ気持ちだ。 良いか? 頼り無かったり色々抜けた所もある俺だけど、お前やそのかの子共達を大事な家族と思って居るから、遠慮せずに何でも相談してくれ!
勿論、結婚したい時の相談も遠慮せずにな! お前達には世話になってばかりだから、普通以上に幸せになって貰いたいんだよ! それこそ、天国に居るお前達の産みの親である親父さんお袋さんにも見えるくらいにな!」とちょっとした時間の隙間に伝えておいた。
マッシュはウッと言葉を詰まらせ目に涙をにじませ言葉少な「あ、ありがとうございます!」と言って来た。
思わず俺も大きくなったマッシュの肩を抱き「おお!」と言いながら、頭をポンポンと撫でてやるのだった。
さてこんな過酷な日々に突入してしまった訳であるが、先日のジェシカの婚礼の儀では娘を持っ父として結構ホロッとして人に見られない様に涙を拭ったりしてたんだけど、我が家のお姫様は今日も賢く可愛い。
サチちゃんとガスリー君は2人で一緒に魔法訓練を受けて居るんだけど、どうしても後発のガスリー君が後追いで不利ではあったが、どうやら彼にも素質があった様で最近ではメキメキと知識を吸収し、才能を伸ばしている。
サチちゃんもガスリー君を引っ張る様に中級以上の魔法を上手く発動出来る様になって・・・しまい、そろそろ次の段階に授業内容をランクアップせねば鳴らない時期である。
最近ではあの舌っ足らずの可愛い喋りがシッカリして来てしまって嬉しいやら、ちょっと寂しいやら複雑な心境である。
もう、完全にこっちの言っている意味は理解し、余程難しい言い回しや単語を使わない限り、普通に小学校高学年生と話す以上の内容の会話が可能なのだ。
やはり、この急成長っぷりには弟が出来てお姉ちゃんになったのも大きいのかも知れない。
勿論、年上で現在6歳のガスリー君も然りで、実に頼もしいお兄ちゃんになっている。
サチちゃんももう少しで4歳になるので、4歳になれば、魔法も上級編へ移行しても問題無いと思われる。
カレンさんの統括するドール部門も根強い顧客をゲットしており、富裕層や王侯貴族の子女に大人気のコレクターグッズになっているらしい。
コレクターグッズと言えば、スナック菓子に付いていた戦闘キャラクター系のカードが真っ先に頭に浮かぶ俺だけど、この世界では紙自体が高価で、しかも印刷技術もほぼ無いに等しいのでそう言うコレクター向けカードやメンコなんかは実現が難しい。
印刷技術の革新を行うのであれば、真っ先にカメラで撮った画像の印刷が出来るプリンターを作りたいぐらいである。
話をサチちゃんの事に戻すが、親の欲目無しに純粋に凄い天才肌だと思う。読み書きや物事の理解力もそうであるが、特に凄いのは魔法に対する理解力とその応用力である。
俺の専用ボディの遺伝子のなせる業なのか、女神マルーシャ様の加護なのかは知らないが、本当に我が娘ながら感心してしまう。
4歳になるかならないかの幼女に『重力』を説明して大体理解出来る様にするって大変だと思うのだけど、サチちゃんはそれを理解しちゃったんだよね。
「お父さん、つまり、大地に引っ張られる力が重力ね? 重力を
ちょっと前までの『おとーしゃん!』呼びが本当に懐かしいと言うか、お父さんはもう少しあのままで居て欲しかったよ・・・とちょっと寂しい気持ちになってしまうのだ。
で、重力を理解してしまったらちょっと危険な事も多い。ウッカリ飛び上がってしまって、制御に失敗すると、落下してグシャリだし、物を浮かしていて、それを人の上に落下させても大事故である。
現在は単に禁止するだけでは良く無いと思って、物・・・例えば小さい木箱を床から浮かせて重力制御し続ける訓練等を2人に許可してやらせて居る。
一応、もっと緻密に且つ継続して安定制御出来る様になるまで人間を含む生物に対して呪力制御を発動する事を禁じている。
勿論、その危険性や意味も理解して居るので2人共に約束してくれている。
更に言うと、常時2つや3つの魔法を継続制御出来る様になれと言いつけている。
これはおれがダンジョンで魔装や身体強化+シールドを兵用したり、『ホバー移動』を使ったりしている事に由来して居る。
サチちゃんとガスリー君の2人にだけでなく、魔法を学んでいる我が家の子ら全員に「魔法3つ4つの並行行使は当たり前に出来る様になれ!」と口を酸っぱくして言っている。
もし何かの際に、攻撃魔法を発動して居る最中にカウンターで一発入って致命傷を負うんじゃ意味が無い。我が子らには『命大事に』をちゃんと徹底する意味で、魔装や身体強化とシールド等の併用が重要だと例を挙げて言ってある。
と言う訳でサチちゃんとガスリー君にも複数魔法の併用の訓練を厳に言いつけて在る訳だ。
まあそれはさて置き、最近1つ大きな問題があって、どうやら俺が先日の婚礼の儀で流す際の『魔王様のお祝いスピーチ』を録画するのをどうやらサチちゃんとガスリー君の2人に見られてしまったらしく、
あの2人の最近のトレンドは『魔王様』ごっこらしい・・・。あれだけ、厳重にバレない様にと気を遣って居たにも拘わらず、最後の最後に俺の黒歴史(現在進行形)を子供らに知られてしまうとは・・・。
何かアリーシアにあの黒い衣装を欲しい!と強請っていると言う。 能面は自分で紙で作って顔に付けて居るんだけどね。
これ、どうしたら良いんだろうねぇ~?
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読者の皆様どうもです。
近況ノートでも書いておりますが、おでんのコンニャクのポッチャン事件でPCにログイン出来ずに数時間悪戦苦闘してしまいました。
結果、新品キーボードに再度交換したんですが、今回のキーボードは大当たりみたいで非常にキータッチが良く、久々に気持ち良くタイピングしております。
もう、このキーボードにはポッチャンしないように心に誓う私でした。(キリッ
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