第211話 新たなる歴史の1ページ 更なる深みへGo! その7

残り青丸2個の1つはこの渓谷を遡った上流にある湖の近くらしい。


と言う事で上空に移動してウィングスーツで1つの青丸を目指し滑空を開始する。


だって、地上には鬱陶しいハイランド・キャノン・ゴートが居るし圧程度は回収もしたから十分じゃないかとね。


所謂取捨選択って奴だよ。


これがミノタウロスとか激ウマな奴ならやる気も起きるけどね。ダメージは無くても、岩の砲弾がバンバン当たると鬱陶しいんだよ。


そんな訳で上空の高高度を飛べば奴らの攻撃は届かずと言うか、其処までの遠距離を感知出来ない見たいで至極平和な旅となる。


おお、デカイ湖が見えて来た・・・って、あれは??と思わず見た物が信じられずに2度見してしまった。


何か湖の畔に集落があるんだよね。


『自動マップ』によると、その集落の奥に在る大樹の根元に青丸が在る様子。


これはさ、モンスターハウスじゃなくても、絶対あの集落の奴が襲って来るパターンだよね?


これじゃあ、俺が一方的に悪者じゃんかよ!? 精神的な攻撃まで絡めて来るとは・・・。


漸く集落の頭上に到着し、フォース・フィールドの足場の上で観察をして居る訳だが何かゴブリンと同程度のサイズと思って居た此奴らは、半漁人。


サハギンで顔が魚で皆手に先が3本の銛の様な武器を持っている。魚に手足が生えてると思ってくれればほぼ間違い無い。


一応会話はして居るっぽいが想像通り「ギョギョ!ギョー!」と「ギョ」のみで構成されてる言語らしい。上空から俯瞰してる俺にはコントの様にしか見えないが・・・


でもね、『女神の英知』先生が俺の脳裏に囁くんですよ。『奴らの肉は美味い』と。


最初こそ、出来る限り関わり合いにならない様に光学迷彩モードの匂いや音をシールドで遮断した隠密フルセットでコッソリ潜入しようかと思ってたんだけどね。


取り敢えずは、宝箱をゲットするまでは隠密フルセットで、後は出たとこ勝負っかな~と。


オークは見た目豚で味は豚肉よりも美味。 じゃあさ、サハギンは見た目魚で美味しいって事は魚の美味しい系なんじゃない?

あのサハギンの姿を知っちゃてるから若干引くけど、それを知らずに単に切り身として調理された物を食べるのとではまた感想も違うよね。


兎に角方針も決まったので隠密フルセットを発動した上でフォース・フィールドの足場を消して重力制御でジワリと地上へと降りて行く。


『達磨さんが転んだ』の様なハラハラ感はあるが、実際には奴らに俺の存在自体が見えていない筈なのでそんなハラハラ感すら杞憂だろう。


地面に足を付けると3m程離れた1匹がピクリと動いたので俺は息を飲んで冷静に隠密フルセットが正常に発動して居るのを確認したのであった。


サハギンの集落は縄文時代の集落の想像図として教科書に載っていた様な家よりももっと粗末ではあったがちゃんと屋根が付いていた。


そもそもだが半漁人なのに、陸に集落を作って家に住むってどうよ?このフィールドに雨が降るのかは知らんけど、雨避けの意味あるのか?と疑問に思って居ると


その答えが空から来襲して来た、ギョーー!と言う警告の鳴き声と共に女子供?が家の中へと逃げ込み、男共はギョッギョー!と雄叫びを上げながら空から急降下して来るハンター・ホークと言う鷹の魔物を手に持った銛で威嚇したり攻撃したりして居る。


なる程、あの屋根は天敵ハンター・ホーク避けって事かと納得するも、1匹が鋭いハンター・ホークの鉤爪によって傷付き、ギョーと悲鳴をあげている隙に他のサハギンが横合いから銛を突く。寸前の所で躱されてハンター・ホークが傷付いてのたうち回るサハギンをその鉤爪でガッシリと掴んで再び空に舞い上がって行ったキュェー!と言う勝ちどきの声の様な一鳴きを残して戦利品を持って立ち去って行ったのだった。



後に残る同僚のサハギンの悲痛なギョギョギョーー!と言う泣き声と友との話~を惜しむ様に持って居る銛の石突きを地面にドンドンドン♪とリズミカルに叩き付けている。

家に退避して居た亡くなったサハギンの家族だかが、泣きながら、その足下には小さいサハギンがヒシッっとしがみついている。空に向かって手を伸ばし、「ギョーーー!ギョギョッギョー!」と別れを惜しんでいる様だ・・・。


嫌な物を見ちまったな・・・こんな茶番見せられたら、幾ら美味しいてってねぇ~・・・。


もう既にゲンナリしてしまった俺はお宝だけ取り敢えず頂いて次に進む事にしたのだった。



大きな木の根元の祠にはお目当ての宝箱!しかも今回も銀箱である。やったね!!


ちょっとブルーになっちゃう三文芝居見せられちゃったけど、これで中身良ければ気分上々である。と祠の中で銀箱を開けると、中にあったのは、ミスリルの出刃包丁・・・

しかも、『女神の英知』先生曰く魔力を注入する事でサハギンや魚等の調理時に少し美味しさが増すと言う特殊効果付き。



思わず愕然としてしまったよ・・・。


するとその時、宝箱の蓋が開いているのを偶々見てしまったサハギンは1匹ぎょーーーー!ギョギョーー!とさっきのハンター・ホークの来襲時よりも激しい警報の様な声を張り上げる。


ヤベッ。慌ててゲートで上空に逃げフォース・フィールドの足場の上から下の大騒ぎを見物していると、土下座状態で拳を地面に殴りつける者、点を仰ぎ許しを請うかの様に頭を下げる者

収まる様子が無かった。俺は、出刃包丁を収納し、残る1つの宝箱ポイントに向かって滑空を始めるのであった。


え?サハギンの切り身は要らないのか? 折角美味しく調理出来る出刃包丁も手に入ったのに? いや、今は食えんって!!!あんなヒューマンドラマの様なのをみせられたらさ、どうしても、アリーシアとサチちゃんに被せてしまってね・・・。


そこまで鬼畜に成り切れないよ。


次のタイミングを待とうと思う。





死後の宝箱ポイントはかなり遠く、その少し先に緑の下層への階段ポイントがあるようだ。


方向を定めその方向に向けて隠密フルセットを解除して滑空を開始する。


この分なら、今日中に階段まで辿り着けるんじゃないかな!?


飛び始めて10分もしない頃に気配を察知して首を回して後方上空を目視すると、先程の悲劇?を引き起こしたハンター・ホークが空は俺の縄張りだとでも言う様に鉤爪を俺に向けて急降下中であった。


「馬鹿め・・・サハギンとは違うのだよサハギンとは・・・。」と呟いてロールして背面飛行素早く狙いを付けてズキュンと魔弾でワンショット。ギュエーー!と言う泣き声と共に錐揉み状態で落下して行ったのだった。



関係はないのだが、ちょっと余計な感情移入をしてしまったあのサハギンの親子に心の中でお父さんだかご主人の敵は取ったぞ!と告げたのだった。


勿論、ハンター・ホークの亡骸はちゃんと回収したよ!


あれと同じ個体かどうかは判らんけどね。




で到着した宝箱ポイントは・・・蛇塚の中でした。 正確には蛇塚に囲まれた様なは虫類好きには堪らないだろうと言う場所で中央に小高い5mぐらいの小山があって、そのに金色の箱が在るのが見えて居る。


俺?別に蛇は好きじゃないけど昆虫程嫌いじゃない。


まあ、中には美味しい奴居るからね。こっちの世界に来てから、そこら辺の感覚はちょっと変わったんだよね。


ここの宝箱ポイントって、飛べない奴には地獄の蛇スポットだけどさ、飛べる俺には全然問題無いよね。


直接山頂の金箱の横に降りたって、悠々自適に蓋を開けて中身を確認すると、英知のモノクル』って言うあの王家に伝わる『王の英知のリング』のモノクル片眼鏡版である事が判明した。



今回ので帳尻が合った感じかな?とほくそ笑んで、再び空に上がって緑丸ポイントへ直行するのであった。


下層への階段の入り口に辿り着いた所で再度『自動マップ』を更新してみると、あのサハギンの集落の青丸も蛇塚のも無くなっていた。念の為一応サハギンの集落を確認しようかと一瞬思ったが、ダンジョンの魔物に余計な感情移入は不要だと思い直し。下層への階段から魔の森の小屋経由で自宅に戻るのであった。



帰り着いた時に「おとーしゃん、おかえるー!」と笑顔で抱きついてくれるサチちゃんと、コータを抱いて微笑むアリーシアを見ていつも通りの様子にホッと安心するのだった。


俺はお前達にあんなサハギン一家の様な思いさせないからな!!と心の中で硬く誓う俺であった。


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読者の皆様どうもです。生存報告だけはしたものの、なかなかに厳しい3日間でした。

最初熱は無さそうだったんですが、喉と鼻水咳と痰のセットが酷く咳の所為で喉や気管、そして腹筋?横隔膜の酷使で筋肉痛も・・・(*´∀`*)

土曜に熱が上がり始め結構ヤバイかな?って思ったんですが、近所のかかり付け医が一番近いので出歩く元気も無く寝てました。

そして悲劇の月曜日・・・スッカリ忘れてたんですが、月曜が休診日だったので余計にグッタリ寝込んでました。火曜に漸く診察を受けたんですがPCR検査の結果コロナではなくて、只の風邪と診断を受けました。

いや、体調を崩すのに一番最悪なタイミングでした・・・。

熱は微熱が上下してますが、取り敢えず多少物事を考えられる状態なので、アップ致しました。

ご心配をお掛け致しまして申し訳ありません。

後、『お薬』『お見舞いのお言葉』ありがとうございました。m(__)m

多分明日ぐらいにはもう少しマシな状態に戻っていると思います。

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