第204話 新たなる歴史の1ページへ

昔日本で携帯電話が発売された頃、持っている事がステータスの1つだった時代があったと親父が言っていた事があった。


今の王国が正にそれ!


漸く生産現場は総勢70人で無理の無い稼働をしており、ここ1ヵ月の奮闘の結果一定の落ち着きを取り戻した。


結局ベルトコンベアの様な流れるラインを挟みお見合い状態で一人一人が固有の作業を熟して行く感じにしたの事や徹底して工程の効率化を行った事が功を奏した様だ。


作業効率が上がった結果、1時間に1回は最低限休憩を挟み、必要に応じてトイレ休憩も随時増やす感じで無理無く日々凄い台数を製産して出荷している。


やっと、日本の製産ライン擬きまで漕ぎ着けた感じだろうか。


ここまでにする為に、工程の時短用に専用ツールを幾つか作り出して導入した。


具体的にはダイヤル時の数字ボタン等の表記えお刻印するツールとかをサンドブラスト鳴らぬ無属性魔法粒子のブラストを使った刻印にしたりして高級感と耐摩耗性を上げた。

無属性のマスキング魔動具で数字等の表記にマスキングして、上から無属性魔法粒子のブラスターの魔動具でブラストする感じだね。


これによって、大幅な時短が可能になって、子供らから凄く喜ばれた。


と、こんな感じで『携帯魔動電話』の製造に貢献していた。


まあ、それもこれも、単に早上がりしてサチちゃんとの時間を作る為でもあるのだけどね。


人間って、1日2日は多少無理出来てもそれが1週間続いたり、常態化しちゃうと確実に心か身体が折れるからね。


作業してくれてる子供達然り、更には幼いながらもお姉ちゃんで在る事を急激に受け入れざるを得なくなってしまい、迷惑掛けない様に口に出さないサチちゃんも然りである。


工程の簡素化は多くの時間を食っている箇所こそ大きく時間短縮の効果が出るのだ。


あとはこのマスキング&無属性魔法粒子のブラスターを利用した特製魔石の作成工程も大幅に時間短縮が出来ただけでなく、錬金術や魔動具作りを学んだ者でなくても誰でも出来る様にしたのは大きい。


これらの結果、人員も増えた事で大幅にゆとりが生まれたのである・・さすがは魔王と言ったところだろうか?



そうそう、既に王宮から捻じ込まれた大量の発注分はほぼ完了し、一般市場に流す分も昨日完了して納品済み。残るは帝国からの莫大な量と常時在庫分ぐらいかな。



だから俺も気兼ね無く早上がり出来る様になったと。


お陰でサチちゃんとまた一段階仲良くなった様な気がする。




アリーシアも久々の乳児であるコータの育児もある程度慣れて来てサチちゃんの方に目を向ける余裕が多少出来た様で俺としてもホッとしているところである。



さて話は変わって俺の今後だが、開発すべき案件としては頂き物のマジック・テントを解析してパク・・・商品化して多くの人にその恩恵を与えると言う物もあるのだが、それをさて置いても凄く心配なのは土方続きでペンディングになっているダンジョン・アタックの続きだ。


あれは熱い間に打たないと再度慣熟時間を設ける必要が出てくる。


もうそろそろ頃合いとしては開きすぎているぐらいだ。



折角ヘンリー君からカッコ良いブラック・ドラゴンの日本刀を頂いたんだし、ダンジョンに行かないという選択肢は無い。


そうそう、ブラック・ドラゴンの日本刀じゃ締まらないので愛刀にするんだからと、名付ける事にしたんだ。命名『黒竜丸』どうよ!?

鞘も漆黒の物にチェンジしたら、メッチャカッコ良くなってね。もう、何も封印して無い右手利き手が疼きまくりっすよ。



そう、それに序でに貰っておいたあの『自動マップ』もどれ程居の物か試したいしね。


そんな訳で1日ユックリとサチちゃんと過ごした翌日からダンジョンアタックを再開する事にしたのだった・・・。


え?別に変なフラグを立てる意図はないからね。普通に定休日だっただけだし。

ダンジョン通いならなら毎日早上がりも気兼ね無く出来るからね。


1日一緒に遊びながら明日から始まるダンジョンアタックの準備をイソイソと始めていると

「おとーしゃん、またダンジョンいきゅの?良いなぁ~、サチもおとーしゃんと一緒にゆくける様になりゅかな?」とサチちゃんが聞いて来る。


「ああ、サチちゃんは魔法の才能が凄いからきっと俺より強くなるかもな。サチちゃんが大きくなったら俺がサチちゃんをダンジョンに連れて行ってやるよ。」と答えると嬉しそうにしていた。

「やくちょくーー!」と言って指切りさせられたのだった。


「その代わり、ダンジョンに連れて行っても大丈夫なぐらい強くなってないと連れて行けないから、ちゃんと訓練して置くんだぞ!」と俺が言うと、

「あい!」と良い顔で手を挙げながら張り切って居た。


まあこの年頃の子供は年々やりたい事や目標がコロコロ変わるからなぁ~と、何時か娘とダンジョンで冒険する日を頭に描いて微笑むのであった・・・。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る