第199話 街で噂の携帯魔動電話(リリース前)

さあお待ちかねの携帯電話開発の続きだ。

固定ペアの通信に関しては、ダンジョンの奥からでも洞窟からでも要はゲートで行き来出来る様な空間であれば通信は可能だと判った訳だがこうなると一対多で任意の端末を指定して繋げられる方法を考える発用がある。


やはりコールセンターサーバを作って、常に各端末がコールセンターサーバに常時状態確認ラインで常時接続してしてスタンバイモードで着信をスタンバイするのが妥当だろう。

つまり、コールセンターサーバを中心とした状態確認ラインでのグループトークみたいな着信用の回線となる訳だ。


コールセンターサーバは全子機と同一亜空間経由常時接続し、着信をボーリングする。ここに関しては現在テストで使用したオリジナルの魔方陣からパクった・・・を参考にした『独自』の物にて対応可能であるい。


と、ここまで仕様を纏めて来ると段々と全体像と仕様として足り無いピースが見てて来る。


電話番号制度を取り入れるとして、それを各子機の魔方陣無いに固定で持たせたくは無い。


そうすると、例の蒸着による魔方陣スタンプが使えなくなるからである。


そこで子機側にスマホで言う所の『設定』機能を持たせ電話番号を初期設定して、『魔動カメラ』で使った魔石メモリに刻み込まれる仕様にすれば良いだろう。


アドレス帳的な機能で数個の電話番号のショートカットは保持出来るが、そうそう幾つも保持するのは難しい。良くて10件程度だろう。


第一、言語変換入力機能まで手を出す気は今は無いので、番号と一緒に名前を入力する事が現状では無理なのだ。


ガラスディスプレイに掛ける番号や掛かって来た番号の表示くらいは出来る様にするが、第一段階ではそこら辺が限界だろう・・・。


そして、話し中や着信時の音等やその他の不足仕様を決めて行き、早速魔方陣の設計に入るのであった。


 ◇◇◇◇


何だかんだで仕様を決めて試作テストを挟みながら徐々に進める事約2週間。


更に、構想だけで全く考えて無かった『コールセンターサーバ』の仕様を煮詰め、魔方陣を設計して今回の携帯電話プロジェクトの根幹となる物だけに魔石切れ対策等の安全対策にも万全を期す事2週間・・・。


漸く、全ての機能を纏めた魔方陣2つを子機に蒸着スタンプで刻み込み、先に作った『コールセンターサーバ』を稼働させた後、子機の番号を初期設定してから、アリーシアの分の子機も設定し、アリーシアにお願いしてて、記念すべきこの世界最初の携帯電話の開通テスト行う事にした。


長い試行錯誤も漸く終わり、これこそ最終フェーズの本番テストである。


さあ、ドキドキである。


アリーシアの部屋で子機を渡しながら使用方法をレクチャーする。まあ購入者に一々説明したくは無いので本当に簡素な操作性で機能も必要最低限にしてあるので頭の良いアリーシアは一瞬で理解してくれた。


アリーシアを前にして、ショートカット1に入れたアリーシアの番号にコールすると、プルプルプル♪と可愛らしい着信音が目の前のアリーシアの手の中の子機で鳴り、アリーシアがポチッと通話ボタンを操作して電話に出てくれた


「もしもし、アリーシア?聞こえる?」と俺が携帯電話を通して聞くと、クスクスと心地よい笑い声と共に「はい、順調に聞こえてますよ。 そう言えば、前から不思議に思っていて一度質問しようと思ってたんですけど、その『もしもし』って何なんですか?」と言う以外名質問が携帯電話を通して飛んで来た。


あーー、そう言えば何の疑問も無く親や周囲の真似して使ってたけど、あれって何なんだろうな?昔話の一節とかで『もしそこの旅のお方!』なんてのもあったよな?と今更ながらに真剣に考える俺。


そして出て来た答えは「良く由来は判らないんだけど、誰だか判らない相手に声を掛ける時の掛け声的な物として何の疑問も無く使ってたね。俺の故郷では・・・。」と日本での記憶を本に答えたのであった。



何か良く判らない解説に納得してくれた様で、携帯電話の向こう側から、綺麗な少し照れた様な声で「も、もしもし、聞こえてますよ。凄いですね!携帯電話でしたっけ?」と返してくれるアリーシア。


「ああ、正式名称は『携帯魔動電話』にしようと思ってるんだ。こっちもバッチリ聞こえるよ。」と構想時代も含めやっと念願でもあり長かった開発までの日々を思い浮かべてホッと一息付くのであった。


■■■


「さあ、大量製産の時間だ! 兄姉弟子の諸君よ!奮起してくれ給え!!」と1人でテンション高く両手を広げ兄姉弟子にアピールするものの、兄姉弟子の反応は今一つノリが悪い。


そこで俺はそんな事も在ろうかと、子機を2つ取り出して、1つを兄姉弟子の1人に手渡し、俺がその子機にでんわすると、突然その掌の中でプルプルプル♪と可愛らしい着信音が鳴り始める。


「おーい、そこの携帯電話の着信ボタン。そう鐘のマークのそれ。それを押して、」と俺が大声でしじすると通話ボタンを押す。


「もしもし、聞こえるかい? (ちょっと大声で)耳に当てて聞いてごらん!!」と言うと、「あ!!聞こえた!! トージ兄ちゃん、聞こえました!」とハイテンションで返して来た。


「と言う訳で、これは離れた場所でも音声で会話の出来る『携帯魔動電話』と言う魔動具だ。これからの時代、これは必須の道具とないほぼ全国民が使う様になるだろう。君らはその歴史的な魔動具を作る・・・いや時代その物を作る担い手となるのだ!!そしてそんな君らには勿論、ちゃんと自分の手で作った1台は無料で進呈しよう! どうだ? 『携帯魔動電話』が欲しいかぁ~!?」と片手の拳を振り上げて大声で尋ねると、「「オーーー♪」」と拳を振り上げて応える可愛い兄姉弟子達。


師匠だけはそんな俺達の様子をクスクス笑いながら眺めて居るのであった。勿論師匠には既に『コールセンターサーバ』から子機の製作の段階でかなりお世話になったので製作第3号機を進呈させて貰っている。



尚今回から、製産ライン的な流れ作業性を導入しているので、1人が同じ作業を続ける事で熟練度が上がり、作業効率もアップし、かなり良いペースで製産が進む様になった。


まあとは言っても人間同じ作業ばかりじゃ飽きるので、集中力を維持する為にもある程度の時間が経過するとローテーションして担当作業を変更しているけどね。


まあその分一瞬作業効率は落ちるが、大して面倒な工程は無くしてあるので心配ご無用である。




まあ、兄姉弟子達にとって予想外だったのは、自分ら『だけ』でなく、家に所属する全ての子(大人を含む)全員に無償でこの『携帯魔動電話』が配られた事だろうか?


騙してないよ? 人聞きが悪いなぁ~。 一応、家の全員100名以上による、『コールセンターサーバ』を含む高負荷テストやリリース前テストを兼ねているんだって。いや、マジで。


そんな訳で順調にリリース前テストも進み、今の所、子機にもサーバにも不具合や問題箇所等は出て来ていない。


ホント、ここまで進んで不具合発見!!全回収&修正とかは勘弁なので、内心ホッと一息って所だね。



で、そんな感じで家の全員に配ってリリース前テストを盛大にやっていると、流石にマッシモの街でも王都でも噂になり始める訳ですよ・・・。


そして、商人ギルドの2人が俺の所へとやって来るまでにそれ程の時間は掛からなかったのだった・・・。

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