第197話 明日の為の実証実験旅行 その2

その後市場の方まで足を伸ばし、アクセサリーや装飾品ではなく、今まで見た事の無い果物を発見し1つ購入して味見してみたところ、仄かな酸味と上品で濃厚な甘味と気品の在る香りで実に美味しくサチちゃんの拳大くらいの大きさなのだが幾つでも食べられそうな感じだ。


そうだな・・・何に一番にてるかと考えると、マンゴーとネクターを足して割った感じだろうか?斯く言う俺は、元々日本に居る時からフルーツ好きで小学校の頃は季節毎に通学路を季節のフルール優先で変更していた。


家から学校までの道程には多くの民家に果物の木があって、イチジクや夏みかん、プラム、柿、金柑、サクランボにアケビに枇杷に山桃等色々なラインナップが揃って居たのだ。


面白い物でその木の持ち主は殆ど食べずに毎シーズン放置で、鳥や虫や我々近所のガキンチョの良いおやつになっていたのだ・・・。


まあそんな訳で美味しい見知らぬフーティの実と言う赤い皮の果物を買えるだけ大人買いして、

市場のオバチャンに驚かれながらも大変感謝されつつ市場を離れ、路地裏入る。


何か市場から禄でも無さ気な雰囲気の奴らが羽振りの良い俺を狙って着けて来ているが、態々成敗してやるまでも無いかな?と思いつつも、


先程のオマケしてくれた気の良い市場おばちゃんの笑顔を思い出して、逆に放置してあのオバチャンに火の粉が降り掛かると寝覚めが悪い。


行き掛け(帰り掛け)の駄賃と言う事で、処理する事に決めた。


ほら、よく一日一善って言うじゃん?


俺に釣られて路地裏に突入して来るロクデナシ5人組が俺に凄みながら手にしたナイフや小剣を見せて脅して来る。


俺は奴らにニッコリ笑って見せつつ無属性の見えない触手を発動して直ぐに5人を拘束し、身動き出来ずに騒がしい5人組の一緒に魔の森の小屋から1km程離れた位置の上空にゲートを繋ぎ触手で拘束した奴らを魔の森の上空のフォース・フィールドの足場の上に引き摺り込み放り出した。

「ギャーー!?なんじゃここは?ドヒャー」と非常に五月蠅い。


「ここは魔王の住む魔の森の上空である。大人しく魔物の餌になっておけ・・・。」と言い放ち、奴らの横たわった身体を支えていたフォース・フィールドの足場を解除すると、

「「「「「ギョーーーーェ!」」」」」と言う悲鳴を響かせながら魔の森へと落下して行ったのだった。


ちょっと気分を落ち着ける為に一旦小屋に寄ってお茶を飲んでから


一応、アリーシアに帰るコールをするのは忘れずにしてみる。


ゲートを使うが故に万が一すらあり得ないと判ってはいても、「トージさん、気を付けて帰って来てね!」とか言って貰えるだけでこの携帯電話を完成させねば!ってヤル気にさせる。


ああ、そう言えばついさっきゲート直前で命狙われたんだったな・・・。尤も見知らぬ地を行く際に魔装を纏わない訳も無く、俺を害そうとしても99%無理なんだがな。


この携帯電話のテストの話に言及すると、

一応、もうちょっとテストは続行するが、ゲートと同じで亜空間を利用するこの通信機には距離はほぼ関係無い気がしているのだ。

無駄と言えばこれ以上は確かに遠距離テストは無駄かも知れない。


つまり距離云々よりも特定空間の質が違う所からの通信テストの方が良いかも知れないのだ。


まあ簡単に言えば地上でなく、地下や又はダンジョンの中と言う特殊環境でのテストと言う意味だ。


とは言え、この先の最東端の産物にも興味あるからこのまま続行するがな!


この旅の後はダンジョンや洞窟かな・・・?



 ◇◇◇◇


更に4日掛けて最東端の街イーラストに到着した俺は市場の海産物を大人買いして行く。


やはり、王国のゴザレオとは獲れる海産物の種類が違う様でどれが美味いのかは食ってみないと何とも言えないからね。


そう言う訳で買える分全種類を制覇しようと言う事なのだ。


小さい漁港の街だけに俺の爆買いはあっという間に広まり、見物客まで出る始末。


一説では、帝国の貨幣で爆買いする西のお大尽がやって来たって事らしい。


しかも、幾らでも入るマジックバッグなる不思議な物を持って居ると言う事で。


今回は不審者でなくて不思議な人ってフレーズで良かったよ。


魔王で動くと何故か不審者扱いだからな・・・。


ここでは、俺に悪意を持って絡んで来る様な奴は居ないので非常に快適である。


基本気の良い漁港のオッチャンオバチャンばかりで在る。


漁港の屋台の網焼き物や、串焼き、魚介類のスープを堪能し、一通り見て廻った後、ホットと息付いて居ると、ハゲた如何にも棟梁って感じのお爺さんが現れ、話し掛けて来た。


「もし、旅のお方や、今日は我が街で沢山お買い上げ頂いたそうで、誠にありがとうございます。もうしおくれましたのじゃ、私この街長をやっております、ジェイクともうしますじゃ。」と他のオッチャンオバチャンとは違いシッカリとした標準語?(訛りが無い)で話し掛けて来た。


「ああ、初めまして、ええ、折角なので買ってもこちらの方々が困らないと言う範囲で購入させて頂きました。美味しいお魚ばかりで、こちらも大変嬉しいですよ。ありがとうございます。」とお礼を言うと

どうやら相談と言うか、お願い?があるらしく、家まで来て欲しいと言う。


ジェイクさんの相談とは、これからも定期的に購入しに来て欲しいと言う事であった。


どうやらこの街辺境の最東端故に来る商人がほぼ居らず、地元産業の海産物を売って外貨を得る術が限られており、非常に困っていたとの事であった。

そこに現れた爆買い王・・・俺だ。


しかも幾らでも入ると言う不思議なマジックバッグなる物を持っていると言う。

そこでジェイクさんピコ~ン♪って鳴った訳だ。なら何とか力になってくれるんじゃないかって。


更に言うとマジックバッグも俺経由で手に入らないかな?って感じらしい。


正に大正解だ。




「ええ、また私か他の者に命じて購入しに来るよていでしたよ。今後も宜しくお願い致しますね。マジックバックは手に入りますが、これ滅茶苦茶高い物なんですよ。事と次第に寄っちゃあ、1つ差し上げても良いんですが。」と俺が前置きを着けると、

グイっと身を前に乗り出すジェイクさん。


「えっとですね。この街に私共専用の家の敷地を頂ければ、その対価としてこれと同じマジックバッグを1つ進呈しましょう。これマジックバック白金貨5枚くらいするんですよ?(と言ってるが実は値段を覚えてなかったりする俺の適当価格)」と俺がこちらの条件を提示するともう、即決。


「空いてる好きな場所」を好きなだけ使って良いと言う。


「いや、それ程広くなくても普通の1軒家+庭と塀くらいの土地で十分ですよ。あ!そうか、ここに来る商人が少ないって事は何か足りて無い物とかあるんですね?そちらで適切な人をご紹介頂けるなら店にしますか?」と提案してみるとこれまた即決で食い付いて来る。

漁港の街だけに入れ食いってか?


そんな訳でとんとん拍子に話が決まって無事に専用のゲートを置ける家+店舗の土地をゲットした。


こっち側の代表者を誰に頼もうっかな?日帰り通勤出来るから、普通に勤務地って感じだけど、居やがるかな?


出来れば第二期生のジャン辺りに頼みたいな。同じ二期生のラクートも良いのだが、割と喧嘩早いし。トラブルになると困るからな。


卒が無いそつが無くて朗らかなジャンが最適だと思う。


まずはジェイクさんに連れられて、店兼住居を置ける位置を見せて貰って、場所を確定した。俺はジェイクさんが見ている前で、塀を魔法で築き、広めの店舗スペースとその奥に住居スペース、そしてゲートルームをまずはザックリ建築した。


「こ、こりゃ、たまげた!!!」と呟いた後、暫くポカンとしているジェイクさんに声を掛け、先に手付け代わりのマジックバッグを手渡し、使い方を教えたが、どうやら頭に入って無さそうでる。


「一旦戻って、明日また続きの工事しに来ますので。 マジックバッグ無くさないでくださいね!」と注意を呼び掛けてマッシモに戻るのであった。


あ!!!しまった帰るコール忘れたーーー!!! と思った時には自分の部屋であった・・・。

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