第193話 明日の為の基礎技術開発と改良 その2
このまま蒸着ガラスを俺1人が作り続けても文明の足しにならない。俺が何かで死んだら、はいそれまでよ・・・でロストテクノロジーとなる。
いや、既にあの手駒としての使命は終了してるんだけど、文明が進化するって事は謂わばサチちゃん達の明るい未来に繋がるので引き続き出来る範囲で続けたい。
そんな訳で俺自身が楽をする為にも急がば回れで、ライン製産とまでは行かなくとも、魔力操作の甘い者でもある程度決まった手順さえ守れば製造出来る様な道具を開発する事にした。
まず、フォース・フィールドの真空エリアを作る魔動具を製造し、そのエリア内に治具に固定した、フィラメントとガラスを配置後、真空魔動具を起動後、フィラメントを加熱する事で誰でも必要な蒸着ガラスを製造出来る様にした。
更に、ディスプレイやレンズ様のガラス板にはとある特性を持つ液体でスタンプする事で蒸着時に自動的に魔方陣状に蒸着される様にしてみた。
そう、前々から課題に思って居た件の魔方陣を刻むと言う鬼畜な作業の俺なりの解決策が今回の魔方陣のスタンプ蒸着化である。
この特殊な特性を持つ液体(以降『付着誘発液』と呼ぶ)は普通に手に入る物で、『女神の英知』によって知った物である。この場合、蒸発した金属がその液体が付いて居る部分に集中して付着する特性があるのだ。
これで、今まで頑張って手伝ってくれていた鏡台弟子達も多少は楽になる筈である。
兄姉弟子の子供らから大喜びされたが、師匠は褒めてはくれたものの、鏡台弟子が楽になるのがちょっと気に入らないらしく、喜ぶ鏡台弟子の姿を見て舌打ちされた・・・。
いや、どんだけスパルタなんだよ!?と・・・。
確かに良い実技教習の場では有るけどねぇ~。 我が社はホワイト企業っすから!!と心の中で叫のだが例えコレを口にしたとしてもこの世界の職場の99%がブラックなのだから
まあ、入って間も無い子らが定休日でお休みとか貰うと大抵最初はパニクったりするんだよね。
「も、もっと働きますから!!お願いです!クビにはしないで下さいって。」本当に普通に好きに過ごして働かなくて良い日だって理解して貰うのは他の先輩の子らがニマニマしながら説明するまで一騒動だったりする。
一応、入社時と言うか最初の説明時に定休日や休暇についての説明をしているし、なんなら、先輩の1期生や2期生とかにも聞けば教えてくれる筈って思うけど、判っててパニクるまでがお約束になって居る節もあるな。
なんせ、説明と言うかセットく時にニマニマしているし。楽しんでるよな!?
そんな訳で、蒸着を用いた魔方陣のスタンプ化によって、『魔動カメラ』だけでなく、これまで開発した様々な魔動具も魔方陣を刻むと言う工程が大幅に工数軽減された。
これまでだと、大量注文によるデスマーチが定番の地獄となってたのが嘘の様だ。
あ、誤解のない様に言って置くけど、野麦峠の様に、悪環境の中、低賃金で都合の良い様にこき使って居るわけじゃないからね!!
世間一般に比べ遜色無い処か、桁違いに良い報酬をちゃんと全員に払っているし、頑張る子にはそれ相応のボーナスも出しているからね!
だから、ここマッシモでは我がオオサワ商会で働く事が勝ち組って言われてたりするのだ。
『魔動カメラ』は発売と同時に大好評で、王国だけでなく、帝国も含み大量のバックオーダーを抱えて居たが、先の製造技術革新によって、増産体勢もかなり整った訳だが、
魔動具としての魔動機構にかんしては工程の簡略化でかなりの余裕が出たのだが、問題は外部に外注している筐体部分の製造が全く追い付いて居らず、様子を伺いに行く度に目の下の隈や頬が痩けていく職人達が可哀想な状態だ。
少しでも先の真空蒸着機の様な工具で工程を楽に出来ればと、木工用の旋盤を作る事にした。
既にある魔動モーターにチャック代わりの剣山の様な爪の付いた部分で木材を咥えさせてやり、回転を掛けながら、ノミの様な刃物で回転する木材をガリガリ削って行くのである。
これにより、レンズ部分の茶筒形状の部品が前より楽に作れる様にナルッハズだ!
って意気揚々と外注先の親方の所に持って行ったら、ここでも舌打ちされてしまった。
親方曰く、「楽しちまったら、腕が上がらなくなんだろうが!?」って・・・師匠と良い、この親方と言い・・・みんな職人魂なのか、熱いな!
とは言っても製造が間に合って無いと言う現実は在る訳で、4日せずにもいきなり納品のピッチが上がった所を見ると、結局舌打ちしつつも木工旋盤も使って貰えているらしい。
5日ぐらいして、外注先の前を通ると、先の茶筒部分を作っていた下っ端の少年(当時は疲れと睡眠不足でフラフラだった)が休息を十分に取れてる様で元気良く働いているのを見かけた。
まあそれでも相変わらず親方に怒鳴られてはいたけどな。
心のなかで少年に頑張れ!とエールを贈るのであった。
■■■
さてカメラの次は通信機である。この世界には電話が無いが帝国の宝物庫から貰ったあの『寄り添う囁き伝心』ってアーティファクトの解析だ。
1度1分間通話のみなので、まずは外側から判る範囲の解析となるが、今回のアイテムは物が小さいイヤリング型の為、ジッと小さなイヤリングを指先で摘まんで見て居ると、老眼でもないのに目がチカチカすると言うか、目の焦点調節がおかしくなってしまうう。
やっぱり、こんな小さい物を観察するにはルーペが必要だろう。
だが、俺はこの世界に来てかたルーペを見た事は無い。
そこで簡易的に蒸着ガラスに拡大の魔方陣をワンオフで書き込んでルーペの代わりとしてみた。
この疑似ルーペは大当たりで、米粒大の物をハガキサイズまで拡大表示してくれるので、裸眼では判別出来なかった表面に刻まれた魔方陣とそのイヤリングの素材が魔石である事も判ったのであった。
そりゃあ、こんんな米粒大の魔石の魔力なら1分1度使い切りと言うのも納得である。
で、今回この紙に写し取った魔方陣を確認してみて、此奴らがどうやって遠く離れた
まさか、亜空間を使ってを繋いで魔力の通信をしているとはな・・・。
これを何度も使える汎用型の通信機・・・いや携帯にするには、亜空間経由で繋ぐ相手の定義方法が重要な問題になりそうである。
これはジックリ考える必要がありそうである・・・。
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