第191話 英才教育?

あの日マッシモにカレンさん親子を連れ帰ってからはガスリー君と日々遊ぶ事が日課になったサチちゃん。


・・・いや、大丈夫! 俺血の涙なんて流してないし・・・。



だいじなお人形マッキーさんもカレンさんに治療して貰って大喜びしていたが、マッキーの姉妹まで作ってくれたのだがその余波は一緒に遊んでいるガスリー君がモロに浴びる事となってしまった。



お人形さん遊びはサチちゃんの中で最高に尊い遊びと言うランク付けされているので、『大好き』?な遊び相手のガスリー君もお人形さん遊びが最高に違い無い!


なんならマッキーさんのジュンちゃんを貸してあげるわ!って勢いで、なかなか断り難い状況みたいに見える。


見るに見かねて助け船を出す意味で俺がサチちゃんんにアドバイスをする。


「サチちゃん、ガスリー君は男の子だからお人形さんで遊ぶより、本を読んだり積み木で遊んだり、ボードゲームで遊んだりとかの方が楽しいんだと思うよ。お友達と一緒に遊ぶ際にはお友達の好きな遊びを一緒にするのも大切なんだよ!?」と俺が言うと

サチちゃんがシュタッと手を上げて「おとうしゃん、わかっちゃー。」と言っていた。

もう5歳だし、少しずつ、文字の読み書きや計算の勉強もとりいれないといけない。


だから2に人の仲を裂く訳じゃないけど、彼の為にも日に数時間はお勉強時間を組み込まないといけないな・・・。


そして、親馬鹿ってだけでなく、非常に賢く育っているサチちゃんもガスリー君と一緒に読み書きや計算を習う様にしたのであった。


それに我が娘は既に魔力を使って身体強化や魔装も使えるのだ。これに匹敵するかそれ以上の状態になって貰わんと、男としてガスリー君も肩身が狭かろう!?

って事で、ガスリー君には特に、魔法の訓練も受けてもらう事にした。


あ、無理強いはしてないよ。ちゃんと本人の意見や保護者であるカレンさんのご意向もお伺いした結果である。


そして一も二もなく了承して貰ってガスリー君との英才教育が始まった感じだ。


そりゃそうだろう!?この世界でこう言う教育って余程裕福な家でもなかなかなか出来ないレベルの教育だし。 しかも魔法も含む訳だし、その価値最早プライスレス!


まあ遊びたい盛りの5歳のガスリー君には受難の日々かも知れないのだが、でも我が家の天使サチちゃんと過ごせるんだからかなりのご褒美だと思うんだよね!?


話はやや変わってカレンさんのお仕事だが、別にサチちゃん専用の人形師って訳ではなくて、この世界にはなかったもっとリアルなフィギュアーと言うかドールハウス等のグッズを企画作成する部門をやって貰う事になったのであった。


当初は貴族等のセレブな家の子女専門で展開して行く予定だったのだが、家に来て半年ぐらい経った頃に俺が提唱した間接ジョイントを使う事で、自由なポージングを取らせられる事もあった実に高額な値段設定にも拘わらず、購入希望者が後を絶たないと言う謎のブームを巻き起こしたのだった。



俺は俺でサチちゃんとの遊ぶ時間が結果として減ってしまった為に、予てからの念願の一つであった、カメラの研究開発に取り掛かる事にした。


そう、今から頑張ればきっとサチちゃんが3歳になる前には必ず完成させる事が出来る筈だから。


そうすれば、お腹が徐々に大きくなってきているアリーシアの姿や出産した直後の2人目の俺達子の姿も・・・それに家に居る子供ら全員の姿も撮影出来る筈なのである。


と言う事で『女神の英知』に頼りつつ先日帝国で頂いたアーティファクトの解析から開始する事にする。


物としては水晶の球体を受光体としてその前に広がる光景を魔力情報化して組み込んだ魔石を記憶媒体として保存している様である。

使用回数制限があるのでホイホイ使って動作時の魔力の流れを追う事が出来ないのだが、大方の事前解析は完了したと思う。


ただ球体の形状自体に見た限りでは意味が無い様に思える。


この世界の工業レベルは以前にも触れた様に決して高く無く、人工的に完全な球体を作る等無理に等しい。完全な球体を作るぐらいなら、歪みのない平らなガラス板を作る方がまだ完成の見込みがある。


球体に意味が無く魔力の通りが良いと言うだけで水晶が使われているっと言う事の様だ。

なので、昔子共の頃に作って見事に失敗したピンホールカメラをアレンジする感じにして、ピンホールの裏にガラス板を受光体として配置して、その魔力情報を魔石ベースの記憶媒体に記録する様に試作機を作ってみた。


そして師匠と一緒に貴重な唯一の起動制限の1回を見逃さない様に目だけで無く全感覚を使って目をかっぽじてシャッターを切るのであった。


「師匠!見ましたか?」と俺が師匠に声を掛けると、師匠もこの一瞬でかなり消耗した様でグッタリとしつつ、「ああ、見たが意外にアッサリした物じゃったぞ。」とやや拍子抜け気味に師匠が応えた。


「そうですね、つまりこのアーティファクトの使用回数制限ってこの記録媒体に由来する感じっぽいですね。」と解析結果と同じ内容を告げる俺。


ああ、そうそう、水晶の球体はもう一つ役割があったんだよ。 そう、この水晶球に移したイメージが表示されるディスプレイにもなるの。


ただね、球体だから結構歪んで見難いんだよね。なんで普通に平面にしなかったのか・・・。


そんな訳で、カメラの試作機はカメラの背面にデジカメと同じ様にディスプレイ代わりのガラスの板を取り付けて作成完了した。



撮影テストは良好な結果だったが、所詮はレンズの無いピンホールカメラである。画像は粗く感度も悪い。まあディスプレイが平面になっただけ貰ったアーティファクトより幾分マシって程度だ。


カメラのレンズやシャッターの大体の構造は判るけど、判ったといてもそれが再現出来るか?はまた話が別である。


前に完全な球体を作れないと言った様に、歪みの無い凹レンズ等を作るのも非常に難しい。と言うか無理である。


第一、グルグルと回して球体や凹レンズに凹まして削って行くコンパウンドや轆轤とか旋盤とかも無いので、必要なら、まずそこから作る必要がある。


俺が無属性魔法のフォース・フィールドを多用してそれらの代わりを力押しで出来ない事はないけど、大量には生産出来ないし1つ作るのにも時間が掛かる。


駄目だな・・・。



取り敢えずは現段階のカメラで全員の写真を撮りまくろう! 改良はその後だ!!


普段のアリーシアの姿も好きだけど、お腹が大きくなっているアリーシアの姿も非常に尊く愛おしい。

俺が、お腹の大きくなった(プロポーションのバランスが壊れた)状態の自分の姿をカメラで嬉し気に撮って行く俺が気に入らないらしく、

「もっと出産後のシュッとした状態を撮ってください!」と可愛くホッペを膨らませクレームを言って来る。


「うん、出産後も撮るけど、妊娠中も尊いから撮るよ!お母さんって感じで神々しいし! アリーシアは何時でも素敵だよ。」と俺が言うと頬を赤く染めてホッペの膨らみを萎ませるのだった。

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