第189話 お宝アイテム発掘 その3

当初はサラッと終わらせるつもりだったのにヤバイ系が多数出て来た事もあって止せば良いのに自らある程度の協力を申し出てしまい、現状に至るのだが、その後ひょんな所から失われた『王の英知のリング』が見つかり気負う必要が無くなった事もあって4人で行動しているものの、どちらかと言うと追加の捕捉のみになったのでここを散策始めた時の気楽さに更には俺を尊敬?する3人が一緒なので話し相手が居る分寂しくなくて良いかも知れない。


鬱陶しいのは嫌がが、そもそも人嫌いって訳じゃないからな。


人嫌いで1人が良いってなら、結婚もしてないし、買う物買った後魔の森の小屋に引っ込んでいたし・・・。


まあアリーシアと出会ったからこそ1人で魔の森の小屋に引っ込むなんてあり得ないんだけどな。等と心の中で考えて3人に気付かれない様にニマっと口角を緩ませる俺。



あれから面白いと言って良いのかは微妙だが、『王の威厳』と言う名の持ち手の上の方に大きな魔石の付いた非常に目を引く杖が発見された。

これは非常に特殊な効果があって、手にした者の魔力によって、声に魅了や催眠に近い効果を付与して、発言者の居に沿う様に聞く者の思考や意思を変えてしまうと言う厄介な効果が付いていた。


つまり簡単に言うと、『忖度強制杖』と言えば判り易いだろうか?


独裁者には堪らない一品だろうが、悪用されると国が滅ぶか周辺諸国まで巻き込む大戦になりかねない・・・。

俺は思わず3人の顔を見回し、「これは結構ヤバイの出て来たね。現国王陛下は恐らく大丈夫だと思うけど、第一王子殿下はどうだろうか? 更に言えば、『あの』第二王子殿下がこれを手にした日には王国

地獄に変わったと思うけど?」と問い掛けてみると、第二王子殿下の件で3人が声を揃え「「あぁ~、確かに・・・。」」と頷いて居た。

どうやら、放り出された第二王子殿下のお陰でヤバさを容易に想像する事が出来た様だ。


良かったな!ボンクラ王子!お前生まれて始めて祖国の為になったんじゃないか? 等と苛烈?な決めつけを心の中で呟くのであった。


4人で話し合った結果、このアイテムに関しては一旦保留とする事になった。

「でもこれ、トージ殿が貰ってしまうのが一番安全で平和だと思うのはわたしだけでしょうか?」と3人の中のリーダー格の人が俺や他の2人に提案していた。


「確かに愚王の御代になったら、これ使って国民も周囲も洗脳しまくって戦争一直線だよなぁ~。」と俺が呟くと、


「いえいえトージ殿、愚王の御代だけでなくて、王位の位簒奪を謀る者の手に入っても同じで簡単にクーデターが起きますよ。 それこそ、あの魔法御三家の反逆」の時の様に・・・。」と更なる悪用の懸念を示して来る。


「ああ、判ったよ・・・。良いか、これ『王の威厳』はここには無かった、俺もお前達も何も見て無い!未来永劫に世に出て来る事は無い。」と『王の威厳』を受け取って宣言しつつ『時空間庫』にサクっと放り込んだのであった。


ちなみに、ちょっと心配になって「宝物庫のアイテムの総数のカウントを修正しておかないと数が合わなくなるよな?」と聞いて見たところ、3人揃って大笑いされてしまい、

「トージ殿、そんなの数すら管理出来ていないのですよ。 過去に数えようとした真面目な者は数百年に数名居たらしいですが全員2ヵ月もせずに挫折するのですよ。」と腹を抱えながら言う・


何でも、早い奴だと1週間すら保たずに挫折コースだそうだ。


「それはあんまりにも堪え性が足りなさすぎるんと違うか?」って俺が言うと、


「それはトージ殿が御自身のゲートで明確に昨日続きの場所から毎日続けられるからですよ!」とアッサリ理由を指摘して来た。



普通に名前や用途や効果も何も判らない状況下だと指輪ばかりあると何処まで数えたのか自信がなくなるのが普通だそうで。


確かに言われてみれば、そうかも知れないな・・・つまり、神社仏閣のの長い階段を何度数えても数が一致しないのと同じ感じか?


普通にゲート使っちゃってるからゲート使えて当たり前になっちゃってるけど、普通はそうは行かないからな・・・。


1度疑心暗鬼に掛かってしまうと現在のカウント自体に自信なくなるもんなぁ。そりゃあ、挫けるわ。


と色々納得するのであった。


そして、何日かが経過し漸く終盤になった所で、俺にとっては非常に懐かしい2品が出て来た。


そう、言わずと知れた『 ホーラント輝石』と『エリクサー』である。


これがここに在ると言う事はここで最後って事だろう。


「おお、これがあの噂の『 ホーラント輝石』と『エリクサー』ですか!」とテンションのやたら高い3名。


「トージ殿この『 ホーラント輝石』の魔動機関?魔動具に利用可能ってどう言う意味でしょう?」と俺に聞いて来た。


「えー?それを俺に聞いちゃうの?」と俺が言葉を濁しつつ唸る。


そう、今のバージョンアップされた俺の頭の中にはかなりヤバイ内容まで見えてるのである。


そもそもだが、錬金術も魔動具作りの基本の『き』の字すら知らない状態の俺には『レアな石魔動具等に使用出来る素材』って事しか判らなかったのだが・・・。


現在の最深データでは、浮遊機関の原動力となる『重力制御機関の為の素材』と言う風に表示されて、その作り方まで表示されているのだ。


いやぁ~、こんな事を他に漏らせまい? 俺になら『天空の城』が作れちゃうのである。


滅びの呪文バ○スとか言わせたいのか?って思う様な情報である。


まあ俺の場合、『 ホーラント輝石』何か使わなくても飛べるけどね。


そう、自前で飛べるし、上空の足場でステイする事も出来るから「地上がゴミの様だ!」ゴッコは既にかなり前に内緒でやってるし・・・。


一応、『 ホーラント輝石』ダンジョンから出て来た分は俺が持ってるから、自分で天空の城ゴッコしようと思えば作れるんだよね。


でもそうすると空を飛べる自立思考型のロボット? この世界だとゴーレム?を作らないとだし、色々と大変なんだよね。

しかも元ネタ知ってるのが俺だけだと態々作ってもねぇ~。同郷の奴が居たら面白いかもだが・・・。


まあ、そう言う下らない事もヤバイ利用価値も丸っと内緒って事でスルーしておいた。



こんなにも時間を掛けた訳だが、結局俺が手にしたのは、件の『自動マップ』と欲しくも無い『王の威厳』だけとなった。


つまり、公には『自動マップ』だけって事になるのか。

おっと、あれを忘れてたぜ! マジック・テント!!!

まあこのテントはコピー品を作る為・・・いや参考資料だな。うまくすれば、一般庶民に還元出来るし。

とは言っても、結果2品(『王の威厳』はノーカン)だけと言う結果だ。


「トージ殿、本当にそれだけで宜しいのですか?」って3人衆には凄く心配されちゃったよ・・・。


「欲しくも無い物を欲張っても意味無いし、十分では無いけど良いよこれで。」とやや投げ槍な気持ちで応える俺であった。



最後に国王陛下や宰相にも挨拶したが、3人衆から聞いて居たのだろう。

「トージ殿、本当にそれっぽっちで良いのかの?」と心配されてしまった。


「まあ、その分、次の武器庫で何か見つかれば良いのですが。宝物庫の方は少し期待外れで・・・。」と締め括って置いたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る