第188話 お宝アイテム発掘 その2
キラキラした目の3名を引き連れ「右手側をご覧下さい・・・こちらはかの有名な~~」等と解説しながら主に有用なアーティファクトをメインに詳細を告げていたのだが、途中からバッドス・テータスを付与する所謂呪い系のアイテムが混じり始める。
嫌らしいのは一定時間は身体能力を格段に挙げてくれる所謂ドーピング効果があるので重宝されがちだが、その裏では精神異常を引き起こし、そのアイテムへの依存性を強めてしまうと言う恐ろしいデメリットが存在する。
そして最も恐ろしいのは能力を2倍近く引き上げてくれた時間に相当する分だけ自分の身体の本来の寿命を使い果たすと言う仕様なのである。
そう言うバッドステータスを付与するヤバイ系が結構あったので、それらは厳重に管理すべきと解説しておいた。
実際にはトラブルの原因になりかねないので、完膚無きまでに破壊して廃棄が相応しいんだろうが一応これでも何時必要になるかも知れないアーティファクトだ!って言われるとねぇ~。
こんなヤバイ系のアーティファクトなんかさ、敵や嫌いな奴とか恨みのある奴への嫌がらせや復讐とかにしか使えないと思うのだけどねぇ? 謂わば厄介事の種としか思えないよな。
未来永劫に出番が来ない事を祈るばかりだな。
俺の興味を引くようなアイテムと言う観点で言うと所謂ララノベで出て来るマジック・テントなる物を発見した!
空間拡張だけなら今の俺でも出来るのだがそれが布きれで出来ているテントとなると怪しい。
どうせ何百年もここに死蔵されていたのだから、俺が貰って研究材料にしても構わんだろう!?
上手くすれば、コピー品を販売出来たりするかも知れんし。その方が世の為俺の為だ!!
その代わり、件の『凄く丈夫な斬れ味の剣にする』の様な国益や防衛力にに直結するアーティファクトは率先して教えて居る訳だし。
でだ!ようやっと今までの苦労をあざ笑う様なアイテムをかなり奥の込み入った場所で発見してしまったよ。
これって態とこう言う場所に隠す様に置いた見たいだな。
だとすると逆に意味不明である。
もうね名前が凄いの。『王の英知のリング』だよ!? これって『女神の英知』のリング版じゃないの?っと思ったけど完全イクォールじゃなくて下位互換?劣化版って感じ見たい。
もしかして本来は国王ってこのリングすべきってなってたんじゃないのかな? どっかの世代でこの片隅に追いやって隠したんじゃ? それ以降愚王によってグダグダの国政が続いてると言う堕ちは無いだろうか?
試しに指に填めて見たが最上位の『女神の英知』が先に反応しちゃって俺だと比較出来ないので俺のフォロワー3名の1人を使って、新しいアイテムを鑑定させてみた。
やはり、得られる情報の詳細さにかなりの隔たりがあるものの、有害無害や使用方法やその効果に関しては問題無く情報を得られる事が判明した。
以降は俺の『女神の英知』と『王の英知のリング』とを兵用して取得情報の違いも検証しつつダブルチェックで行く事にしたのだった。
まあ俺として不本意だったのは、ダブルチェックに時間を食う結果となり結果これまでの様にサラリと進まなくなった事である・・・。
尤も物が物だけに早めにご一報して置いた方が良いだろう言う事になり、早めに宝物庫の作業を切り上げて、国王陛下への報告の場を設けて貰ったのだった。
何時もの様に国王陛下も宰相、そして本日は第一王子殿下も参加である。
早速、俺が代表して、完結に『王の英知のリング』の発見を報告すると、国王陛下は一頻り大喜びした後ハッとした一瞬後に何とも言えない何か奥歯に挟まった様な表情をしている。
「国王陛下? 何やら腹に一物在りそうなご様子ですが、何か『王の英知のリング』についてご存知だったんじゃないですかな?」と俺がズバッと斬り込むと急にアタフタとする国王陛下。
多少マジで脅して口を割らせた結果、国王陛下の先代、つまり国王陛下のお父さんの世代はかなり最悪の時代で密かに『愚王』と呼ばれて居たらしい。
でだ。この『王の英知のリング』は見た目が非常にシンプルで悪く言うと質素なのだ。
更にこの『王の英知のリング』の特性上、『王足る人物として相応しい行動に思考まで縛る』効果も付いてくるのだ。謂わば国王養成ギブス的な矯正する感じかな。
歯並びの矯正と似てるかも。
付けてる間はそりゃあ英知も得られるので元がどんな奴でもそこそこ賢い様に見えてしまう。
だが現国王の父が若い側妃を貰ってから、『王の英知のリング』をダサいと言われて寝てる間にリングを抜き取られてしまったらしい。
更に「アッ!」と短い驚きの声を上げると
「今思い出したのじゃが、その側妃の実家じゃが、件の『ガンテン伯爵家』じゃった。もう残って居らんがの。」とかなりショックを受けた顔をしていた。
ガンテン伯爵とは以前に王都の住民の親子を竜車で刎ねそうになったのを身を挺して庇ったソフィアを跳ね飛ばし、トージに喧嘩を売った第ニ王子の母である側妃の実家である。
つまり王家と王国は親子二代に渡り『ガンテン伯爵家』にしてやられていたと言う事だ。
本来『王の英知のリング』は代々受け継がれて居たリングらしいのだが、そう言う事情で先代で隠されてしまって以降行方知れずとなり伝承が途切れて居たらしいのだ。
現国王も王位を継承して以降かなり探したが見つからなかったらしい。
そもそも派手なリングでもないので、見かけない時間が長くなるにつれて、どんなリングだったかもあやふやになってしまっていたと・・・。
何とも恐ろしい話である。親子2代の世に悪影響を与え続けるとは・・・思わず背中に鳥肌が立ってしまったよ。
尤も全部が全部その側妃の所為って言う気も無いし、どう言うつもりで『王の英知のリング』を抜き取ったのかまでは謀りきれないが、悪意なのか単純にもっとカッコ良いリングをと思ったのか?
真相は闇の中という訳だ。
「いやぁ~久々に背筋がゾッとする様な話を聞きましたよ。 ああ、そうだ。と言う訳で現状ダブルチェックしながら宝物庫を廻ってますのでこの一連の作業が終わるまでこの指輪はお渡し出来ませんので御了承を!」と言って王城を後にしたのだった。
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