第185話 追加のご褒美も忘れずに
久しぶりに身も心も開放的になって1日は部屋でゴロゴロしたりして気が付くとだらしなく寝てたりして過ごし、翌日からはサチちゃん、アリーシアそして新規参加組も含めた子供らも連れて例の秘密の花園でピクニックだ。
久々に見る心洗われる景色にこれまでの一連の工事でモヤモヤとしていた心の黒い霧がスカッと浄化される様な爽快感だ。
ようやっと一連の王都工事を終えて、忘れて居た王宮の宝物庫の物色タイムとなるのだが、思い返す帝国での悪夢。
今の俺に必要なのは、これ以上
そんな事を考えながらこれまでとは違って普通の服装(気持ち上品系)でゲートで王城のあの部屋へと出向くのであった。
久々のあの部屋である。
特に変化は無いが、逆に言うとその様に常に掃除されていたのだろう。
壁の紐を引っ張ると、カランカラン♪と音が向こうの方で鐘の音がして1人のメイドが直ぐに現れた。
何時ぞやのメイドさんである。
「どうぞ、ご案内致します。」と言って王宮の廊下を先導してくれた。
あれから暫く経つが久々の王宮は非常に忙しそうで、多くの人が重そうなしょるいの束を抱えて廊下を行き合っている。
「久しぶりだけど、えらく大変そうだね?」と前を行くメイドさんに声を掛けると、ラフティの様な特殊権限を持つメイドでは無いのだろう・・・「ええ・・・。」とだけ心ばかりの返事を漏らして再び無言になってしまった。
何だかなぁ~。もしかして嫌われてる?彼女には悪い事して無い筈なんだがなぁ?
気拙い空気の道程がやっと終わって何時ぞやの国王陛下の執務室へと案内されたのだった。
「ようこそ、魔王様? ああトージ殿が正解じゃったか?」と呼び名を間違えつつも笑顔で出迎えてくれる国王陛下とその隣に立つ宰相。
「どうも、漸く第一王女殿下の無茶振りの追加工事まで全て終わったのでね。報酬を頂きに参りました。いやぁ~追加工事、本当に地獄でしたよ。あれ人力であると何年で延べ何人の作業員が必要なんでしょうね?ふふふ・・・。」とてめぇ~ら、判ってるよな?と言う意味の圧を最後の乾いた笑いに込める俺。
「本当にご苦労であった、トージ殿。追加工事の分の報酬、新しい拡張部分の土地だけでは足りぬかのぉ~。確かにここの旧王都の建築時には当時10年以上掛かったとは聞いておる。それを何だかんだ1人で1年掛からずにやり抜けるとは、本当にトージ殿は化け物じゃのぉ~。」とサラリと酷い事を言う国王陛下。
「本当は何か追加で渡したい所ではあるのじゃが、先日のエリクサーの件と言い、トージ殿へ国庫からかなり支払って居る故にこれ以上は厳しいのじゃ。」と言う国王陛下と横で苦い顔で頷く宰相。
「ああ、ご心配無く、金銭的な物が欲しい訳では無いので。逆にどう使うべきかお金の使い道に悩んで居るぐらいなので、これ以上悩みを増やす必要は無いので。でもこれだけの大仕事を熟したにしては報酬が釣り合って無い気がするので・・・『貸し1つ』と言う事にして置きましょう!」と俺が言うと、国王陛下も宰相もホッとした様なそれでいて大変な奴に借りを作った・・・と言う様な苦い顔をしていた。
追加報酬の件が取り敢えず落ち着いたのでちょっと気が緩んだのか?国王陛下がポロッとトンデモ無い事を漏らしていた。
オッサン曰く、この旧王都の場内も綺麗に舗装し直したいのだそうだ・・・いや、知らんがな!!
先の『貸し1つ』でさえ回収する機会があるかさえ怪しいのにな。この上貸し2つ』に増やす気もないし、そこはコツコツ頑張って頂かないと。
「魔法学校の卒業生も徐々に増えるし、彼らにやって貰えば良いじゃないですか!? 現在の学校の運営費だって基本国庫から出てるんだし。」と俺が身代わりの人身御供案を提供しておいたのだった。
実際今の魔法学校って、防衛大学とかと同じ様な物だろう?言い換えると、国の奨学金を貰って卒業後に公務員とかになって何年以上働けば、返済不要になるとかって制度あったよな? あんな感じで、実務で返済するって考えると、魔法技術の向上にも役立つし、魔力の底上げにも繋がると言う、八方丸く収まるハッピー・プランだと思うんだよね。
意図せず良いアイデアだったと後付けで自分を肯定するのであった。
そんなどうでも良いい事よりも、肝心のメインの報酬である『宝物庫』散策である!!
■■■
さあ、900年の歴史を誇るローデル王国の『宝物庫』拝見の時間である。
宝物庫まで案内して貰うと何故か3人の男の文官っぽいのが紙の束を持って立って待って居た。
なんか当然の様に帝国と同じ様に俺に全品鑑定させる気の様に見えるのは錯覚だろうか?
俺は敢えて彼らの存在をサラリとスルーして質問も指摘もしなかった。『絡むな危険』である。
華麗にスルーするに限るだろう・・・。
俺が3人の存在に全く触れず、サラリと宝物庫の中に足を踏み入れると着いて来ていた国王陛下と宰相が何か焦り始めた。
「あ、ご案内ありがとうございました。後は勝手に数日掛けて選定するので。決まったらお知らせするのでご心配無く。」と俺が言うと、更に焦って尋ねてきた。
「トージ殿、えっとじゃ。娘、ジェシカから、宝物庫のアイテムの詳細を教えて貰えると聞いたのじゃが? よってこうして3名の文官を待機させておったのじゃ。」と告白する国王陛下。
「ああ、あれね、帝国ではジェシカ第一王女殿下にしてやられて、凄く時間だけ掛かってしまって大変でしたよ。10品ぐらい厳選して応える程度なら100歩譲って協力しますけど、全品なんてとてもとても・・・。何品在るか知りませんが、1日100品やっても1週間で終わらないでしょう? これ以上無駄に時間費やせないんですよ。ダンジョンアタックの続きもあるけど、新しい魔動具の研究もしないといけないし、そしてなによりも!!!娘と一緒に過ごしたいんで!!」とキッパリとお断りしたのであった。
国王陛下も宰相は愕然として居たが、ヨロヨロと「そ、そうか・・・相判った。そうか10品のみか・・・。また別途相談させて頂くので。 あ!それはそうとじゃ。もし宝物庫のアイテムで儂らが知って置くべき物があったら、手数を掛けるが知らせて欲しいのじゃ!」と国王陛下に頼まれた。
今回気持ち良く拒否出来たので、それ位なら譲歩しようじゃないか!?と気分良く承諾し、宝物庫にズンズンと入って行って、所狭しと整列されているアーティファクト達を見て廻るのだが、王国の宝物庫は帝国の宝物庫(1度俺が破壊してしまったので作り直したのでそれ程埃は沈殿する時間が経過して居なかった)よりも古いままの状態で、掃除さえされて居なかった様で、床も棚もアイテムさえも埃だらけだ。
ハウスダスト・アレルギー持ちの人だと殺人級の埃具合なんじゃなかろうか? これは流石の俺でもドン引きしてしまう。
そんな訳で有無を言わさず宝物庫全体にクリーンを掛けて埃を全て消したのであった。
てかさぁ~。俺が見に来るの判ってたんだから、最初から掃除ぐらいさせておけよ!って話だよな!
全くもう・・・。と心の中でボヤきつつワクワクしながら本格的に宝物庫探検を始めるのであった。
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