第183話 忘れた頃に・・・ その4
早く帝国から貰ったアーティファクトの解析と改造に移りたくて頑張ったのだが工事の終わりが見え始めるまでに更に2ヵ月が掛かってしまった。
でももうまだちょっと距離はあるものの、ちょっと向こうに俺が城壁工事を始めた開始地点が見えている。
「いやぁ~、ここまで長かった。やっぱ、マッシモ以上の円周はキツイ。」と見えて来た『終わり』に気を緩めて仮面の下で笑みを漏らしつつ呟く俺。
しおかし、漸く王都の拡張工事が完了が見え始めたこのタイミングで豪華な竜車が俺の作業現場へとやって来た。
何だろう?凄く嫌な予感しかしないのだが?
普通にお疲れさん的な慰労目的ならもっと早いタイミングで数回来るのが常識だろう?
だが敢えてこのタイミングだ。その時点で慰労って線は薄い気がする。そうすると俺にとっては訃報となる禄でも無い予感しかしない訳だ。
果たして誰が来るんだろうか?国王陛下はまずあり得ないし、だとすると妥当なところで宰相か題意王子殿下か?
そしてやって来た竜車から出て来たは、
「じゃーん!師匠!愛する弟子がやって来ましたよ!」と言いながらジェシカが飛び出して来たのだった。
ああ・・・これで禄でも無い知らせってのが決定したー!とガックリと心の中で躓く俺。
俺は終始無言でジェシカを見て居たが、思った様な反応が俺から得られないのを不服に思ったらしく、プンスカとしながら拗ねる様に口をとがらかせて居た。
まあ普段なら、ここら辺でラフティが軌道修正で止めに入るのだが、肝心のラフティは現状魔法学校の校長職を無理矢理引き継がせられたので傍には居無いのだ。
そうそう、ラフティだが、ただの平民のまま校長職となると軽んじてくる貴族が居るだろうと言う配慮で、何と今では男爵位を叙爵した。
女性なのに男爵とはこれ如何に? と1人で心の中で呟いてウケててたのだが、当の本人であるラフティは非常にご不満の様で、
「これで益々婚期を逃してしまいそうです!!
ああ、なる程、下手に爵位持っちゃうと周囲に移送な平民の男性はビビって手を出さなくなるし、逆に男爵欲しさに近付く他家の貴族の嫡男以外の連中が群がって来て鬱陶しそうである。
今度国王陛下に会う際にはそれとなく、それを指摘して置こう・・・。
おっと、話はジェシカに戻るが、一頻り拗ねた様な仕草をして居たが、反応の無い俺に飽きたのか、唐突に本題に入った。
「師匠、お疲れ様です。
で、ちょっと物は相談なのですが、ここまで出来ても普通に人力で道路をヤルとなると年単位で掛かるのに出来映えはお粗末になるんですよ。それこそ、城壁に見劣りする程に。 マッシモの道路の素晴らしさ、師匠の作る
「えーー!?この上道路工事までやれってか!?滅茶滅茶嫌なんだが?幾ら俺でもマッシモよりも広いエリアだぞ!?数ヶ月なんてもんじゃ済まんだろ? それを王都の拡張エリアの一角の土地だけで全部ヤレって言うのか? 流石に釣り合わないだろ? 人力で年単位でやれば良いじゃん。それか、魔法学校の卒業生を持って来て強制させるとかさ?」と俺が反論すると、ジェシカも執拗に食い下がる。
マッシモの倍の面積の土地でどうか? とか、生涯税金無しとか色々だったが、一瞬税金無しにピクリと心が動きかけたが、生涯の税金なんて高が知れてるし、それに一番稼ぎ頭となっている『オオサワ商会』の税を無しにするとその減収分を他で増税して補おうとしそうな気がしたので止めた。
「しょうがない。気乗りはしないが、倍の土地で手を打とう。 そうだ!あと、ラフティ可哀想な状態になって居るから、王家が責任持ってちゃんとしたまともな男を結婚相手として用意してやれよ!! もし禄でも無い男だったりしたら、王城に隕石降って来るよ?」と俺が言うと、青い顔をしてジェシカがウンウンと首を縦に振っていた。
てか、王都の土地貰っても使い道無いんだよなぁ~。しかもマッシモの倍だろ? どうしよう?
「手順はマッシモの時と同じで、そちらで必要な道路の設計図作るんだろう?」と俺が問うと、
「ええ、城壁の工事終了までには間に合わないかも知れませんけど、急がせますわ。 師匠も欲しいエリアの選定を早めにお願いしますね。 どちらにしても、工事終了したら、少し休暇取るのでしょう? 休暇明けに1度王宮のあの部屋に来て下さいませ。
私も出来れば嫁ぐ前に立派で綺麗に広くなった王都を見てから嫁ぎたいですので、師匠の頑張りに期待してますわ。」と言ってウインクしてから颯爽と竜車に乗って去って行った。
それよりも、だ。 王都の土地どうするよ? 転売?いやぁ~環境悪化に繋がるから駄目だよなぁ~。 何か面白い事か役に立ちそうな事をボチボチと考えるとしよう。
それから数日で、王都の城壁は一周が完全に繋がり、後は城壁の上の歩道の部分の手摺や遮蔽物の追加等、更に物見の塔や階段の増設を行う。
城壁に比べれば大した作業で無いと思われそうだけど、兵士が転落しないようにしたり、外部からの攻撃から身を隠しながら攻撃出来る様にしたりするのは以外に芸の細かい作業だったりするのだ。
その点、物見の塔や、ただの階段なんかは楽な物である。でもジェシカ達には『楽なさぎょうですよ!』なんて決して言わない。言ったが最後骨の髄までこき使われそうだからな。
おかしいな・・・あの『メダル』拒否権あった筈なんだがな? 何か今考えるといつの間にか有耶無耶にされてないか?
ジェシカか!! 彼奴が現れてから、変なペースに巻き込まれてるのか!? と元凶を再確認した俺であった。
尤も、婚姻までに立派に生まれ変わった王都を見てから嫁ぎたいってのは・・・判るし、師匠として弟子の晴れ舞台へ送り出す手助けと考えれば・・・・いや内容の程度が流石にデカ過ぎるか。
そして更に3週間が過ぎた頃、城壁(物見の塔や階段手摺等を含む)が完全にそして完璧に終わったのであった。
「いやぁ~、我ながら素晴らしい出来映えだな。そりゃそうか、タラタラ文句垂れながらもマッシモから数えて4作品目だもんな。
上手くもなるか。」と上空に作ったのフォース・フィールドの足場の上で独りごちつつ、自分の作品を見下ろしていた。
上空から見ると、旧城門まで綺麗に見通せるので、作るべきメインストリートが見える。
ただ、所処に起伏や陥没した地形も在るので、言われて居ないが、結局は先にある程度フラットな地形にしておいた方が得策なんだろうなぁ~。
だが率先してやりたくはない。
それはそうと、どの辺りの土地を頂くか?実に悩ましい。
あれから考えたのだが、俺の為と言うより、サチちゃんやマッシュ達、子供達の為に持って居た方が将来的に彼奴らの役に立つだろうって思った訳だ。
日本で言えば、東京の代官山辺りに自由に使えるだだっ広い土地を持って居る様な物だろう? 彼奴らが将来独立して商売を始めるにしても土地が在ればきっと役に立つし、そこら辺は高家の都市計画と相談しつつ決めるとしよう。
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