第163話 遊具作り
最近のサチちゃん、成長っぷりが凄いんだよ!
って、前から凄いって事に触れてたと思うけど、親の欲目抜きにマジで凄いんだって!!
俺の女神の手駒専用ボディの遺伝子の影響かは知らないけど、特に魔力や魔法に対する理解力や応用力が半端ない。
以前にも習ってもいないクリーンを自分で掛けてオムツを綺麗にしたりと幼児離れした事やってのけてたけど、掴まり立ちから歩くのも早かった事も全てひっくるめて、もしかして無意識に『身体強化』まで使って筋力の未熟さをカバーしていたんじゃないかって思えて来たんだよね。
普通なら、何をそんな寝ぼけた事をと一笑に付す話なんだけど、今朝驚くべき現場を目撃しちゃって、目が点だよ。
良く日本でも『お子さんの目の届かない所に置いてください』とか言うフレーズの注意書きあるじゃん。
つい最近まで這い這いしてた様な0歳児の身長なんて50cm有るか無いかだろ?それがだよ、俺の書斎の床から1mぐらいの高さにあるドアノブまでよじ登ってよっこらせ!って感じに捻って開けようとしてる現場に遭遇しちゃったんだよ。
届かない筈の高さのドアノブの高さまで、なんと、フォース・フィールドの足場を作ってよっこらせ!って上がった感じみたいなんだが、おれが目を見開いてビックリしてると、「あ!ヤベッみつかちゃった!!」って感じにハッとした顔をしてたけど、ニコーって可愛い笑顔で微笑んでたんだよ。
マジで・・・。
この子、このまま育って成長すると、俺以上に魔法の申し子になるんじゃ無いかな?
まあ、火事等の事故が起きない様にある程度の年齢になって言葉を理解する様になるまで、大人がそれとなく注意するしかないね。
で、サチちゃんだけど、俺の方を向いて自分の作ったフォース・フィールドの足場から降りた後、俺の足下までトテトテとやってきて、ニカーって可愛い笑顔で今度は自分で俺の胸元まで自力で這い上がって来てハシって首に抱きついて自分で肩車体勢に入ってしまったんだよ。
いやぁ~本当にビックリしたよ!
そんな訳で、王都から戻った翌日はダンジョンの続きをヤル予定から急遽変更してアリーシアにもこのサチちゃんの現状を伝えておくべきと思ってダンジョンはお休みにしたのだった。
その話(サチちゃんの能力の件)をしても最初アリーシアは冗談と思った様で真に受けて無かったのだが、床に座らせているサチちゃんが「「トーしゃ!」と言って両手をバンザイしてるのをちょっと放置してみると先程の様に俺の所まで歩いて近付き、フォース・フィールドの足場を作って汁木で這い上がって来るのを見て手を口に当て大変驚いていたのだった。
そして、アリーシアが思い出した様に「そう言えば、時々高い位置に置いてあった物を使って遊んでいるのを見た事が何度かありました。 てっきり、誰かが置き忘れたとかと思ってました・・・じゃあ、あれもこの子がやってたんですね!?」と言って驚きながらもながらも娘の規格外っぷりに微笑んでいたのだった。
一応、この事実は我が家の全員と情報共有したのだが、師匠は「そうかい、流石はサチちゃんだねぇ~」と何故か誇らし気にサチちゃんの頭を撫でて目を細めていたのだった。
だが、こんな事が外部に漏れると良からぬ奴らがサチちゃんに興味を持って触手を伸ばす可能性があるので、1歳を過ぎても外遊びは拙いかも知れない。
つまり、言葉を理解し言って聞かせられる様になるまで『公園デビュー』はさせられないと言う事である。
なので俺は自宅の敷地内の我が家の者の目の届く辺りに遊具を備えた公園を作ってやる事にした。
この世界の公園とは芝生の生えた空き地であったり、普通の土のグランドの様な所である。
気の利いた公園だと噴水等があったりするが、魔石で噴水用のポンプを動かす物なので、そんな所はかなり贅沢な公園に分類される。
まあ小さい子が居るので噴水や池は事故の元なので、そもそも水系の物は却下だが、遊具は沢山用意してやりたい。
そう、この世界の公園には遊具なんて存在しないのだ。
シーソー、滑り台、ブランコ、ジャングルジム、後は・・・ロープタワー? いや・・・これは危険だから却下か。
あと、安全な砂場だな。
よし!ついでに孤児院にも同じ遊具を設置するとしよう。
休み序でに大工と鍛冶屋に行って、遊具の設計図を見せて必要となるシーソーの軸受けやブランコの軸受け等パーツを作成して貰う。
まあ俺が何やらお金儲けの匂いのする発注をするのかと興味津々だった職人達もそれが子共の遊具と聞いて非常に驚いていた。
だが、「トージの旦那! これ、お貴族様のご子息用に売れるんじゃないですかい?」と木工職人が言うと状況は一変し、結局商人ギルドに登録して販売する事になったのであった。
流石に、試作品でさえ1日では何とも形にならず、結局試作品が家の庭に完成するまでに4日掛かってしまったのだった。
我が家の庭に作っただけでは子供らの正しい評価を得られないと言う事に気付き、急いで孤児院と、マッシモ様の許可を得てマッシモ中央広場にも遊具を設置したのであった。
子供らに人気があったのは以外にもジャングルジムで、特に男の子達がはしゃいで遊んでいた。
砂場は女の子や小さい子達にに人気で、水で濡らして団子にしたり、トンネルを掘ったり、砂で城を作ったりして見せると子共ばかりか、大人まで寄って来て「おーー!」と歓声を上げていた。
そんな訳でマッシモでの遊具の評判は上々で、マッシモの商人ギルド経由で各地の孤児院にも遊具を提供する様に手配して貰った。
尤も全国の孤児院の火事だけで相当数あるので職人や鍛冶屋のオヤジが嬉しい悲鳴を上げていた。
さて、今回の事を経て俺も初めて知ったのだけど、この世界の知育玩具なる物は無いらしい。
俺も自分が子を持つ親となって無かったら思い付いてなかったかも知れない。
赤ちゃん用玩具もでんでん太鼓やガラガラも見た事無いな。
庶民にすれば、生活に余裕が無いのでそんな赤ちゃんの玩具にまで頭が回らないって事かも知れない。
もし作った人が居ても売れなければ作るのを止めるだろうし・・・。
積み木でさえ玩具として売られているのを見た事がない。そこで積み木やブロックを作る事を思い付いたが、問題は職人の手でコツコツと通常の大工用の工具で削ったりしたんでは精度もで無いし時間が掛かりすぎて売り物にならない。
そこで、生産コストを抑える為に電動工具ではないが、木工切削用の魔導回転工具を開発する事を決めたのであった。
尤も、もう直ぐ王都のオークションの本番日なので取り掛かりは恐らく年明け以降であろう。
早めに積み木やブロックを作ってやってサチちゃんの天使の様な笑顔を貰いたい物である。 サチちゃん、お父さん頑張るからね!!
回転工具が出来れば、達磨落としやけん玉くらいは直ぐ作れそうだしな。
いや、サチちゃんは女の子だから、ドールハウス的な物の方が良いのか?
お飯事道具ってどうなんだっけ? あれって皿とか茶碗? 木製の割れにくい物が良いのかな?
まあちょっと日本の玩具を思い出して簡単な物から色々トライしてみるとしよう。
そして、漸く王都のオークション本番前日となったのであった・・・。
いやぁ~、今回のオークションの前評判は本当にヤバイよ!!
マッシモに居て大人しく遊具のプロジェクトを熟しているだけの俺の耳にも色んな所を経由して噂が飛び込んで来るし。
今時点の熱狂振りで当事者ながら、ちょっと引いてしまうぐらいである。
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