第145話 マッシモ拡張計画 その5

みんなで頂く土地に関する話し合いの結果、ジェシカに地区に制限を掛ける等の条件付けをお願いする事にした。


それに伴って、日本にあった風営法の様な学校や病院の半径○km以内に娼館禁止とかと同じ様な制限を提案してみる事にしたのだった。


結果から言うと、流石に法律的な物での縛りは現実的に無理と却下されてしまった。


一領内の問題と言うよりも王国の国法の領域と言う事で現行の王国の法では特に違法では無いので今更制度を変えられないと言う事である。


なので取り敢えず、俺達の敷地となるエリアにはそう言う店の出店を許可しない様に商人ギルドの方にお願いするに留めた感じになった。


尤も俺の功績に見合った面積となると、非常に広大になってしまい、ザックリ8ブロック四方ぐらいのエリアを頂く事になってしまった。

現行のジェシカの屋敷の敷地よりも少し大きいぐらいである。


日本の町で言うと、1丁目~5丁目が入るぐらいと考えれば実感が湧くかな?


そんな広いエリアをどうする?って、自分の自宅をど真ん中の敷地につくったら、その周囲に俺の所のスタッフが家庭を持った際に住まわせる様にすれば丁度良いじゃん!?


まあ先の長い話だけどね・・・。


ご褒美(の場所)が確定した事もあって、益々気合いを入れて週1日の休みだけで、只管広大な増築エリアに道を作って廻る俺。



時々、報告会でジェシカやマッシモ様と顔を合わせ打ち合わせを行うが、回を追う毎に新生マッシモの地図(都市設計図)の作成済みの道路がドンドンと色付けされて行く。


本題である教育機関を建設するエリアは、真っ先に手を付けたので、そのエリアの道路に関してはほぼ100%が完成している。

一応、ジェシカ曰く『王立魔法学校』の建設は開始しているらしい。


打ち合わせの度にジェシカの疲労が濃くなって行ってる気がする。


まあ本件に関する王宮側の総責任者がジェシカなのは理解出来るのだが。全部が全部を1人でやらずに、王宮から官僚?文官を呼べば良いのにって思って聞いたのだが、


文官の多くが結局は法衣貴族で大貴族の派閥に属していて、余計な勢力や利権を作るのを避けているので極力余計な文官を使って内部に入らせない様にしているそうだ。


なる程、あの一件で俺が処分した様な輩(魔法使いの集団)を作らない為って事か。


そして、会合の都度、次に道路工事を優先すべきエリアを指示され、ヘイヘイとその指示に従って道路工事を進める俺であった。



街を拡張するにはそれなりの人工が必要な訳で、その人工を受け入れる為の宿舎や宿を作って収容しない事には工事が進まない。つまり、そう言うエリアの整備は完了していて、俄にマッシモの人口が爆発し、良からぬ連中も少なからず入って来て一時的に犯罪が増えたりしている様である。


家のスタッフ達の殆どが自衛力を持っているだが、豆腐屋をやってくれている3人や焼肉屋の特に女性陣は防衛手段が無いのでアリーシアに頼み冒険者ギルドに護衛の依頼を出して送り迎えの護衛を付けている。


男? いや男性スタッフには護衛は付けてないよ! そこは各自で頑張って貰わないとね。


あ、そう言う訳で後手ではあるがマッシモの衛兵や騎士団も急遽増員する事にしたらしく、冒険者から騎士に転身しようと試験を受ける者や、地方の貴族の子息で跡取りで無い3男以上の食い扶持の無い者、しかも貴族出身って言う妙なプライドが残って居る連中が大挙してマッシモに集まって来てしまい、治安の低下云々以前に非常に雲行きが怪しい事態に陥っている。



普段の日中は旧マッシモの場外で工事を行っているので街の中に居ないのだがそう言う不穏な状況だけに厭な予感が俺を不安にさせるのであった。




 ◇◇◇◇

来る日も来る日も相変わらずに工事を続け、気が付けば何時しか季節は変わって、冬となった。


冬と言えば鍋の季節。


焼肉屋の方ではすき焼きやしゃぶしゃぶに加えてちゃんこ鍋や海鮮鍋等もメニューに加えた。

味噌仕立てや塩ベースの魚介類の出汁の効いた鍋である。


子供達がやっているアンテナショップの方ではおでんも始めた。

具材の為にゴザレオの街の方にレシピや製法を伝授と言うか出資して工場を作って練り物の製産も始めていたりする。

やっぱり、おでんには牛蒡天とかも欠かせないからね。

こうやって徐々に具材等の生産物を拡充して行かないとね!


と言う訳で、後は肉まんあんまんを作ればコンビニ冬の風物詩の代表格は揃うのだが、今年はそこまで手が回らなさそうだ。


おっと、マッシモの冬の話だったな・・・まあマッシモの冬はそれ程寒くもないので、余り秋との違いが判らなかったりする。


日頃から屋外で土方仕事をしている俺にとっては、夏の頃に比べ日中の日差しが柔らかくなった事ぐらいしか感じ無い。


そう言えば、汗を掻く事が少なくなったなって程度だ。


だが、もしかすると、それは俺だけが専用ボディで耐性があって鈍感なだけかもしれないのだがな。


工事全体の進捗状況は、道路に関してだけは6割完了と言った所だろう。


ジェシカも疲れて居るが、マッシモ様も相当に疲れて居る様子。


何でも、貴族の子弟だけで無く、マッシモに別邸を設けたいと言う貴族からの申込みや突き上げが日々激しいらしい。

今や、マッシモは王国の繁栄の中心地である。


他の領地は地域・・・特に例の反乱の貴族家に関わっていたり、懇意にしていた大貴族らから利益を享受していた奴らは完全に波に乗り遅れて居たりする。


だからこそ、マッシモに進出して1枚噛もうと必死なのだ。


しかし、現状頑と撥ね除けているとの事であった。


そうそう、先にあった家禄を継げない貴族の子弟の件だが相当問題らしく、弱り果てているみたいだ。


その為か、又はマッシモに寄って来るならず者の為かは判らないが、犯罪者を拘置する拘置所の建築依頼が『特急』で入ってしまった。


つまり現行の拘置所は満杯で急遽増やさないと対応出来なくなっていると言う事。



おれは拘置所の件を了承し、そんなゲッソリしている2人(ジェシカとマッシモ様)に胃痛などが収まる様に回復魔法をソッと掛けるのであった。



まあ、拘置所の建設と言っても鉄格子やその扉は鍛冶屋のオヤジの作品で、俺は外側の石作の頑強な壁と屋根を作って鍛冶屋のオヤジから受け取った鉄格子を独房の個室の床と天井に埋め込んで一体化させるがけでOKである。


で、その横に、衛兵の詰め所の建物を併設して、内装や扉等を大工に振ってお終いだ。


まあ、この型式で良ければ、日に50軒ぐらいの建物は建てられるのだが、大工や職人の職を奪ってまでやりたい訳では無いので下手にアピールしたりドヤったりせずに大人しくしているのである。


そもそも現状道路は全計画の6割程度なのでそう言う余計な事は100%達成後の話だな・・・。


そんな状況の今日この頃だが、季節の変わり目の所為か、冬の気温変化の影響か? アリーシアの体調が良くない様で心配である。

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