第139話 マッシモ拡張計画 その3
今日も朝から城壁工事を行っているのだが、丁度城門を作るべき位置に辿り着いたので、現行の城門の作りを思い出しつつ取り敢えず作って、みた。
実際の門に付ける扉の板は後日として、衛兵の詰め所的な場所や、夜間の通用口を作り完成!と思ったが、貴族門が真横にあったのを思い出し、適当に作っておいた。
まあ、そもそも通常の門の構造以外は通った事ないので知らんし、文句言われたら後でチョコッと改造すれば良いだろう。
そして、ちょっとした休憩を挟んで城壁の続きを作り続けるのであった。
ピラミッドじゃないけど、これだけの石の建造物を人の手だけで作ったら本当に気が遠くなる年月が掛かるだろうな。
マッシモの現行の城壁でさえ、世代単位で掛かっているんだから、王都の城壁とか、もっと凄い年月掛かっているよな。と考えてまあ帝国が悪かったとは言え、あの城壁をボロボロにしたのは可哀想だったかな?と少し同情心が湧いて来るのであった。
確か、帝国は建国1000年以上だったっけ? と言う事はあのぶっ壊れた?城壁とかって、もしかして国宝級の文化遺産だったのかな?
ヤリ過ぎたとは思わないけど、こうして実際に作る側の立場に立つと復旧にどれ位の年月が掛かるのかと考えてしまう。
王国程低レベルではないけど、帝国の魔法使いもそれ程凄腕って事もなさそうだし、チョチョイと修復したり出来なさそうだよな。
こっちが一段落落ち着いたら、状況を見て帝国の復旧に手を貸すかな?
◇◇◇◇
4ヵ月が過ぎた頃、漸くグルッと1周城壁が繋がった!
当初、魔法でチョチョイと1ヵ月ぐらいで作ってやんよ!って意気込みだったのだが、それは非常に甘い考えであった。
単に城壁を作ると言っても平坦な場所もあれば窪んだ場所や盛り上がった場所等様々な地形がある訳で、それらを整地しないと城壁だけが宙に浮いてしまう様な所もあった為、当初の腹積もり以上に時間が掛かったのだ。
特に小川が流れて居る箇所の処理には生態系等に影響でそうなので神経を使った。
そんなこんなを経て漸く1周が繋がった訳だ。
だがまだ完成ではなくて、城壁の上の歩ける部分の縁に手摺と言うか出っ張りの遮蔽物的な物を作って廻る必要がある。
で、幾らタフなこの身体でもテクテク75km近く歩いて廻るのはかったるいし、何か楽な方法は無いかと頭を捻る。
滑空は出来るけど、実際に推進力や揚力を持って飛んでる訳では無い。
ローラースケート的な感じでも良いけど、浮いて少しでも楽をしたいと思うのは人情って物だろう?
某宇宙戦争系のアニメで出て来る重厚なロボットが浮いて移動するバーニアとかスラスター的なホバージェットの様な推進力とか出来れば非常に良いのだがな。
とは言っても早々簡単に実現出来る訳も無く、取り敢えず今後の課題として心にメモをして地道に自分の足で歩きながら、城壁の歩道の縁を含む細部の仕上げをして行くのであった。
更に10日が経過したが、各門の扉の板を付けて、漸く完成である。
各所に設けられた物見の塔や各門の衛兵の詰め所の扉や内装等はマッシモ様に投げる事にする。
現状まだ引き渡し前なので各城門はフルオープン状態である。
これで工事から解放される訳ではなくて、まずは東西南北の新旧の門へ繋がる幹線道路を整地する様にと追加工事をマッシモ様とジェシカからお願いされている。
まあタイミング的にキリの良い所なので、一旦ちょっと纏まった休暇は貰うけどね。
そうそう、城壁と言えば漸くマッシモ様が街を拡張し、『王立魔法学校』なる教育機関が開設される事を正式に発表された。
まあ俺としてはこの『王立』って部分にモヤってしてしまうのだがな。
だって実質着工して作ってるのは俺だけなんだよね。じゃあ『俺立』なんじゃねーか?って。冗談で思ってしまうが・・・。
いや、マジで『トージ立魔法学校』って名前付けられても困るけどね。
だが、ジェシカの話だと、何か国王陛下の発案で、校庭に国王陛下ではなく、俺の銅像を建てるってキツイ冗談の様な案が出て居たらしい。
まあ、ジェシカの配慮でそれはキチン却下されたらしいけど、危うく異世界の二宮金次郎になる所であった・・・。
忙しい中、チョイチョイ定期訪問している帝国のタイラー君に聞いた所、件の温泉地は非常に治安の良い所で安心して訪問して下さいと言われた。
折角なので、今回のちょっとした休暇に新婚旅行を兼ねてアリーシアと温泉旅行に行こうかと思っているのだ。
タイラー君から俺とアリーシアの分の身分証代わりのメダルを貰い、いそいそと旅行の準備を始めるのであった。
尤も、先に俺が単身でその温泉地を目指して空の旅をしないといけないのだがな。
今回はタイラー君から帝国の地図をシッカリ頂いているのでノープロブレムである。
一応、以前にタイラー君には今後の態度次第で俺が持ちだしたお金や宝物等を段階的に返却して行くって話してあるけど、それに加えて、城壁ぐらいはなんとかしてやるかな。
って、冷静に考えると全部俺がやった事なのに酷い言い草だよな?と思わず苦笑い。
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