第129話 報復? いや躾けだよ! その5
さて、帰りがけに立ち寄ったちょび髭オヤジらの帝国軍陣営に待望の食料が届いていたが、頼みの綱のトランバニアが杏奈状態で、城壁にに異常が発見されて籠城すら出来ない防衛で全く役に立たない素通り可能な砦と化してしまっているので、本来必要な量を送って貰えなかった様だ。
何の運命の悪戯か? 本当に不運だな。
まあ、俺の悪戯なんだけどな!ハハハ!
「食料届いたのは嬉しいが、これじゃあ、全員に配給すると保って4日ですな・・・。」と渋い表情の士官だか副官だかががちょっと腹を壊した影響か?ゲッソリと窶れてしまったちょび髭オヤジに算出した事実を報告する。
「それで追加の食料や軍事物資は何時届くと言って来てるのだ?」と力の籠もってない声で尋ねるも、目を伏せ静かに首を横に振る士官。
それを見て、更に項垂れ絞る様な声で「こんな状態で撤退等前代未聞だ。儂は皇帝陛下に何と報告し、償えば良いのだ?」と言いながら天を仰ぎ見ていた・・・。
もう相当に精神的にも肉体的にも効いてる感じだな。もう一息! ちょんと背中を押す出来事が在れば堕ちるな。と心の中で呟きニンマリと微笑む俺。
こう言う時って、転変地異とか天災とか奴らの言い訳に使えそうなネタが良いんだろうな・・・。
地震とか、噴火とか、土石流とか、洪水とかが判り易いが火山でもあれば噴火させるのは出来そうだけど、何も無い所にイキナリ噴火はハードルが高いな。
洪水も然り。川がここには無いし。土石流もその土石流の素となる物が無いと魔法のゴリ推しで無理矢理したってそんなの只の攻撃魔法じゃん。
色々難しいよなぁ~大雨や雷雨とか台風とか、嵐とかなら、頑張ればイケるか!?
凄く面倒だな。
前回禁じ手にしたけど、魔王ムーブ行っちゃう?
いや、無駄に殺さないで済むなら、それに越した事はない。
要はこのちょび髭オヤジの心を徹底的に折れば良いんだよな?
やっっぱ集中豪雨的な天災ヤルか・・・。と腹を括った俺は今回届いた食料には取り敢えず手を出さずに上空へと移動してフォース・フィールドの足場を出して胡座を掻いて座り込み、嵐の捏造を始めるのであった。
どす黒い黒雲を魔法で擬似的に作り出して雷をその黒雲の中でバチバチと光らせる。そして遠くの川の水をゲートで繋いで黒雲の中で霧状に為て遣って、冷たい空気をその黒雲に上から吹き下ろした。
そして、黒雲の直下の気圧を下げてやった。
最初はポツリ、ポツリと言う感じだったのだが、気圧を弄ったお陰か、良い感じに風が強くなって、川から持って来た水分が良い感じに雨となって、地上の帝国軍の陣営に容赦なく叩き付けて居る。
これぞ、ゲレラ豪雨だ!と言う程の大粒の雨が降っていたが、更に気温を弄って下げ影響か、大粒の雹になって帝国軍を襲っている。
よく日本ではゴルフボール大の雹が降って車ばボコボコになったとかってニュース流れていたけど、帝国兵の中には頭に雹が当たって血を流して叫んでる者も居る。
可哀想に・・・。
「指令!折角届いた食料に被害が出そうです!」と士官がちょび髭オヤジに叫んで居るのが聞こえて来た。
「もう無理だ。総員撤退する。このままではやっと届いた食料さえ失ってしまう。水に全員飲み込まれる前に速やかに撤退するのじゃ!」とちょび髭オヤジが叫んでいた。
やったーーー!♪ やっとだよ!! 判断遅ぇ~よ!と文句を言いたい所だが、今回は結婚直前って事で機嫌良いので見逃してやろう。 今回だけ、特別だからな!
奴らの撤退の背中を押す意味も込めて、数発誰も居ない場所に落雷を装った雷魔法を打ち落としたバッシーン♪と言う音と恐ろしい稲妻に顔を青くしながら、動画の早送りの様な感じに撤退を開始したのだった。
奴らが俺の作った泥濘の盆地を脱出し終わった頃、徐々に嵐を収束させるのであった。
やっとだ。これで王国とラグナ辺境伯領都も当面の危機は去ったと思って間違いないだろう。
また奴らが体勢を整えてUターンして来るんじゃないかって? 大丈夫だよ!
体勢を整えるも何も整えようが無い程に帝国はボロボロだからね。
しかも出兵しようにもその軍資金が何処にも無い。
まず、皇城の城壁から修復しようとするだろうけど、あれは普通に建て替えようとら、建て替え資金が在ったとしても数十年単位で掛かるだろう。
しかもそれだけで無く皇都の城郭の城壁も同様にボロボロだ。全てを元に戻す事を考えると、今の世代では無理だろう。
結婚披露パーティーが終わったら、取り敢えず皇帝を脅しに行って、2度と余計なちょっかい掛けたりしないと約束させよう・・・。と方針を決めたのだった。
そうだな・・・そんな事を頭の中で考えていて、喉に引っ掛かった小骨が取れた様にスッキリとして行くのだった。
■■■
俺はそのままマッシモの自宅に帰ろうかと思ったのだが、決死の覚悟を携えて不安な気持ちで防衛任務に就いて居るラグナ辺境伯の領軍の皆さんや衛兵の事を思い出してしまった。
どうした物かとちょっと考えたが、奴らが撤退した事ぐらいは知らせて置いた方が良いだろうと言う結論に至ったのであった。
北門の衛兵に報告して置けば良いだろう。 但し俺はラグナ辺境伯領都に入ったものの、ラグナ辺境伯領都から出たと言う記録は残って無いだろうが、その為にメダルを有効活用しても、これだけ働いた?のだから罰は当たらないだろう。
まあ奴らが撤退した理由は集中豪雨と雷による食料や軍事物資の喪失と帝国内部の重篤なトラブルに寄る補給不可能な事ぐらいで良いよな?
そんな訳で北の城門の近くまでゲートで移動して街道を普通にテクテクと歩いて行くとラグナ辺境伯領都の城壁と北門、そしてそこに展開している部隊と足止め様の丸太で組んだバリケードが見えて来た。
当然だがそれからの対応は胃様に早かった。
早竜?に乗った竜騎士が1名俺の方に駆けよって来て、「そこの者!何者でどうして帝国方面からラグナにやって来た?」問うてきたのだった。
「やあ、どうも!俺はSランク冒険者のトージ。 王都に帝国からのテロ攻撃による騒乱があったのはご存知です? その襲撃の機会を帝国なら逃さないだろうと思って威力偵察を私的に行ってたんですよ。ご安心を!帝国軍は這々の体で撤退して行きましたよ。」と微笑みながら真剣に説明したら余計に混乱されてしまった・・・。
どうやら、この竜騎士、『王都の
結局、何かお前絶対逃がさん!!的な厳重な感じに槍を背中に突きつけられて北門の軍幕の所まで厭~な感じで槍の石突きで小突かれつつやって来たのであった。
竜騎士が俺の言った説明を上官にして居るが上官も同様に王都の件を知らずに話がややこしくなってしまい、当然の様に帝国側の二重スパイや破壊工作員であるかの様に疑って掛かられて、しょうがないと一応彼らの立場は理解するものの、コメカミがヒクヒクとしてしまうのであった。
だからって暴れたりはしないよ?
話がSランクの冒険者カードだけでは全く先に進まないので仕方なくあのメダルを見せて「これをラグナ辺境伯に見せれば話が通じると思うから。」と先程の竜騎士の3つぐらい上の位の上官っぽい騎士に託したのであった。
うん、その彼にもあのメダルは全然通用してなくて、そもそも存在を知らない風で、これを領主様に見せろ!って言われて対応を躊躇っているようであった。
あー・・・全然駄目じゃん!
確かにそれが何なのか何の意味があるのか判らない奴に見せても意味無いよな・・・。
「良いから、早く頼みますよ! こっちも(沢山魔力を使用する羽目になった似非嵐の所為で)疲れて居るので。」と急かしたが、椅子すら出してくれず、更にイラッとしてしまのであった。
しょうがないので、
まあ、彼らもズッと根を詰めてここに張って居たのだろう。と思って、思い切って彼の分の椅子も作ってやって、同様にお茶と軽食を出して勧めてやると、「か、忝い。」といってパクリと出してやったおにぎりにかぶりつき目の色を変えてパクパクと食べて大喜びしながら「ありがとう大変美味しかったけど、これれは何という食べ物で?」聞いて来たのでマッシモで流行っているマッシモ・マイマイで作ったおにぎりだと説明すると、
王都の乱は知らなかった彼でもここ最近のマッシモ発信のレシピの数々の噂は聞いていた様で驚いていたのだった。
◇◇◇◇
そんな訳で最初の竜騎士の若者とは気心が知れた仲の様に慣れて、多少居心地は良くなったし、無駄話で退屈凌ぎも出来た。
結局、ラグナ辺境伯がメダルを確認し顔色を変えて飛んで来た?のは3時間も待たされいい加減ウトウトしかかった頃であったのだった。
メダルのお陰で、俺の報告は全面的にラグナ辺境伯に信用されて、夕暮れ間近ではあったが、俺の報告したポイントまで泥濘の雨水で出来た沼?(帝国陣営撤退跡)を確認に行く事にした様であった。
ラグナ辺境伯は俺に詫びて持てなしたい様な雰囲気であったが、予定があるからと丁重に辞退し、ラグナ辺境伯領都の南門から出て大急ぎで自宅に戻るのであった・・・。
ギリギリ何時もの帰宅時刻に間に合ったのは幸いであった。
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