第128話 報復? いや躾けだよ! その4
翌朝夜更かしした割にスッキリと目覚め、皆と朝食を取った後、今日は少しややこしい事を帝都でヤル予定なので最悪少し遅くなるとアリーシアに告げた。
アリーシアからは連日の『悪戯』に励む俺を見てみてフフフと笑われたが、お見送りの時に
「呉々も無理はしないで下さいね!」と念を押されたのであった。
「うん、油断せずに頑張ってくるよ!」と言って、アリーシアを1度抱きしめてからゲートで出勤するのであった。
さてとまずは朝の挨拶代わりにあの最前線の帝国軍の陣営の様子を確認してみる事にする。
いやぁ~、本当に疲れ切った状態の兵士達の様子を見ると心が痛むよ!
しかも、疲弊は兵士の階級が下へ行く程に酷くて、中にはかなり酷い咳をしている者もチラホラ見かける。
そして酷い有様なのはあのちょび髭指揮官も同様で、こっちはおれが一服盛った良く効く薬の影響でおそらく一晩中茂みの中で踏ん張っていたのだろう。フンだけに。
もうゲッソリと言う表現がピッタリな感じに良いヨレ具合である。
しかも、寝床はおねしょで悲惨な状況のままで、飲料水にも事欠く状態の為洗って貰う訳にもいかず、『寝小便将軍』とでも陰で呼ばれるのだろうな・・・。
そんな元気の無い彼らに何とか元気になって頂きたい!と言う気持ちを込めて朝から気合いの入るプレゼント企画を閃いた俺。
特別ゲストとして、マッシモ東ダンジョン第35階層のリザード・マンの3匹の群に飛び入り参加して貰う事にしたのだった。
ご存知の通り第35階層のリザード・マンは非常に凶悪な魔物で非常に堅いそうそう簡単に倒せる相手では無いのだ。
もう朝から飯も食って無いのに凶悪な魔物が突然降って湧いたので泥濘に足を取られながら逃げ惑う兵士達。
可哀想に阿鼻叫喚の地獄絵図であった。
やってみたものの、「俺、これじゃあまるで魔王じゃん!?」とやっておきながら、ドン引きしてしまうのであった。
数百名近い犠牲者を出して漸くリザード・マン3匹が討伐されたが、劣悪な衛生環境もあって傷口からばい菌が入ってかなりの負傷者が重体となって戦力半減処か、壊滅と言っても過言では無い状態に陥ったようであった。
これは凶悪過ぎる手段なので今後禁じ手とする事にしたのであった。
もうこれでは王国に攻め入る処の状態でないのは一目瞭然なのだが、ちょび髭オヤジはまだ撤退の決断を下してない。
強情なのかバカなのか? それともむざむざ何の成果も無く撤退した後の制裁や粛正が怖いのか?
どちらにしても、この軍は抜本的な総入れ替えに近い補給や補充が無い限り戦わずして敗残兵の集団と同じである。
もう王国の・・・いやラグナ辺境伯防衛軍の脅威ですらないだろう。
■■■
哀れな帝国軍陣営の惨状を見て安心した俺は、昨日の続きを飛ぶ事にして昨日の夕方の地点の上空へと戻ったのであった。
台風の様に大陸を破壊しながら横断?縦断中だが、
帝国の各地を上空から見ていて思うのは非常に貧しく抑圧された民衆の姿である。
俺には極限まで圧縮された爆発寸前の風船の様に見える。くわばらくわばら・・・。
帝国の空を飛んで居ると何か言い知れぬ寂しさと言うか国民の負の感情?怨念?の様な邪気に当てられたのか、悲しい様な寂しい様な感情が湧いてくる。気の所為だろうか?
漸く帝都の城壁が俺の視界に入って来た。あれが悪しき帝国の総本山である。皇帝よ、楽しみにしてくれ賜え。
積年の・・・と言う程の絡みは無いけど、俺のテリトリーで騒乱を巻き起こしデートを台無しにした罪は重い。
テロの犠牲になった市民の恨みをジックリ地獄で味わいやがれ!とラストスパートを掛けて帝都の城壁に取り憑いて、何時もの様に、脆い素材に変質させてやった。
実際のところ、トラバニアで起こった現象の報告は通信魔動具が無い限りまだ帝都に届いて居ない距離である。
思わずトラバニア以上に気合いと
だから発覚した際には大層驚いてくれるだろう。
なんなら24時間体制で録画してくれるカメラを仕掛けて記録して後で楽しみたいぐらいである。
この帝都の城壁のヤバさは辛うじて自重を支えて居る程度で、一点に過剰な力や負荷が掛かったら、それこそ、ドミノ倒しの様に素晴らしい崩壊の光景が拝めるだろう。
この調子で皇城もやっちゃうか? まあそれは頂くべき物を全部根刮ぎ頂いた後にすべきだな。
これから皇城で行う悪戯の事でワクワクが止まらない。
逸る気持ちを抑えつつ皇城へと上空からお邪魔した。
まずは皇城の全体的な構成と言うか地図を作ろうかと、光学迷彩を使って普通に通路を歩き彼方此方を覗いて廻る。
警備を厳重にするのは良い心がけだ! お陰で金庫も宝物庫も、武器庫も含め、更には食料庫等の要所が一目瞭然で丸判りである。
で、金庫だが、普通の金庫ってイメージでは無くてどっちかと言えば蔵だよ蔵!金庫が金庫室と言うよりも1つの建物になっている感じだ。
それはそれは厳重な警備がされていて、『皆さんここですよ!!』って教えてくれてる感じだ。そんな所にどうやって忍び込むんだ?って思うでしょ?
ふふふ、意外に簡単なんだよ? 地上は先程言った様に厳重な警備が入り着いてて、何かする隙も無い様に思うけど、地上が駄目でに建物だから、地下もあれば屋根もある訳で。
物質の変質と似た様な要領で、分子の結合の隙間を大きくしてやれば俺1人通過するぐらいの隙間を空けて恰も通過?透過するかの如くに素通り出来るんだよね。
自分でやっておきながらビックラポンだよ。
で、問題の金庫蔵?の中の様子だけどさ、もう~アニメや映画で出て来る様な金貨銀貨がザクザクと積み上げられた小山が何個も作ってある感じだ。
もっと江戸時代の千両箱みたな判り易い単位に整理整頓しようとか思わないのだろうか?
でも多分何が何枚で幾ら在るとかって誰も気にもしてなさそうだな。 当の持ち主である皇帝も・・・。
そんな粗雑な扱いを受けている可哀想な金貨達に日の目を見せてやろうと床の上にゲートを発動し、そっくりそのままゴッソリ『時空間庫』に放り混んでやった。
まあ一応金貨の山が崩れる音が外に漏れて早々にバレても面白く無いので金庫蔵内部を防音のシールドで遮音して置いた。
まるでゲーセンのコイン落としゲームのジャックポッとの様にジャリジャリと金貨が崩れ落ちながら『時空間庫』に回収されて行くのを眺めるにはかなり爽快で見応えがあった。
こんな調子で他のターゲットからも音も立てずに根刮ぎ頂いて廻った。
ただ、宝物庫宝物蔵は大変だった。
だって、割れちゃ駄目な物だらけだからさ。
もしに金貨山同様に床にゲート出してガンガン収納してしまって、出そうとした時に何か判らない破片しか残ってなかったら厭じゃん?
ゲームじゃないんだから、人の家の壺を割ったりしないのだよ。
え?人の家の物をぬすんでるじゃないか!って?
単に預かってるだけだよ?
彼奴らが持って居ると碌な事に使わないからね。
で、そんな感じに宝物庫宝物蔵では時間を食われ何とか2日間掛けて全てを回収し終えた。
本当は一番最初に検証して置けば良かったんだけど、その方法に気付いたのが2日目の最後の方だったのだが。
全部手作業で回収するのは地獄だなぁ~って一瞬気を抜いた瞬間にデカイ壺が倒れて置いてあった台座から落下したんだよ。
あー!!って思った瞬間にプロテクションの意味で壺に魔装と耐ショックシールドを掛けたんだよ。
どうなったと思う? 全く割れずに音さえしなかったんだよ!
これにはビックリ。
そこで俺は閃いたね! これ、イケるんじゃね?ってね。
そこで本格的に魔の森の小屋に一旦移動して、本格的に色々試したんだよ。
すると、
取り込む際に先の様に耐ショックシールドを物に掛けて置くと、時を止めて状態を維持する『時空間庫』に於いてはその耐ショックシールドを保持した状態で収納出来る事が判明したんだよね。
これには俺も本当に驚いたけど同時に凄くショックだったよ。
せめて12時間ぐらい先に知りたかったってね。
そこで、90%の宝物を回収済みだったけど、残りは耐ショックシールドを掛けて床にゲートを発動して直接『時空間庫』にドサッと放り込んだのだった。
他の武器庫もその他の備蓄倉庫も同じ。ドサドサ『時空間庫』に保管して廻ったよ。
大事な物が大方回収し終わって、いよいよ実質的な『お仕置き』タイムとなるのだが、何も現状を理解して無い
そう、如何にバカにでも判る様に所業の全てを後悔させるか?が重要なのだ。
当初は怒りに任せて皇城を瓦礫に変えてやろうと思って居たのだが、そうすると、例え人の少ない夜中であったとしても、最低限のスタッフは城内に居るのでそう言う一般スタッフが巻き添いになってしまうのだ。
そうすると、先日の王都の無差別テロの犠牲になったあの親子や他の王都民達と変わりがなくなってしまうと思ってしまったのだ。
だからこそ、直接関係無い只の従業員である皇城に勤務して居る者達までの巻き添いは出来れば避けたいと・・・。
しかし、正体を隠し、誰の所業とも自然現象とも判断つかない現状を維持した方が、俺や俺の周囲に飛んで来る火の粉が少ないとも考えられるし、正直お仕置きの方法で俺の心は揺れ動いていたのだった。
とは言え、何もしないままで放置してると今回の趣旨に反するので、死傷者の一番影響が少なくて、更に一番目立つ嫌がらせを先にして置いてリソースを消費してやろうと思い、皇城をグルリと取り囲んで外部からの侵入や攻撃を阻んでいる無駄に立派な城壁と、既に俺が中身を全部回収した金庫蔵や宝物蔵、武器庫、備蓄庫、食料庫一緒にを何時もの如く脆い素材に変質させてやった。
皇都の城壁も脆くなっているが、皇城の城壁の方がもっとヤバイかも知れない。
既に無数の亀裂が傍目で見てもハッキリ判る程である。
きっと、直ぐに皇都民の誰かが発見して噂になるだろうな。と誰か早く発見しろー!と心の中で叫ぶのであった。
まあ、取りあえず皇都と皇城への破壊工作はこれ位だろうか。
しかし、本当に不思議なのは、俺が皇都や皇城でこれだけ派手に魔力を使って破壊工作に勤しんで居ると言うのに、この国の魔法使いや、魔法隊?等の魔法担当の奴らが誰も気付かないと言う事だ。
マジで気付いて無いのか碌な人材が居ないのか?
後は、結婚披露パーティー後にジックリやらせて貰おう・・・。
最後に最前線のちょび髭オヤジ達の惨状を確認しつつ、更に泥濘っと地盤を沈下させて置こう。そろそろ、食料の補給が届く頃だろうし、状況確認して場合によっては再度没収して置こう。
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