第122話 ジェシカの晴れ舞台 その1
欲しい物が手に入った後、市場を冷やかしで廻っていたがそれなりに面白い物等を見つけては値段交渉したりして気ままに過ごしたが一つは武器屋や鍛冶職人が直販で出店している所を探していたりするのだ。
お前、剣と使わないじゃん!?剣も武器も必要ないだろ?って言わないでくれよ!
俺だって本当はカッコ良い良い剣とか使いたいんだからさ。
だが、俺の使い方に耐えられる剣が無いのが駄目なんだよ!
俺が悪いんじゃなくて俺の戦い方に合う剣が無いのが悪いんだよ!
がから、出来合の大量生産品の安いのを何本かストックして使い捨てる感じにしてるけど・・・。
だからって訳じゃないけど、ミスリルの剣を作れそうな鍛冶師の情報とか、ミスリルの加工に関する情報とかも仕入れられないかなと言う思惑があったりするのだ。
もしかすると、その情報がヒントになって、俺自身の手でミスリルの指輪が作れるかも知れないし。
だが結局、夕方近くまでそんなミスリル関連の情報も鍛冶屋も見つからず徒労に終わってしまったのだった。
ただ、明後日にジェシカ第一王女殿下の『魔法のお披露目式』が執り行われると言う立ち話に花を咲かせるおばちゃん達の会話が帰り間際に聞こえて来たのだった。
ほほう!明後日か、まあ強引な押し掛け弟子ではあったが、才能ある弟子の晴れ舞台は師匠として影ながら見てやらないと駄目だよな。と心の中で明後日見に来る事を決めたのであった。
自宅に戻ってアリーシアの居ない所でコッソリ師匠に入手した事を報告し、ダンジョン産で『サイズ自動調節』が付与されている事を告げて一緒に解明しようと提案するのであった。
だが、師匠は「私ゃぁそう言う細かい解析とかって性格に合わないんだよ! お前さんがおやり! 何か判ったら概要をザッと教えてくれれば良いからね。」と塩対応の返答が帰ってきたのであった。
いや、俺もこう言う解析とかって細かいの厭なんだけど・・・。と心の中で呟くのであった。
あわよくば少し?大半を手伝って貰おうと思っていたのだが、思いっきり当てが外れてしまった・・・。
結局、俺の心の中までお見通しって事か?
◇◇◇◇
ジェシカ第一王女殿下の『魔法のお披露目式』当日である。
他力本願を許してくくれない師匠の誘導にまんまと乗って結局細かい神業の様な付与の魔方陣を解析して物にした。
よく昨日1日で解析出来た物だと自分を褒めたい所だ。
さて、11時からジェシカ第一王女殿下の『魔法のお披露目式』が始まるらしいので、そろそろ王都に移動しなければならない。
アリーシアに今日の話をしたら、一緒に見に行きたいとの事だったので、今日は2人で王都デートである。
前の秘密の花園ピクニック以来2人でお出かけはしていないので丁度良い。
やはり結婚しようが結婚前だろうが、何時までもこうして2人で仲良く出かける様な仲で居続けたい物だ。
「そろそろ行くよ、アリーシア!」と声を掛けると真っ白なワンピースに薄い黄色の上着を羽織ったアリーシアが零れそうな笑顔で俺の方へとやって来た。
「き、っ・・今日もか、可愛い格好だね! に似合ってるよ。」頑張って気の効いた台詞を言おうとしたら思いっきり噛んでしまった・・・超ぉ~恥ずかしい。
「ありがとうございます。トージさんと久しぶりの王都なので、頑張ってみました!」とアリーシアも頬を染めている。
いかん、この調子だとここ時間潰してしまいそうだと気付いて慌てて王都の自宅へとゲートを繋いだのであった。
王都の自宅から、手を繋いで街へ出て、会場である騎士団の訓練場へと向かう。
出店や屋台が建ち並び、ワイワイと賑わっている。既に発表されてから短期間なのに王都民達の娯楽イベントになっている様だ。
それに今回このジェシカ第一王女殿下の『魔法のお披露目式』の通知に伴って血筋関係無く庶民でも魔法が使えると言う内容まで同時に流れているので庶民達も興味津々なのである。
もしかすると、自分達も魔法使いになれるかも知れないのだ。子共のころから魔法使いになる事を夢見ていた者もいるだろう。
だが、誰でもちゃんと魔法を学べば習得出来るとなれば、今後の子供らの世代の将来は大きく変わるかも知れないのだ。
まだ開始時間に1時間以上あると言うのに、騎士団の訓練場にはもの凄い数の人々が詰め掛けている。
「トージさん、凄い人の数です!」とアリーシアも驚いて居る様だ。
ただ少し気になるのは冒険者なのだろうか?帯剣したゴツい奴が結構な割合で混じっている事である。
普通に日本人的な考えだと警備的に問題有るんじゃないの?って突っ込みたくなる。
まあしかし異世界的にはあるあるなんだろうか?
もうそろそろ始まる時間である。
中央に楽器を抱えた楽隊が出て来て、なにやら演奏し始め、その音楽が始まると、ガヤガヤしていた会場がシーンと静まり返った。
何の曲だろう? 国歌的な曲なのかな?
と言うか、この世界に来て初めて楽器を見た。 在ったんだな・・・楽器。
その割に流しの演奏とか見かけないなぁ~と思って不思議に思っていた。
そう言えば、酔っ払いって歌を歌っているイメージあるけど、こっちの酔っ払いは歌っている者を見かけた事が無いな。
余り音楽が民間に浸透して無いのかな。
暫く演奏が続いたが、広い訓練場の片隅にちょっとした高台が作られていて、そこに赤い絨毯が敷かれており、椅子が何脚か用意されている。
どうやら国王や王族の観戦エリアって所だろうか?
そこへゾロゾロと陛下や前に見かけた第一王子殿下、何人かの若い王女や王妃様が出て来た。
あれ? 側妃だったっけ?1人足りない様な・・・まあどうでも良いか。
あ、ジェシカも居た。てかこうして見ると、ジェシカは本当に第一王女なんだね。
そしてその壇上から少し離れた所にもう1つ高台が在りそこにも椅子が数十脚置かれていたが、そちらには如何にも魔法使いと言う感じの格好をした一団がぞろぞろやって来て全員が椅子に座ったのであった。
イヨイヨはじまるのだろうか・・・。
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