第119話 着々と結婚準備
新居祝いの焼肉パーティーで四方八方から、ヘタレだの何だのと散々な
とは言え、記念すべき新居での初めての朝である。
「みんな、お早う!新居で寝た感想は?」と照れ隠しも兼ねて無難な話題に振って朝の会話の口火を切ったのであった。
「トージさん、おはようございます! 新居と言うより、昨日決まった今後の事で、嬉しさで胸が一杯になってしまって、なかなか寝付けず気付いたら朝になってました。」とアリーシアに思いっきり話を避けたかった話題に振られてしまったのだった。
だが、俺の小っ恥ずかしさ何てこの際動でも良い。
良く見たら何時も真っ白で綺麗な素肌をしているアリーシアではあるが、睡眠不足の所為か白を通り超して青白い。
「アリーシア、無理して起きて来なくて良いよ! これまでは色々大変だったけど、一段落着いたし、今日一日は部屋で横になって休みなさい! 無理しないでくれ。 朝食は俺が部屋に持って行くから、楽しみにして待ってて。」と言うと「ではお言葉に甘えて・・・。」と言ってフラフラしながら厨房から出て行ったのだった。
大丈夫だろうか?と心配していると、師匠が起きて来ていて、アリーシアに効きそうなポーション?だかを持って来てくれた。
「大丈夫でしょうか?」と心配で師匠に尋ねたら、「ケケケ、まあトージは・・・知らないかも知れないけど、女には毎月そう言う時期が周期的に来るもんさね。 それを飲ませれば、貧血気味なのは収まる筈さ。」とヤンワリと諭してくれた。
つまり、多分そう言う事だろう。この世界でも女性は毎月大変らしい。そうか、まあ大病とかじゃ無ければ良いや。と納得し、全員の朝食を用意した後、アリーシアの分の乾燥アワビの戻し汁を使ったアワビ粥を作ってやって、師匠から貰った薬の小瓶問いっしょに部屋に持って行ったのであった。
俺の持って行ったお粥を嬉しそうに食べて師匠の薬を飲むと目に見えて顔色に血の気が通って楽になった様に見えた。
俺は食べ終わったお粥の器をお盆に載せて下げて寝息が聞こえ始めたベッドのアリーシアを見てからソッとドア閉めたのであった。
幸いにもその日の夜には師匠の薬のお陰で大分楽そうになったアリーシアが夕食に顔を見せてくれた。
やはり、アリーシアの顔をみれられ無い状態だと一味足りなく感じて仕舞うのでホッとした。
そんな俺の様子を鋭く見抜いた子供達から、結局冷やかされてしまって、照れてしまうのであった。
それからの1週間、俺も子供達も全員で結婚披露パーティー用の料理を只管作ってストックしまくった。
何か自分達の結婚パーティーの料理を作るのを俺が陣頭指揮して作るのも何か公私混同っぽくて変な気分だが、全員にお礼を言いつつお願いして居ると、
「トージ兄ちゃん、オイラ達も嬉しいんだよ! 料理作りで恩有るお二人の結婚のパーティーの役に立つんだもん。なぁみんな?」ってマッシュがニカってわらって仲間の子らに同意を求めると、
「そうだよ。トージ兄ちゃん! トージ兄ちゃんとアリーシア姉ちゃんは、ある意味私達の恩人であり親みたいなものだし。精一杯良い結婚パーティーにしなきゃ! ね!?」とリンダが同意していた。
今回の俺とアリーシアの結婚では、一旦神殿で女神マルーシャ様にご報告してから、会場に移動するの予定だが、孤児院の子らも広場のパーティーに招待して居るのだ。
何れ彼ら彼女らも家の一員に入るだろうし・・・え?失敬な!『餌付け』とか言うなよな! 今の内から親交を深めているんだよ!『親交』だからね。『信仰』じゃないからね!!
まあ、信仰で思い出したけど、商人ギルドの2人とも話したんだけど、俺達の結婚パーティーで限定数だけどミノタウロスの焼肉を解禁しようかって話になっているんだよね。
近々に店を開くにしても、食べた事ないと、集客もそれ程の大金を払う程の物かの判断も付かないだろうって話になってね。
まあこの話にあの2人は『待ってました!』とばかりに大喜び。
最終的に店に出す際の料金についてはジックリ2人と検討しないといけないけど、なんか、『焼肉屋』の話が出てから妙に2人がヤル気出しちゃって凄いんだよね。
ビックリするのは、まずは結婚の方の準備や打ち合わせがメインの話題の筈なのに、いつの間にか店舗を抑えて有るし、店の内装についての細かい事を聞いて来るので、俺も日本にあった
『ジュウジュウ園』の様な高級焼肉屋のイメージや、換気扇用のダクトの
尤も、店ではしゃぶしゃぶ・すき焼き等の鍋物もメニューに入れるので焼肉屋オンリーって作りにはしてないので安心して欲しい。
一世一代?人生最大のメインイベントの結婚をそう言う商売の出汁に使って良いのか?って・・・? うーん、アリーシアも商人の娘だし、きっと大丈夫だと思う。 多分。
そんな打ち合わせの合間に、俺はアリーシアに渡す結婚指輪を購入する為にマッシモのアクセサリー屋を徘徊して廻っているんだけど、パッとしないんだよね・・・。
え? まだ用意して無かったのか?って、うん恥ずかしながら、アクセサリー屋って俺には敷居高くってさ、実は先送りにして数ヶ月。
先に買っておく予定だったんだけど、先日の焼肉回で急遽結婚が決まったので間に合わなかったんだよね。
いっその事、自分で作る?とも考えたけど、流石にそれは難しい。
もし俺が自作したら、指輪でなくて、メリケンサックになりそうな予感。
そんな不吉な物を結婚時に渡すと今後夫婦喧嘩の度に血の雨降るからね。
ちゃんとした洒落た指輪を渡そうって思っているんだけど、日本で一般的に売っているようなシンプルな結婚指輪みたいなのって売って無いんだよ。
そもそも結婚指輪って風習がこの世界には無いらしいので、こっちで売ってるのは全部ゴテゴテした大きな石が付いた殴られると殴られた方も殴った方も痛そうな凶器っぽいのしか無いんだよ。
そんなゴテゴテした物とか趣味悪いじゃん? アリーシアの白くて綺麗な指にはそんなの似合わないから!
そんな訳で鍛冶屋や彼方此方廻った結果全滅してシュンとして自宅に帰ったら、早めに帰宅していた師匠に
「トージよ、どうしたんじゃ? マリッジブルーって奴かの?」とシュンとしている理由を聞かれた。
「いや、マリッジブルーじゃないですよ! 只ね・・・」と理由を話し始めてキョロキョロと周囲を見回してアリーシアが不在なのを確認してから、「サプライズにしたいからここだけの話ですよ!」と念を押してから理由を説明したのであった。
「なーんじゃ、そんな事じゃったか。 お主なら簡単じゃろ? 王都で購入して来れば良いのじゃよ。王都にはもの凄い数のアクセサリー屋・・・宝石屋もあるのじゃから、3日ぐらい探せば良い物が見つかるじゃろう?」とアドバイスしてくれた。
「おお!王都か! 流石は師匠! 余りに碌な思い出無いので王都が嫌い過ぎて、すっかり存在を忘れてましたよ!」と目から鱗が落ちる様に希望に満ちた感じに復活する俺。
「ところで師匠、俺買った事無いので良く知らないんですが、指輪ってサイズとかってその人を連れて行かないと駄目ですよね? それともサイズの規格があったりするんでしょうか?その規格サイズを指定する感じでしょうかね?」と日本では指輪の号数指定だったのを思い出して聴いてみた。
「ああ、本人に合わせて作ったり、サイズ合わせをするのが普通じゃな。 規格なんぞ有るかい! 適当な職人の感覚で作ってそれをサイズ調節とかが一般的じゃぞ。」とこの世界の常識を教えてくれたのであった。
「はぁ~そうかぁ~、王都って鬼門なんだよなぁ。大事の前にアリーシアを王都に連れて行くのもなぁ・・・。」とボヤく俺。
「ケケケ。まだ、前の事を引き摺って居るのかの? 意外に執念深いの? まあそうそう何度もトラブルに巻き込まれたりせんじゃろ? マッシモに雪が降る確率の方が高そうじゃぞ?」と師匠から笑われたのであった。
ここ数十年マッシモに雪が降った事が無いのを知っている
まあそれもそうか。そう何度も祟られたかの様にトラブルには巻き込まれたりしないよな・・・と、予め王都で指輪を探して決めた後、最終的にアリーシアを王都に連れて行ってサイズ直しをする事に決めたのであった。
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