第118話 祝!新居完成
ジェシカ達を見送ってから、約週間が過ぎた頃、漸く待ちに待った俺達の新しい家が完成した。
ジェシカ邸程では無いが、以前に隣の敷地を併合したお陰で我が家の敷地自体はこの地域としては驚く程に大きい。
以前の建物に比べ建て面積だと敷地の空きスペースギリまで使ったので1.5倍位だろうか?
そして何故か必要以上に部屋数が多い。
その分、少し庭に相当する部分は狭くなって居るけど、そこはドンマイだろう。
これは多分俺がアリーシアに告白する前の変な方向に妄想を膨らませたハーレムの末席云々の名残だろうか? それともまさか、子供部屋?
ある意味、ジェシカが王都に呼ばれ不在のタイミングで家が完成したのは幸運だったかも知れない。
だってどう考えても、あのジェシカだし、余った部屋を見ると自分の部屋を欲しがるだろうし。ややこしい絵柄しか浮かんで来ないじゃん?
そうすると、職務上ラフティの部屋も必要になってしまうし、実に無駄で面倒な話である。
まあ、俺、アリーシア、ソフィアしして師匠には十分過ぎる広さである。さらに子供らと使う事の多い厨房や、ダイニング等、今後人材が増えても大丈夫な様にかなり広い。
まあ実際子供らは隣の2棟の宿舎に個別部屋があるので、特にこっちで過ごす必要が無いのだが、何だかんだで子供らはこっちで過ごす時間が多い。
そしてあと半年もすれば、孤児院を来年卒園する子供らが家に入って来る予定だし、広くても全然寂しくは無さそうだ。
そして、今回の家の俺的なメインイベントは、何と言っても男湯である。
いままで女性優先で先に入って貰うのはまあ良いんだが女性特有の長風呂で待ってる間に眠くなる事もしばしば・・・。
それが地味にストレスだったんだが、今度は男湯完備である。
クリス達男の子も何だかんだで大きなおっちのお風呂に入りに来ていたので、以前は俺と一緒にポケーッと待っていたりしたんだが、今度からは湯上がりにクリス達とリバーシでもやるかな。
将棋も試作で作ってあるんだけど、ほら将棋って基本漢字で書かれているじゃん? あれを同説明するかで悩んでさ。 試作したまま『時空間庫』に放り混んであるんだよね。
桂馬とかは、馬の絵でも良いけど、金や銀、飛車角、歩や槍は槍の絵で良いとしてもじゃあ剣は無いの?って突っ込まれそうだしどう言い訳しようかと。
こっちの文字って漢字とかに相当する物はないから、象形文字じゃないけど、駒に絵を刻むのも面倒だし。
そんな訳で将棋は保留のまま。
まあリバーシは異世界物の定番だから一応作ってはあるけど、何か小っ恥ずかしくて「これが、『私』の考えた新製品です!」とは言えなくて公表せずに『時空間庫』の肥やしになってるのが実情です。
俺としては、双六とかあの日本はボードゲームの代名詞である人の一生をシミュレート出来るボードゲームを作りたいんだよね。
あれの駒って車だけど、こっちの世界だと竜車って事になるのか。結婚して女性のピンを隣に刺して・・・そして子共のピンをドンドン後ろに刺して行くと言う凄いゲームだ。
ただ慶事ばかりで無くて、失業により1回休みや事故に遭って・・・とか、色々人生の酸いも辛いも入ってるんだよね。
こっちの世界だと、『交通事故』じゃなくて『スタンピード』とか、依頼の失敗で罰金とか、リアルにありそうな世知辛い内容になりそうだから、オマージュして作るのを躊躇してるんだよね。
多分作って最初に遊んで見るのが孤児院の子共になりそうだし、そうすると内容的に割とシャレになってないからね。
だって、冒険者だった親が魔物に
誰しもが生まれながらに笑って暮らせる、そんな優しい世界ではないのだ。
そんな人の命の軽い世界でイベントカードだっけ?現実にありそうな内容を書くと、書いてて悲しい気持ちになってしまうし、遊んでいる子達も色々再認識してしまって、楽しむどころか悲しくなるだろ?
そうそう、最初に紹介し忘れたが、今回新規に作ったのは男風呂だけでは無い。
地下ではあるが、俺の錬金術や魔動具を作る工房も作って貰えたのだ!
何気にこれは気分が上がる。
この工房で最初にリリースする物はミンサーの予定である。
そろそろ本腰を入れて、件の焼肉・しゃぶしゃぶ・すき焼きの店を出す計画を実行にうつそうかと思ってね。
その3種類の中に安価なハンバーグが増えても良いかなって思ってね。
ほら、もう直ぐ第三期生の子供らも入ってくるじゃん。
新しい店を増やしても大丈夫になりそうだし、そうなると、店を増やして将来的に入ってくれる子達の職場を増やして置くのも良いかなってね。
そう言えば、焼肉で思い出したけど、ジェシカ達に焼肉食べさせてあげるの忘れてたな・・・。
まあ、次に帰って来た時には忘れずに食わせてやろう。
まあこんな話題が出たので、スッカリ胃が焼肉モードに入ってしまった。
しょうがない。新築祝いの宴会は焼肉にしよう。
久々だし、商人ギルドの2人にラルゴさん、そして泣いて喜びそうなゲンダさんも呼んでパーッとミノタウロスの肉を堪能するか!
■■■
新居祝いの焼肉パーティーを盛大にやった結果、前回呼ばれて無かった事に気付いたラルゴさんが大人気なく拗ねた。
「いや、あの時はバタバタしてて、スッカリ忘れてただけで悪意はないので。」と只管謝って次の回には必ず呼ぶ事を約束させられてしまったのであった。
やはり久々に食べる焼肉は堪らん。
炭火に落ちる肉汁と漬け込んだタレの焦げる匂いが凶悪である。
こうして、美味しい白米のご飯と正確に再現されたジュウジュウ園の『焼き肉のタレ』そして、A5ランクの和牛を越える口の中で噛まずに自然崩壊するかの様に柔らかいミノタウロスの肉。
これらが揃ったこの世界。これだけで転生出来て良かったと思える。
あ!!いや、それだけじゃないな。アリーシアと言う綺麗で優しい才女に巡り会って、俺と一緒に居てくれると言うのが一番大きいかな。
日本に対する未練? 物質的な物やテクノロジー的な物での未練は0ではないけど、それを上回る物も者もここには出来た。
新居祝いの焼肉パーティーのついでと言うと聞こえが悪いが、俺とアリーシアの婚約?結婚予定?を発表したんだが、逆に全員から、「お前今更何言ってるの?」って言う冷たい視線がザクザク刺さってしまった。
特にゲンダさんからの叱責は酷かった。
「トージ!お前今更かよ? 当然もう夫婦だと俺は思ってたぞ? 待たせ過ぎだよ、このヘタレ野郎!」って感じだよ。
「いや、確かにヘタレなのは認めるけど、ちょっと言い方!!」と俺が抗議したのだが、何故かルミーナ嬢からも「待たせ過ぎです、トージ様! もうこうなったら、ここで日取りを決めるべきです!トージ様に任せて居ると、このまま5年ぐらい放置されちゃいますから!」とガンガンに詰められてしまった。
「も、申し訳無い・・・」と何故か頭を下げてルミーナ嬢とアリーシアに謝りつつ結婚の披露パーティーの日付を決めたのであった。
流石に商人ギルドの信者2人がここに居合わせるので話は早く、ソリア達の時と同じに広場の使用許可を領主様に申請する事になったのだった。
そんな詰められてワタワタしている俺を見て、師匠は毒リンゴでも作っていそうな「ヒッヒッヒ♪」と言う笑い声を上げていたのだった。
特に大喜びして張り切っていたのは子供達で、ソリア達の時以上の料理を作るんだ!と意気込んでいた。
まあ、ソフィアは少し寂しそうな笑顔を作って居たが、その内ソフィアにも良い相手が出来るだろう・・・。
そもそもだが、何と言われても、ソフィアは妹みたいな存在であってそう言う恋愛対象にはならないのだ。
そんな訳で、思わぬ所から、とんとん拍子に決まったが、こう言う事に対する初動の鈍い俺としてはこれで丁度良かったのかも知れないな。
チラリとアリーシアの方に目をやると、本当に嬉しそうに微笑み涙で頬を濡らしていた・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます