第116話 初めての魔物討伐
全員が身体強化と魔装を使える様になって、6日が経った。
俺はその間も連日毎日ダンジョンに潜り続けて既に58階層にまで到達している。
とサラッと流す様に言ったけど、第53階層以降の1階層毎に多大な苦労とそれなりの創意工夫の末にクリアしていたりするんだよね。
第53階層でも思った事だが、実質的に徐々に階層が広くなっていっている様な、只単に難易度や魔物の厄介さがが上がっている所為で時間が掛かるから余計にそう感じるのかは不明だけど、
ゲームの様に死の戻りや残機が有るわけじゃ無いので、慎重に且つロスタイムを減らして効率良く制覇して行ってる方だと思う。
そうそう、ヤバイ魔物と言えば、ガーゴイルって言う不思議生物?魔物?が第56階層に出たんだよ!
全身が石で出来て居るのに普通の魔物の様にしなやかに動いて極めつけは空を飛ぶんだぜ? 石なのに。
驚かない? 俺ビックリだったんだけど!
で
そんなん判る訳も無く、何となく厭な予感して、必死でブレスを躱してたんだけど10匹に囲まれてしまって、石化ブレスの直撃を受けてしまったんだよね。
でも安心して!!魔装が『石化』を防いでくれたから!
何で石化だと判ったかと言うと、俺が躱したブレスが当たった所が石に変わってたからなんだけど・・・。
石化した後、魔法の回復や浄化で元に戻せるのかは試す被験者いないので不明。
推測の域ではあるけど、石化って細胞単位が別の『物質』に置き換わって仕舞ってるだろうから、部位欠損を修復する以上に大変何じゃ無いかと推測。
そもそも石って生物ですらないからね。
回復って基本生物の細胞やDNAの情報ベースに元に戻す物だから、生物でなくなった物はどうかなぁ~?
おっと、話をみんなの身体強化と魔装の訓練と本日の『魔物狩り』に戻すけど、あれから連日全員で訓練して魔装で攻撃を受けたり魔装でダメージを受けた際の魔力負荷の増減に対応等の実戦的な訓練を行っていた。
まあ攻撃魔法に関してはある程度ではあるが、恐らく現時点でここに居る我が家のメンバー(アリーシアとソフィア)そして子供達、更にジェシカ第一王女殿下とラフティの16名が王国一の魔法の使い手と言っても過言ではないだろう。
あ!そうそう、忘れて居る訳では無いが、豆腐屋をやってくれているケイト、サニー、ジョリーンの3名は魔法の訓練自体を辞退して居るのでこのメンバーに入って居無かったりする。
ここら辺の心境は今一つ俺も把握してないのだが、後発で入って来た彼女ら3名は只でさえ、子供達からすると、何年も先輩な訳で、(先輩なのに)出遅れた分を取り戻して頑張って魔法を覚える気が湧かなかった様である。
まあ、何を学ぶかは本人の自由なので俺は深追いはしていない。
だからと言って差別したり除け者にしたりはしないから、暢気に休みの日を過ごすと言う事でOKした。
まあ、冒険者としては鳴かず飛ばずで危険な目にも遭って来た彼女らにしてみれば、今更危険な魔物と対峙するのをキャッキャと喜んでいる者達の気が知れないのかもしれない。
そんなこんなで、漸く定休日と言うか休みの日となった本日、朝からテンションの高い子供らに叩き起こされ、何時もよりも早い時間に全員で朝食を取った後、お留守番ぐむの3名(ケイト、サニー、ジョリーン)に見送られ、ジェシカの方で用意した竜車sに乗ってマッシモの城門から外に出たのであった。
相変わらず竜車に慣れない俺は朝食を胃袋の中でシェイクされて、気持ちが悪かったりする。
そう言えば最近滅多に竜車に乗らないからスッカリ忘れていたけど、この竜車のサスペンションを改良したいと思ってたんだったな・・・と今更の様に思いだしたのだった。
今日ターゲットにする魔物はみんな大嫌いなゴブリンや、ホーン・ラビット、ビッグ・ボアといったメジャー処且つ肉になる奴。
え? ゴブリンは食べないだろうって? うん、食べないけど、人型で一番遭遇し易い『1匹見たら20匹居ると思え』って言われてるヤバイ奴だから、特に女性も多いので、もしもの際にも冷静に対処出来る様に慣れて貰うのが狙いである。
俺は全く平気だったけど、人型の魔物を
俺は日本時代のゲームで慣れてるのもあるけど、この世界に転生した際の影響なのかそこら辺の精神的な耐性がついてて、全然平気!
そう、虫意外は大丈夫。
精神的な耐性あるなら虫も平気だろう!って? バカ言っちゃ駄目だって、キショいのが駄目ってのは正常だよ!!
さてと、丁度良い森の近くの平原に到着した様だ。
おれは御者に声を掛けて竜車を停車させて貰った。
「さあ、イキナリ森の中は危険だから、ここらでホーン・ラビット辺りで練習してそれから森の方に移動だな。」と全員に声を掛けて竜車を降りる。
意が気持ち悪かったので回復魔法を掛けて、胃のモヤモヤを吹き飛ばした。
全員が地面に降りて、俺の言葉に従って、魔装と軽い身体強化を発動する。
うん、全員良い感じに魔装を使い熟しているな。
既に昨日までの打ち合わせで、魔物別でどんな魔法で仕留めるかをレクチャー済みである。
兎に角森の中で火魔法は避けろと厳命してある。
山火事にでもなったら、最悪自分や仲間も道連れにして仕舞うからだ。
まだ魔弾は使い熟せてないが、大体土魔法のストーン・バレットやウォーター・カッターは戦力として十分な程に使えているので大丈夫であろう。
この辺りには俺の事前調査通りにかなりの数のホーン・ラビットが生息しているので各人が3匹ずつ狩っても余るぐらいにチョロチョロしている。
フレンドリー・ファイヤーを避ける意味で、順番にメインのハンターを入れ替える様なルールとした。
まずは子供達が順番にホーン・ラビットに対峙して、無難にストーン・バレットで無難にヘッド・ショットをキメていた。
自分に角を向けて凄い勢いで突っ込んで来る相手に対し、ビビる訳で無く非常に冷静に対処して居る。
流石になかなり前から魔法を使えただけの事はある。
恐らくこの日までに色々な研鑽を積んできたのであろう。
それくらいの熟練度であった。そんな子供達に比べると、他は・・・かなり出遅れていると言わざるを得ない。
アリーシアはかなり良かったが、角を向けられて急速に向かって来るホーン・ラビットに恐怖し、慌ててストーン・バレットを発射して狙いを外してしまっていた。
尤も、俺が手助けをするまでも無く即座に2発目を発射し見事に頭を撃ち抜いていた。
ソフィアは狙いが甘く、胴体に着弾してしまい酷い状態の肉になってしまっていた。
そして、漸く今回の魔物狩りの発起人ジェシカの番である。
やはりジェシカは魔法の才能があると思うし、センスも良い。ウォーター・カッターで首を刎ねて、「これで血抜きをすれば美味しく頂けるのですよね?」と首の無いホーン・ラビットの足を持ち上げて微笑んでいた。
いや、美人さんなのは間違い無いのだが、絵面的に非常にホラーな物を感じる・・・。
そそて、ジェシカの才能に負けないラフティの番だ。
彼女の場合、魔法で倒すとか抜きでナイフを投げて仕留める事が出来るだけの腕の持ち主であるので、アイス・アローの様なナイフっぽいのを器用に投げナイフの要領で投げてサクっと殺(ヤ)っていた。
流石は本職である。
これで全員が一巡し、血抜きの終わった
もうこの調子なら俺のアドバイスは不要だろう。
1時間程ホーン・ラビットを狩って動く標的への攻撃に慣れた後、いよいよ森の中へと進む事にしたのであった。
幾らホーン・ラビット相手に無双出来たとは言え、今度の相手は森の中域辺りに巣くっているゴブリンがターゲットである。
通常、子供らも女性も出会ったら一目散に逃げるべき相手なのだ。
そんなゴブリンを見て怯えるどころか、ニヤッと微笑んで首をウォーター・カッターで刎ねたり、ストーン・バレットで頭を撃ち抜いたりと、全員危なげ無く熟している。
俺の『人型相手に・・・~』って言う配慮や懸念は全く不要だった様だ。
特に女性陣(子共らの女の子も含む)のゴブリンへの魔法攻撃は容赦がなかった。
オーバーキルも良いところだ。
これには俺もちょっとビックリ。
グギャ♪と泣く間すら与えられずにサクサクと
本当にこの世界のゴブリンに生まれなくて良かった。
しかし、この辺り本当にゴブリンが多いな・・・もしかして近辺にゴブリンの集落でも出来てるのだろうか?
しかし、派手にゴブリンを狩った事でその血の臭いにおびき寄せられたフォレスト・ウルフが7匹やって来てグルル♪と唸りを上げて取り囲まれた野田が、俺が事前に教えていた様に全員背中を遭わせて同士討ちの無い円形となって、フォレスト・ウルフを相手に危なげ無い戦いをしていたのには驚いたと言うか、感心した。
もうちょっと取り乱したりビビるかと思ったのだが、全員が全員を信じ合って背中を預け合っていた。
■■■
さあ、十分以上に魔物を狩って全員がある程度以上に戦える事が確認出来た。
各自自分なりの、問題点や課題を見つけた様でまた研鑽を積むのであろう。
そろそろ、昼飯時である。森の外の平原に戻って来て、アリーシアの指示で子供らが土魔法でテーブルや椅子等を作って、その上にテーブルクロスを敷いてアリーシアが作って来たお弁当を広げた。
先日の秘密の花園の様な綺麗な景色は無いのだが、フィールドアスレチックに遊びに来た親子連れって感じだろうか?
全員、足腰と魔力を使って、お腹の減って居た様で頂きますをした後、何時も以上に良い勢いで食べていた。
若干休日の過ごし方としては殺伐としているが、文字通り『見てるだけ』だった俺もそれなりに楽しかったし、師匠として弟子の成長っぷりが判って嬉しかった。
昼食後、ビック・ボアを見つけて全員で3匹やっつけてキッチリ血抜きをしてから竜車と合流してマッシモに戻ったのであった。
その日の夕食では興奮した様で今日の出来映えを自己評価したり他の者が指摘したりしていて非常に楽し気であった。
ある意味非常に真面目な子達である。
また『魔物狩り』の機会を設けよう・・・と心の中で思うのであった。
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