第112話 第52階層の長い1日 2日目 正しい階段の見つけ方
結局毎日夕食後に身体強化と魔装の訓練を見てやる事になり、それにジェシカ達も参加する事になったのだが、「だったら、夕食もご一緒したいですわ!」と言われて、アリーシアの方を確認すると静かに目線で頷いていたので了承した。
何でアリーシアに判断を仰ぐのかって?
だって、ご飯作ってるのが殆どアリーシアだからだよ? 別に尻に敷かれている訳じゃないよ!
そんな訳で今日の夕食からジェシカ達も一緒となる。
では、今日までの食事はどうしていたのか?と思うだろうけど、元々この屋敷には専属の料理人が居たので、立場上彼らの作った物を食べなきゃ彼ら料理人の立場が無い。
そんな訳で、夕食は我が家陣営と別で取っていたのだ。
俺の自宅で食べて行く際にはみんな一緒だったけど、メイドや料理人も含め屋敷のスタッフが見ている所で第一王女殿下が何処の馬の骨とも判らない庶民に混じってご飯を食べると言うのは非常に拙いのだ。
王族と言う事で体面や品位を保たねばならない立場故に色入大変らしい。
まあそんな訳で内に入り浸って好き勝手自由を謳歌して居た訳だ。
まあ生まれもってのド庶民の俺らには判らない気苦労等があるのだろう。
いやぁ~、本当に生まれも育ちも庶民で良かったよ。お陰で自由に生きて行けるし。
■■■
さて、第52階層2日目である。
一応、昨日はハチミツをタンマリと頂いて、遣り切った感じで帰宅しちゃったけど、まだ何処を目指せば良いのかも判らない状況なんだよね。
上空から偵察しても見通しが悪くてそれっぽい物すら見えないからね。
そんな感じなので、この階層をクリアするのに、かなり時間が掛かりそうな厭な予感がしている。
これでレベル上げでも出来るのならこの不毛な階層でも多少はモチベーションが維持出来るのだがな・・・。
昨日の蜂の巣の所にゲートで出て、ダメ元で再度上空に上がって偵察してみた。
何か少しでも異物を見つけられればヒントになるかも知れない。
視身体強化で目を更に強化して、視力をグンと上げて間違い探しクイズの様に他と違う部分を必死に探す。
ここでこうして見ていても判らない。
俺はふと思い付いた事があり、一旦他の階層へとゲートで移動し、上空に上がって階層の魔力の流れをジックリと観察した。
「やはり、そうか!?」とニヤリと微笑み、更に他でもそうなのかを確かめる為にこれまでにクリアしている階層を5階層ぐらい検証してみた。
どうやら俺の仮説は間違って無かった様でどの階層で同様の魔力の流れが起きて居た。
ダンジョンは時間と共に深くなって行くと言われている。
だが、良く考えて見て欲しい。
どうやって何処の階層が増えて行くのかを!
最初にあった第1階層がドンドンと深くに潜って行くとして、自分より深い層を新規で作って、全く自分と同じ階層をコピーし、更に深い層をモデファイするだろうか?
いや、自分の層自体を深い位置い移動するより、自分の上に1階層作れば、自分自身(層)はそのままで新規の上の層を弄れば合理的なのだ。
今まで第1階層からドンドンと潜って来た訳だが、俺の様にゲートで一瞬で移動出来ないと気付かない階層毎の魔力異変に気付かないのだ。
簡単に言えば、気圧と同じだ。車で急激に山頂に登ると負圧で耳の鼓膜が痛くなったりするだろう? だが、何日も掛けて、ユックリと登った場合、徐々に気圧が変わるので気圧の変化に気付かないのだ。
第1階層と第50階層では、階層内に漂う魔力・・・ここでは判り易く魔力濃度や魔圧と呼ぼうか。
それが違うのだ。
で、上の階層の方が魔力が薄く、下に行けば行く程魔力が濃い。
だから、濃い方から薄い方へ魔力が流れるのである。
だから、魔力の流れを感知すれば、階段の位置が判ると言う算段だ。
ただ、この魔力の流れは穏やかな物なので、余程注意深く関知しないと判り難いのだ。下層の階段から、上層の階段に向かって濃い魔力が薄い方へ流れて居る。
これを5つの階層を廻ってチェックしたと言う事である。
俺もなかなか賢いな。
第52階層へと戻り、再度上空で魔力の流れを目を瞑って感じ取る・・・。あ、在った!! あれだ!
見つけた魔力の流れの元の場所へ向かってウィングスーツで滑空を開始すると、地面にポッカリ空いた、斜めに潜って行く洞窟を発見した。
これか!通りで見つからない筈だ。
表に出てる物が殆ど何もない洞窟。
森林の木々に隠されて全く目立たない。見つかる訳がないのだ。
しかしこれからは階段を必死になって探す必要も不安に思う子必要も無い。。もう階段を見つけるコツが判ったのだから。
これはかなり画期的な方法だと思う。
必要なのは魔力の微細な流れを読む力だけだ。
下層への階段の入り口を下って、階段を降りて行き、第53階層を確認し、帰りにちょっとミノタウロスの階層でミノタウロスを乱獲して早めに上がる事にしたのであった。
早めに戻って、少しアリーシアと話す時間を作ろうかと思ってね・・・。
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