第104話 寒いにも程がある

ジェシカ邸へ引っ越しした翌日から俺はダンジョンアタックを再開し、暫くのほほんとした生活で鈍った身体と闘争本能をまずは第4階層のオーク達でウォーミングアップして、更に第37階層に寄ってミノタウロス狩りで呼び起こして換算覚醒させて置く。


美味しいお肉は幾ら有っても困る事は無いからな。引っ越しで一時とは言え世話になるのでジェシカ達にも食わせてやろうかと思って居る訳だ。


ちなみにジェシカ邸には男女合わせて20名程のスタッフが居るので俺達17名を加えるとかなりの人数となる。

一度どれ位の人数でミノタウロスの肉をどれ位消費出来る物かを試すには良い機会じゃないかと思ってね。


まあ肉としては前回冒険者ギルドに依頼した分もあるのでかなりのストックはあるのだが、戦闘勘を取り戻す相手には丁度良いのでミノタウロスをチョイスした感じである。


やっぱり美味しい肉相手だと気合いが入るからね。それも加味すると一石二鳥どころじゃないからね。


多分、俺の解体依頼を心待ちにして居る奴らも居そうだし。


ほら、一応肉の入手困難さを理解して言って来ないけど、そろそろ商人ギルドの2人が何か言って来そうな頃合いだもんね。


何だかんだ無理な理由を言ってはいるけど、俺自身は、ミート・スライサーとか作ったりして着々と準備しているんだよね。


焼肉と白米の相性は抜群だからね。


焼肉よしゃぶしゃぶはきっと流行ると思うんだよね・・・。



ミノタウロス相手に勘を取り戻した俺は、第50階層までゲートで移動して、次の第51階層へと足を踏み入れた。


階段の通路の出口から顔をヒョイと出して周囲を確認した俺は思わず顔を顰めて「また寒いのかよ!?」と思いっきり愚痴ったのだった。


どうやら、この階層は氷の世界である。床は凍土とかでなくて、紛れもない氷。


試しに床と言うか、地面を魔法で火炎系の魔法で溶かしてみたが、水になった傍から再度凍って行く。


そのスピードが半端ない。


一応、魔装マシマシに風のシールド厳重に張って内部の温度調節はしてるので良いが、きっとバナナで釘が打てるぐらいの温度は軽く超えて居るんじゃないかと思う。


こんな所で凍傷にでもなったらシャレにならない。

試しに水で濡らしたた手拭いを振り回してみたら、物の見事に瞬時に凍り付いた。


水魔法のウォーターボールを放ってみると、撃った直後に凍った。


まさか水魔法で放った物も勝手に凍るとは驚きである。


ちなみに俺は暑いのも寒いのも嫌いである。


感覚的に前世で知る寒さのレベルとは桁が違いそうな感じである。


スキーも行った事はあるが、寒いより温かい温泉の方が断然良い!




まあ、南極や北極に行った事は無いけどこんな感じだろうか?


顔や手は良いが、ブーツを履いている足の裏がやや冷たい気がする。足の裏の魔装を厚くして、温度が伝わらない様に遮断した。


途端に足の裏の刺すような冷たさが無くなってホッと溜息を吐く。


この階層はウカウカしてると直ぐに凍死しそうである。


兎に角階段のありそうな方向を見つけないと話にならないので、ゲート上空に出てフォースフィールドを足下に展開し、上空から偵察する。



全体的に氷の上に細かい氷屑がジャリジャリと積もっているので、全体的に真っ白い景色なので判り難いが、階段の出口から右に45度の方向にちょとした山っぽい物が見えた。


恐らく目指す下層への階段はあそこだろう。

地上(氷の上)に戻って山の方向を目指して歩き始めたのであった。


この階層の魔物は真っ白な毛皮を纏った熊(ホワイト・キラー・ベアー)とホワイト・ギャング・ウルフの様で、厄介なのは後者の集団で連携して襲って来るホワイト・ギャング・ウルフの群である。

熊も狼も真っ白な毛皮の為に保護色でちょっと視線を外すと、背景の白い氷に溶け込んでしまって、見落とし易いのだ。

奴らは牙や爪による攻撃だけで無く、氷魔法のアイス・アローを飛ばしてきたり、ハウリングの様な三半規管に異常を来す音波を放って来るので音波の所為でクラっとして対応が遅れると次々にたたみ掛けて来るので油断禁物である。


突っ込んで来るホワイト・ギャング・ウルフの目の前に無属性の無色透明のブロック、そうフォース・ブロックとでも呼ぼうか。これを置いて思いっきり正面衝突させて、急所である鼻先を許田させて、鼻血を出させてやると、目に見えて呼吸し難い為か、俊敏さに陰り画見える。


此奴の毛皮は高く売れそうなので丁寧にトドメを刺す必要がある。魔弾によるヘッドショットや高周波ブレイドで首うぃ刎ねて廻って、血抜きを住ませると、血で汚れた毛皮にウォッシュ&浄化

を掛けて綺麗にしてから回収して廻った。


そんな全滅したホワイト・ギャング・ウルフの群の血の臭いに誘われたのか、4mぐらいありそうな真っ白い熊が俺の所に駆けよって来て凶悪な長い手の爪で攻撃を仕掛けて来る。


素早さだけで言うならホワイト・ギャング・ウルフの方が厄介で、集団戦にたけていた。


此奴もホワイト・ギャング・ウルフ同様に毛皮要員なので、サクっと高周波ブレイドで首を素早く刎ねて、血抜きを行った。


魔物の血でもここの気温では、死後直ぐに凍る様で10分以内に血抜きしないと、凍って出て来なくなってしまう様だ。


魔物相手が終わって再び山に向かって歩き始めると、足下の薄い氷がピシッと割れて、薄い氷の下に隠されていたクレバス落ちそうになって慌てて、フォースフィールドを足下に張って奈落の底に落ちるのを防止したのだった。


この手の天然?のトラップが多く、全く油断も隙もあった物じゃない。


どうやら、この階層も神経を磨り減らす系のフィールドの様である。


午後の3時を回った頃、神経を使ってかなりクタクタになった俺は、早めに帰宅する事にしたが、一応、明日続きをやる時の為に氷の床に目印の剣ぶっさしてゲート様の目印にしたのだった。


と書くとカッコ良いが氷の床に剣が刺さらずに高周波の振動を剣に加えた際に加減を間違ってしまい、剣を1本駄目にしている。


量産品の安い剣とは言え、折れた剣の破片を回収してから仮の屋敷(ジェシカ邸)に戻ったのであった。

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