第87話 戻ってきた平穏な日々 その2
さあ、いよいよ和牛を超えるかも知れない期待の第37階層である!
階段を降りて行くと、草原に降り立った。
雰囲気としてはバッファローでも居そうな草原で、所々に川も流れて居るらしい。
バッファローなら、草とか食いそうだけどミノタウロスが草食だったらちょっとウケるな。
何か俺の勝手なイメージだとミノタウロスって、何か「カロリー?コレステロール?上等だ!糞喰らえ!」って言って朝から牛丼やカツ丼食って、デザートに鶏の唐揚げ食ってる様なイメージがあるからな。
まあダンジョン内の魔物だし、実際には何食っているかなんて判らないんだけどね。
冒険者を襲って食うって半紙は聞くけど絶対数が足りないから、それだけを食って生きてるとかはあり得ないし。
俺としては和牛A5ランクを超えるお肉さえ手に入れば文句は無い。
久々に霜降り肉に会えると思うだけで涎が零れそうになるぜ。
さあ、本格的に狩りを始めよう。
草原と言ってもチョボチョボ生えている訳で無く、ススキぐらいの高さの草が生えていて、非常に視界が悪いのだ。
更にこの階層に居るのはミノタウロスだけで無く他にもバイト・タートルやスカイ・リッパーと言う鳥の魔物等がいる。
中でもヤバいのはこのスカイ・リッパーで、急降下して加速し、自分の羽自体を魔力で魔装と言うか強化してカミソリの刃の様にしてすれ違いざまに急所等を斬り付けて来るらしい。
先達曰く非常に音を立てずに突然高速で襲撃して来るので厄介極まりない敵だと言う話だった。
寧ろミノタウロスよりも危険と。
ミノタウロスは大体全長が3mの人型の牛。筋骨隆々で、筋肉の鎧を纏った様な奴らしい。
しかし討伐した後の肉は軟らかく絶品と情報に書いてあった。
もうそれだけで期待感マックスっすよ!
ステーキも良いが、すき焼き、しゃぶしゃぶ、そして、焼き肉! まずは最初にやっぱ焼き肉だよな!
あ、ミートスライサーの魔道具も作らなきゃ!
まだ遭遇もしていないミノタウロスの肉に思いを馳せていると、気配察知に感が有り、魔装を強め敵を視認しようと、上空を見渡し、今正に高速で急降下して加速状態のまま身体の向きを引き起こして水平飛行で各区してこようとしているスカイ・リッパーを発見に瞬時に魔弾を撃つも速すぎて命中せず・・・いや、躱された様だ。なかなか小癪な真似をしやがる。
こうなったら、無属性の壁を作って待ち構えてやる。相手に無理に当てようとしなくとも
無効が勝手に飛び込んでくれるのだ。高速道路を走る車のフロントウィンドーにぶつかって自滅する虫と同じだ。
そして数秒後には俺の作戦通りにグシャって音と共に無属性の壁にぶち当たって首の骨を折ったスカイ・リッパーは1匹足下に落下したのであって。
このスカイ・リッパーも肉は非常に美味しいらしいのでありがたく頂くとしよう。
首を切断して血抜きを行ってから収納したのだった。
バイト・タートルは、謂わば地球で言うところのスッポンや噛み付き亀ってところだろうか?
これも凄く美味いらしい。
情報だと肌が艶々になる的な事を書いてあったので、やはりスッポン的な感じにコラーゲンたっぷりなのかも知れない。
そのそも、スッポン自体を食った事がないので、TVやネット等で見聞きした程度の事しか知らないのだが。
俺としては、別に前世も今世も肌を気にした事は一度も無いので特に目の色を変えて食いたいって事は無いが、我が家の女性陣は大喜びしそうだな。
お土産代わりに何匹か仕留めて持ち帰って、『バイト・タートル』鍋を作ってやろう。
おっと、草の陰にバイト・タートルを発見!
スッポンや公園の池に居るような日本の亀的なサイズを連想していたんだが、これはでかい。甲羅の大きさだけで、約70cmはあるだろう。
しかも亀って陸の上では鈍いイメージが染みついていたが、異様に素早い。
しかも、首がエイリアンっかよ!?って突っ込み入れたくなるほどにニューンって伸びる。
よく、カメレオン系のトカゲの舌がビシュって伸びるじゃん、あれの首版って思ってくれれば間違い無い。
怖っ!首を伸ばして噛み付いて来る。 絵柄的には割とホラーだ。
まあ、伸ばした首にタイミングを合わせて高周波ブレードでスパって切り落とせば、一丁上がりなんだけどんね。
素早く血抜きをして・・・え?血が勿体無い? いいや、飲まないって!スッポンの生き血を飲んだりするみたいだけど、俺無理だから。
ましてや、魔物の生き血を飲む?あり得ないって! それにどんな寄生虫居るかも判らないし、原因が生き血飲みましたじゃシャレにならないからね。
って事で、キッチリ血抜きお行ってから、収納しました。
おっと、ミノタウロス発見!! デカいな。4m近くないか?
わぁ~これはヤバいめっちゃマッチョな赤い外皮の二足歩行の牛だよ。しかも手の指は普通にあって、此奴は棍棒を肩に担いでいる。
顔つきもメッチャ強そうで怖いね。
あ、グモーー♪って雄叫びを上げると棍棒をふりあげて、こっちに向かって駆け出した。速っ!瞬時に20m程の距離を詰めて来て、もう目の前に迫ろうとしている。
只大きくて愚鈍なわけでなく、動きに魔力が乗っている様に見受けられるので、身体強化的な事を使っているのだろう。
此奴は強い!!俺の2m前から棍棒を振り下ろして来るのを避けつつ、眉間に魔弾をスパンと撃つと、ガキンと言う音と共に魔弾をはじかれた。
その魔弾の衝撃で首を後ろに持って行かれたものの、全く血すら出して居ない。
いや!脳を揺らした様で、脳震盪のダメージがありそうだ! フラついてしきりと頭をブンブンと振って気力で持ち直そうとしている様子。
今がチャンスだ。俺は1歩近付いて奴の首の高さまでジャンプして高周波ブレードで首を墜とした。首から、血が噴水の様に吹き上がり俺に掛かりそうになったので、慌てて風魔法のシールドを展開して血しぶきのシャワーを回避したのだった、
そして、俺が着地すると同時くらいに4m近い巨体がグラッと傾き俺の着した方へと倒れ掛かって来たので、慌ててバックステップで回避したのだった。ズドンと言う音と共に巨体が地面に横たわる。
辺りは一面血飛沫の所為で血だらけでまるでスプラッターな殺人現場の様でる。
「これ、まともに戦ったら、棍棒を受け流したとしても骨折しそうだな。」と思わず感想を漏らす俺。
と言うか、魔弾を弾くのも凄い。
まあ、脳みそまでは強化出来なかった様だが、魔弾をもっと強化したら貫通出来ないかな?
出来れば余り接近戦はしたくない相手である。
もう少し魔力を込めれば、発射スピードも魔弾の弾の堅さも強化出来ると思うが、次のミノタウロスで試してみよう。
その後3匹のミノタウロスに遭遇したが、最初のが異常にデカく頑強だっただけの様で、他のミノタウロスは3m台の身長で、通常のヘッドショットで呆気なく倒れてくれた。
偶にああ言うイレギュラーな個体が居るのか、進化したのか?何にしても遠距離からの狙撃でサクサク倒せるので、まるでスナイパー系のゲームの様である。
魔物の命を狩ってるのに不謹慎と言われるかも知れないが、ダンジョンにしてもこの世界にしてもそう言う物として割り切るしかない。
だって、魔物とは言え、ゴブリンも含めて相手は人型なんだし。元の日本であれば変な団体が魔物にも人権(魔権?)がぁ~♪とか言いかねないよな。
結局俺の両親を殺した犯人は捕まらなかったが、犯人の人権なんて糞喰らえって思ってしまう。
魔物だって人間に手を出した時点で人類の敵と言う認識で良いだろう? と勝手に頭のなかで妄想を膨らましてし、ちょっとイラッとしてしまったが、そのストレスは、八つ当たりで申し訳無いがミノタウロスの討伐でスッキリすっきりさせて貰おう。
◇◇◇◇
この階層で3時間程狩った結果、本日の成果は、ミノタウロス15匹、スカイ・リッパーが14匹、バイト・タートルが7匹である。
なかなかの成果ではなかろうか?
さあ、少し早いが、ミノタウロスの解体と試食もある事だし、本日はこれくらいにして自宅に帰ろう!
とホクホク顔でゲートをマッシモの自宅に繋ごうとしたがミノタウロスを1匹差に解体した方が良いなと思い付いて、『魔の森』の我が家へ一旦寄って解体してからマッシモの自宅に戻る事にしたのであった。
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