第86話 戻ってきた平穏な日々 その1
その後の事をザックリと説明すると、俺の匂い作戦は大成功し、まだレシピを登録してなかったので、急いで『焼き鳥のタレ』として登録を済ませた。
そしてとうとう念願だったジュウジュウ園の『焼き肉のタレ』を再現した!!
タレが出来れば、次は肉である。オークは美味しいが、味の系統は豚である。やっぱ焼き肉と言えば牛だよね!?
ああ、折角10億円も当たったんだから、死ぬ前に和牛の高級焼き肉1度くらい食っておきたかったな。
実に残念だ。
一般的に強い魔物の肉程美味しいとされているが、A5ランクの和牛に見劣りしない肉は何だろう?
以前にミルクを入手したのはカウカウと言う牛に似た魔物だったけど、カウカウの肉はどうなのだろう?
気になったので以前カウカウのミルクを購入した街に行ってミルクを購入した時の人を探してカウカウの肉の話をすると、
「冗談でねぇ~!美味しいミルク出してくれる家の子を食うだなんて!」と怒られてしまい、敢えなく退却したのであった。
心当たり? まあ無くはない。豚っぽいオークが豚系統で美味いなら、牛っぽい魔物で和牛系統の美味さなら、ミノタウロスがそうなんじゃないか?と当たりを付けている。
『女神の英知』では、ミノタウロスは食べられるし、美味しいと言う情報が出ている。
まあ、霜降りかどうかまでは載ってないので、実際に捌いてみないと判らないのだ。
確か記憶ではマッシモ東ダンジョンの37階層にミノタウロスが出たと資料に書いてあった。
そうか、つまり、天は俺にダンジョン攻略を再開しろ!と言っているのだ!!」と都合の良い様に解釈してビック・イーターの補充も兼ねてダンジョンアタックの再開を決意したのであった。
みんなにそれを告げると、少しさみしそうな顔をされるも、「まあ、美味しいお肉の為ならしょうが無いですわね。お気を付けて下さいね。」とアリーシアさんに言われたのであった。
なんか、ちょっと納得の方向がおかしい気もするが、まあ是としておこう。
そんな訳で不在時の事を宜しくお願いして翌日からダンジョンアタックを再開したのであった。
■■■
久々のダンジョンの空気に懐かしく思いつつも沼地独特の匂いに顔を顰める。
取り敢えず200匹程ビック・イーターを確保したら次の第35階層へ進む事にする。
このビック・イーターの解体もも冒険者ギルド行きだな。
前回オークとか混ぜての解体依頼した時、冒険者ギルドの解体担当のおっちゃんはゲッって顔をしていたけど、結局冒険者に特別依頼って形で募集して、意外に報酬が良かったらしくて、冒険者達からは喜ばれたんだよね。
それ以来、たまに顔を合わせると、「そろそろ解体したいのが貯まったんじゃねぇ~か?」って聞かれたりして何気に期待されてるみたいなんだよね。
まあ、冒険者って言っても色々なタイプ居るから、ケネスさんみたいに戦闘力がちゃんとある人ばかりじゃないからね。
本当にヤバい奴と言えば、あのポンコツコンビなんて、ダンジョン潜っちゃ駄目な奴の典型的な見本だよな。
冒険者なのに、冒険しちゃ駄目な奴とは、ある意味可哀相だよな。
あのポンコツコンビにくらべれば、家の子達の方が魔法使えるだけ戦闘力ありそうだもんな。
家の子達はみんな努力家だから、教えた事を日々コツコツ反復して、頑張ってたからね。
本当に教え甲斐があるよ。
さあ、お待ちかねの第35階層だ。
ここはまた洞窟エリアで暗く見通しが悪いのが特徴だ。
更に意地が悪いのは、落とし穴系の罠が多い事だ。
俺の様に魔力を使った罠関知が出来ないと相当にヤバいと思う。
そう、罠のタイプは落とし穴だけではない、場所によって、通常のトンネル形状の天井ではなく吹き抜けっぽく天井が見えない場所があるんだが、そこに罠がある場合は、吹き抜けを利用して、上から氷柱状(ストーン・ランスの様な)のが振ってくる。
しかも、嫌らしいのは、どちらも天然の岩の張り出し等の陰影を利用してて、ちょっと離れたいちからだと見分けが付かない所だ。
本当にダンジョンの殺意をありありと感じるよ。
一応、罠関知を常時使って回避はしているけど、念の為、魔装を気持ち強めにしている。
ここの階層の魔物は、リザードマンと言う人型のトカゲである。
特徴としては外皮が硬く、並の剣による攻撃は弾かれるか剣が折れたり刃毀れする。
まあ、俺には余り関係ないが、此奴には剣より短槍による攻撃の方がダメージを与え易いと思う。
斬るのは難しいが、槍は刺さるから。
ただ場所が洞窟なので取り回しを考えると、短槍がベストかな?と。
ちなみに奴らは、剣や槍等の武器で攻撃して来るだけでなく、土魔法によるストーン・バレットや、強い奴だとストーン・ランスまで放って来るので要注意である。
俺? 俺の場合は魔弾でヘッドショットをかますか、奴らの攻撃をかわしつつ無属性の高周波ブレードで首チョンパかな。
奴らの堅い外皮は、防具等に使うとかなり良い皮鎧になる為に高値で買い取って貰えるのだ。
しかも、現在マッシモのギルドでは何十年もリザードマンの皮は入って来て無いから俺がダンジョンアタックを再開するって報告したら凄く喜んでいたのでかなり期待されてるみたい。
しかし、こんな堅い皮を加工するのも大変だろうな。
お!モンスター・ハウス発見!扉を開けて部屋に入ると6匹のリザードマンがグギャーとお出迎えしてくれた。
誰も来ないから退屈していたんだろう。
部屋の全員をやっつけると部屋の隅に宝箱が現れるシステムらしい。
宝箱の中身は皮で作られた水袋。
しかし只の水袋では無く、魔道具の水袋らしい。
魔力を与えると、水が満タンになるらしい。
これは高値で売れるかも知れない。
俺は不要だし誰かにあげるかな?
道はクネクネと曲がっているが、地図があるので、迷う心配は無い。
2時間程でゴールの下層への階段い行き着いて第35階層が終わってのだった。
そして第36階層へと降りると真っ白な雪景色に目を奪われる。
この世界に来て初雪である。
とは言えダンジョンの中だから関係無いか。
吐く息は白くなって、肌が乾燥してるのか、ピリリとする感じ。
流石にこの雪原をまともに歩いて制覇するのはかったるい。
結構なパウダスノーで一歩一歩足首の上まで雪の中に潜って行って結構歩き難いのだ。
雪のちらつく中で滑空するのは寒そうだが、空気抵抗低減の為のシールドを張ればかなり緩和されるだろう。
意を決して上空へとゲートで繋いでウィング・スーツで滑空を始めたがシールド越しにも結構冷える。目を凝らして階段のあると言う崖を探した。
当たり一面が真っ白なので滑空していると、方向感覚がおかしくなってしまい時々方向を再確認しつつ
崖を発見して、一直線にその崖へと飛んだのだった。
情報だとこの階層は真っ白な毛皮び熊と狼の魔物が出るらしい。
一応は1か幾ら追い戦っておくべきかと崖の手前に着地して態と大声を出して魔物を引き寄せホワイト・ウルフの群れを相手に綺麗な白い毛並みの毛皮を頂くのであった。
1匹1匹が非常に大きく、1匹で一人分の毛皮のコートになりそうである。
血抜きをしっかりしていると、その血の匂いに誘われたホワイト・ベアーがやってきてくれて、高周波ブレードで首チョンパしてまたもや血抜きに時間を掛けるのであった。
手袋はしているものの、手が冷たくて悴んで来る。
「しかし、本当に寒いな。」と血抜きをしながらぼやいていると先程よりも風に舞っている雪の量が増えている様に感じる。
慌てて血抜きの住んだウルフの群れを回収し、早めにホワイト・ベアーの血抜きを終えて先に見えて居る崖の洞窟へと急ぐのであった。
崖まで進んで居る間に完全に吹雪きへと変わっており、間一髪で吹雪きを回避して下層への階段にたどり着いたのであった。
階段のある洞窟内に入ると先程までの寒さや肌のヒリつく感じは無くなって、吐く息も白くはならない。
ちょっとホッとして、冷えた身体を温める為に魔法で火を起こして焚き火でスープを温めて湯気の漂うスープをゆっくりフーフーしながら飲んで漸く身体の内部からジワジワと温かくなるのであった。
『魔の森』が雪の降らない所で本当に良かった。
もし魔法が使える様になる前に行きに見舞われていたら、恐らく凍死していただろう。
そう言う意味であそこに転生したのだろうが寒いのはやはり嫌いだなと再認識したのであった。
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